第8話 自称病弱な妹の終わり
「デイジー。辛かったわね」
「うん」
「叫んでのたうち回りたくなるぐらい苦しかったでしょ」
「うん」
「もう周囲にも帝国にばれないように病弱なふりしなくていいのよ」
「苦しかったの」
デイジーを包み込むように抱きしめる。
「もう苦しいなら、泣き叫んでいいのよ」
「今も苦しいの。苦しいよお姉ちゃん」
妹は泣き叫ぶ。
「苦しくても不安でも泣く事も叫ぶ事も我慢させてきてごめんなさいね」
「今までお前は病弱なのだからと言ってきて、辛い思いをさせたな。すまない。もっと早くにこうしておけばよかった」
お父様は申し訳なさそうだ。
「辛い思いをさせたわね。これからは苦しい時はいつでも甘えていいのよ」
お母様もデイジーを抱きしめる。
「本当は苦しくて、お姉ちゃんママパパに苦しいって叫びたかったの」
「そうだな。もうそんなのはおしまいだ。これからはパパ達も戦うから。帝国だろうが何だろうがお前を引き渡す気はない」
お父様も抱きしめようとしたけれど私とお母様が抱きしめているのでこれ以上抱きしめようがなく困っている。
ごめんねお父様、まだ変わってあげられない。
「もう外にも出られるの」
父「ああ、安全な時ならな。外の世界見たかっただろう」
母「これからは色んなものが見れて色んな音が聞けるわよ」
フェア「川の匂いも、とんぼもダリアもうさぎもなんでも外にはいっぱいあるのよ。一緒に楽しみましょうね、今まで我慢してきた分も」
「ゾウさんに乗りたい」
フェ「象好きね。一緒に乗りましょうね」
象のいる国にでも、どこまでも逃げて行く事になるかもしれない。
どこまでも行くわよ、だってこの村は変形してドコマデモイクンジャーになるんだもの。
「大空冒険ジャーなら象がいる国までも行けるさ」
リスティはさらっと大空冒険ジャーの名前を出す。
強引だったけどドコマデモイクンジャーに決めたのに。
「デイジーは重い病気なのだな」
「ええ。村のサロモン医師ではどうにもならなかったし、世界中の医者を探しても治せるものではないわ」
今までデイジーを大っぴらにサロモン医師以外の医師に見せる事はなかった。
私達家族もサロモン医師も妹のダンタルト病について調べてはいたが、治せるような病気ではなかった。
ホアキンさんドミニカさんも旅の途中でダンタルト病について調べてくれているが、治療法は見つかっていない。
「そうか。なら象に乗るのも諦めて家でおとなしくしてた方がいいだろう」
「あら、象が大好きな征服王にしてはつまらない事を言うじゃないの」
「俺様は象など好きではない。憎いぐらいだ」
征服王が苛立ちを見せる。
「征君、象さん嫌いなの?あんなに象さんの話で盛り上がったのに。私達象友だよ」
「話したい事はいくらでもあるだろ。俺は大空冒険ジャーに変形させてくるし、
後は皆でゆっくりやっててくれ」
リスティはパオロ親方やお弟子さん達とこの場を離れる。
ドコマデモイクンジャーなのに。
自称病弱な妹へ。家族の前で言ってあげる。貴女は病弱なんかじゃないわ。チートレベルの王召喚で世界を敵に回してでも私のやりたいように生きます 甘いからあげ @pankana
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。自称病弱な妹へ。家族の前で言ってあげる。貴女は病弱なんかじゃないわ。チートレベルの王召喚で世界を敵に回してでも私のやりたいように生きますの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます