第25話放火
夜九時ごろ
「今のうちに木に蜜を塗っておけば明日の朝カブトムシをたくさん取れるぞ」
男は大多喜城内の木に蜜を塗ってると
「うわぁー蜂だぁー‼」
男は明かり代わりに持っていた松明を放り投げて逃げ出した。
翌日朝四時
五、四、三、二、一
「おっし、起きよ」
士郎は飛び上がるように起きて支度をし経丸と合流し城内を出ようとした時
「あれ、なんか焦げ臭くないか?」
「言われてみればそうね」
「こっちからだ!」
士郎と経丸は納屋の方に向かった。
するとそこには黒焦げになっている納屋の姿があった。
士郎と経丸はビックリし経丸は慌てて
「士郎、中の武器を確認しよう」
「おう」
二人は納屋の戸を開けるとそこには黒焦げになっている数々の武器の姿があった。
慌てる経丸に士郎は優しい口調で
「とりあえず皆を呼ぼうよ」
士郎と経丸は皆を呼んだ。
片倉はビックリしながら
「これはひどいですねぇ」
経丸は憤りを感じながら
「ホントですよ、誰がやったんだか」
「もしかしてこの前の三人組?」
片倉の言葉に士郎は
「いや、あいつら三バカトリオだけどこんな悪い事はしないよ」
デモンはいきなり木から士郎の前に落ちてきて
「誰が三バカトリオだ‼」
悠太は遼太もデモンに加勢するように木から落ちたの見てやれやれ仕方ないと思って木から降りた。
「ダメじゃないですか、今降りたら自分で三バカトリオを認めることになるじゃないですか」
「えっそうなのか?」
悠太はため息をついた。
片倉はデモン達を指さして
「君たち何でここにいるの?」
デモンは慌てながら
「えっそれはだなぁ、えーっと」
「こいつら明らかに怪しくないですか殿?」
「番長、俺らなんか疑われていますよ」
悠太の耳打ちにデモンは大きな声で
「俺らはやってないぞ」
疑っている片倉に士郎は
「こいつらやってないぞ」
デモンは士郎に肩を回し
「さすが士郎、お前は俺らを信用しているのか」
士郎は真顔で
「お前らほど馬鹿だともしやったとしたらたくさん証拠を残っているはずだから」
「何だこの野郎‼」
士郎は首を絞めようとするデモンに
「ごめん、ごめん冗談よ」
凛はパーンと大きく手を叩いて
「とにかく犯人を捕まえましょう」
経丸は真剣な顏をしながら
「そうですね、一旦城に帰って作戦を立てましょう」
そう言って皆と城の中へ行こうとしたその時
「殿、こんな物が落ちていたんですけど」
稲荷は落ちていた物を経丸に渡した。
経丸は落とし物の手袋を手に取って手袋に書いてある名前を読み上げた。
「伊勢海老太郎、これ名前と住所書いてあるじゃん」
片倉は頭を掻きながら
「バカな犯人だなぁ」
デモンはニコッとした表情で片倉に
「犯人見つかってよかったですね」
「まだ、見つかったわけじゃないけどね」
デモンはてへっと笑って
「そうですよね」
悠太は呆れた感じで
「番長、俺らこの人に犯人扱いされたんですよ、ニコニコ仲良くしてる場合じゃないでしょ」
番長の目つきが変わり片倉に向かって怒鳴るように
「おい、クソイケメン、お前俺らを疑いやがってこのイケメンが‼」
悠太は呆れながら
「それじゃあ、怒ってるのか褒めてるのかわからないよ」
デモンは申し訳なさそうに
「怒られるのは慣れているけど怒るのは慣れてないんだよな」
片倉はデモン達に「本当に悪かった」と言って頭を下げた。
デモンは悠太に
「謝ったから許してやろうよ」
遼太も同調するように
「そうだ、謝ったんだ許してやろう」
「まぁ番長がいいなら」
そんなくだらない揉め事をしているところへ
「あっ、たくさんカブトムシがいるやっぱり昨日の夜木の蜜を塗ってよかったなぁ」
いきなり城内に入って来た男を見て士郎は
「殿、あいつ何ですか?」
「もしかしてあの人が伊勢海老太郎かもしれませんよ」
