ニ ツンデレ会長はあーんしたい。前編
「ちょっと?あーんしなさいよ。」
「いや、その、それはちょっと・・」
「はぁ?あんた彼氏でしょ?それくらいもできないの?」
「いやだからですね・・ここ、食堂ですよ?」
「・・だから、なに?」
うわぁこの人そういうの気にしない人かぁー。と、いきなりこんな場面で申し訳ない。今日は入学式の翌日。晴れて僕達1年生も華々しく本格的な学生生活をスタートさせた日となる。そして、そんな日の昼食はというと、何故か学校一の美少女会長とラブラブなお食事を楽しんでおります。
・・いや、正直周りの目線が痛い。特に関原からの。
「なんであの人会長とご飯食べてるの?もしかして・・そういう関係なのかな?」
「でも、会長って確かかなりの男嫌いじゃなかったっけ?」
「だよねー・・もしかしてあの人本当は女の人とか?!」
違いますやめてください。
「会長・・やっぱりおかしいですって。」
「なにがよ。」
「だってですよ?普通初対面の人に告白なんてしますか?それに、あ、あーんだなんて・・」
「別にあーんくらいあんたとならいいわ。それに昔からよくしてたじゃない・・ていうか、初対面ってなに?まさか・・覚えてないの?」
「え」
覚えてるもなにも、会長と僕がよくあーんをしていた仲?そんなはずは・・ない。そもそも僕は女の子とすらほとんど喋ったことがないくらいだ。そんな僕とあーん?
「覚えてるもなにも、そんなことあり得ません。」
「・・あー。」
そしてため息を吐くと会長は僕の方に手を伸ばし・・ッテイッタアアアアアアア!!!
「あんたなんかもう知らないわ!私は・・じゃあ一体なんのためにここまで・・」
会長はよくわからないことを言ったかと思うと食堂から出て行こうとする。マズい!この状態で離れるのは非常にマズい!特に周りの目線が!
「会長少し泣いてる・・うわぁ、あの人会長泣かせるとか最低。」
「それなー。」
やめてえええええ!!!
「ちょっと待ってください会長!!少し話を」
「あんたとなんか話すことないわ!もう関わらないで頂戴!!」
バタン!!
「・・雄馬、まぁ元気出せよ。いいことあるって。」
「そんなにっこり笑顔で言われても説得力ないぞ関原よ。」
「あ、バレた?」
・・はぁ。
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「ということで、第一回会長どうして怒ったのか会議を始めます。」
「これにて閉廷解散。」
「勝手に終わらすな。」
「だってよ!俺に関係ないだろ!?早く飯を食わせてくれよ!」
「まぁそういうな関原。今度駅前のラーメン奢ってやるから。」
「いいだろうなんでも言ってくれ。」
うわーチョロ。
「まず、なんでいきなり会長が怒ったのか考えてみよう。それでは関原君。どう思うかな?」
「捜査資料何も渡されてないのでわからないであります!」
「そうか。まぁ僕も本当に何もわからないから捜査資料なんてないんだけどな!!」
「じゃあ終わりで。」
「ダメです。」
「それを拒否します。」
「それを却下します。」
「お前は小学生か!!大体会議したところでなにもわからないだろこれ!会長が何故かお前に告白してそれで付き合って一緒に食事してたらいきなりキレられたと?なんだよそりゃ!?」
「それな。」
「それなじゃない!!」
うへー怖。というか、ほとんど関原が言っている通りだ。なんで僕はキレられたんだ?・・そういえば、あの写真、僕と誰か女の子が写ってる・・
「なぁ関原よ。」
「あ?なんだよ。」
「この写真見て何かわからないか?」
「写真だー?ちょっと見せてみろ・・んー・・ん!?これって!!」
「うぉ。いきなり大きな声出すなよ。」
「ああすまん。」
「で、なにがわかったんだ?」
「ああ、ここ見てみろ、ここ。」
うーんと・・ただぬいぐるみが置いてあるだけだよな?・・ん?このぬいぐるみ、確かどこかで・・
「ああ!このぬいぐるみ確かばーちゃんの家にあった!」
このぬいぐるみは確か僕がばーちゃんに頼み込んでなんとか買ってもらった物だ。結局ばーちゃん家に忘れたっきりそのままだったが・・しかもこの写真に写ってる僕、確か買ってもらったばっかの時だな。確か・・小学4年生くらいか。
小学4年・・そういえば、ばーちゃんの家の近くに住んでる女の子がいたな。名前は確か・・紗香ちゃんだっけ。夏休みとか長期休みの時はばーちゃん家でよく一緒に遊んだっけなー・・というかすごい偶然だな。会長から貰った手紙の中には会長と同名の女の・・子・・
「・・あーん、してたかもしれない。」
「は?なにが?」
「いやだから、僕小さい頃会長とあーんしてたかもしれない。」
「・・・。」
「痛ッ、なんだよ関原、いきなり叩くなよ、って、なんでお前泣いてんの?」
「く、くそぅ・・俺はついにお前にすらも裏切られたのか・・」
「・・ああ、そういえばお前、モテないもんな。」
「うるせぇ!!お、俺もいつか・・いつか!」
【彼女作ってやるからなぁ!!】
「・・なにあの人、こわ。」
「それな。」
関原・・強く生きて。
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「それにしても、会長があの女の子とは。髪色違うし、髪ボサボサだし、あんな男みたいな紗香ちゃんが、まさかあの小野寺会長とはねー。」
「ふむ。それは面白いことを聞きました。詳しくお聞かせ願いませんか?」
「ええ、いいですよってうわぁ!」
なんで副会長がここにいるの?!ここ男子トイレなんですけど!?
「実はここの前を通りがかった際にふとあなたを目にしまして。そうして聞き耳を立てているとなにやら面白い独り言を言われてるのを聞いてしまったのです。ですから、詳しい話を。」
「いやいやなんでちゃっかり聞き耳立ててるんですか!?確かにここ男子トイレの入り口ですけど聞き耳立ててたら完全に変な人ですよ!?」
これが逆の立場だったら完全にアウトだ。
「まぁいいじゃないですか。そんなことは些細な問題にしかすぎません。」
「別に些細な問題でもないですけど・・まぁ、いいでしょう。それじゃあ僕はこれで失礼します。」
「私はあなたと会長が仲直りできる方法を知っています。」
ピタッ
「・・なんですと?」
「私はあなたと会長が仲直りできる方法を知っています。」
「別に一語一句同じにしなくても結構です。っていうか、どうして僕と会長が喧嘩をしたと?」
(まぁ、喧嘩っていうよりは地雷を踏んだだけだけど・・)
「私、こう見えて結構顔が広いんですよ。それで、その方法、お聞きしますか?」
「・・お願いします。」
「そんなのは簡単なことです。これを・・して・・すればいいんですよ。」
「・・え。」
「やらなきゃ、仲直りできませんよ?」
「・・わ、わかりました。」
仕方ない・・こうなったら、一か八か賭けてみるとするか。
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