「確かに、犯人は現場に戻るって言いますからね」
士郎はそう言って男の元に行き
「お前、名前伊勢海老太郎か?」
皆は
バカ、危険すぎる。警戒しろよ士郎
男は不思議そうな顏で士郎を見て
「そうだよ、何で名前知ってるの?」
士郎はビックリした。まさかこいつが伊勢海老太郎だと本気では思っていなかった、というか違うと思っていた。だから皆にそれがしは度胸があるんだぞ見せつけるチャンスだと
思って堂々と男に近づいたのであった。
士郎の性格上、本物と分かっていれば恐ろしくて堂々と近づくなんて絶対にしないのである。
士郎は緊張で心臓をバクバクさせながら自分を奮い立たせるように「気持ちー‼気持ちー‼」と心の中で叫び
「ちょっとこっちに来てくださいますか?」
伊勢海老太郎は不思議そうな顔で
「はい、いいですけど」
伊勢海老太郎を連れてくる士郎を見て皆は
あいつ、こっちになんか連れてきたぞ
士郎は経丸に
「こちら、伊勢海老太郎さん」
伊勢海老太郎は元気よく大きな声で
「伊勢海老太郎ですよろしくお願いします」
経丸は動揺しながら
「はっはい?」
えっ、何で士郎は伊勢海老太郎に敬語なの?
士郎は丁寧に
「こちらは天羽経丸、この城の城主」
「天羽経丸です、よろしくお願いします」
海老太郎と握手している経丸は
えっ、これはどういう事誰か説明して
経丸はまったく状況を理解できていない経丸だけではなくここにいる全員が状況を理解できていないので誰も口出ししないのであった。
士郎は恐る恐る
「海老太郎さん昨日の夜どこにいましたか?」
海老太郎は無邪気な感じで
「ここにいました」
絶対黒やん。こいつだよ、納屋燃やした犯人とここにいる海老太郎本人以外が皆思った。
士郎は恐る恐る
「ここで何をしていたのですか?」
「カブトムシを捕まえるために蜜を塗っていたんです」
「カブトムシ?」
海老太郎は笑顔で
「カブトムシ知らない?」
「いや、カブトムシは知ってますよ」
海老太郎はキラキラ輝くまなざしで士郎を見て
「ここいっぱい取れるんだよ」
士郎は少年のようなキラキラ輝くまなざしの海老太郎を見て可愛いと思ったが
「話を戻しましょう」
海老太郎はいきなり
「あっーそれ僕の手袋!」
経丸はビックリし海老太郎に手袋を渡した。
「拾ってくれてありがとうございます」
経丸は海老太郎に圧倒されながら
「あっはい」
「これ、蜜塗るときに外してたから落としちゃったんだよね」
この海老太郎の言葉を聞いて皆は
犯人は海老太郎じゃなかったのか、これで振り出しに戻ったのか
「あっ皆さんこの辺り蜂がいるので気をつけてくださいよ。昨日僕は驚いて松明投げて逃げたんですよ」
「松明を投げた‼」
その場にいた皆が声を揃えた。
「松明を投げたのがなんかあったんですか?」
士郎は恐る恐る
「本当に松明を投げたんですか?」
海老太郎は真顔で
「はい、投げました」
士郎は恐る恐る
「あなたが投げた松明が多分、こんな結果を生み出しました」
そう言って燃えた納屋を指さした。
海老太郎は焦り
「ごめんなさい、僕がやってしまったんですか?」
士郎は気を使うように
「はい、正確にはあなたの投げた松明がやりました」
海老太郎はいきなり大声で
「それって僕が悪いじゃないですか、すみませんわざとじゃないです」
経丸はわかるように落ち込んでいる海老太郎に気を使って
「仕方ないですよわざとじゃないんですから」
「すみません、弁償はできないですけど皆さんの役に立ちたいです。雑用でも何でもやりますこの罪を償いたいので雇ってください」
土下座する海老太郎に困る経丸
果たして経丸はどういう判断をするのだろうか次回に続く
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