第6話  あいちゃんの戦い SS野球拳

 学校からあいの家に向かう。

 そう——野球拳の始まりである。


 あいは家に向かう途中いろんなことを考えた。もしも、あいがずっと負けたらとか、逆に勝ち続けたらとか。

 

 だが、想像しても意味がないことに気づいた。実際にこの目で見ないと! あいの欲、今では性欲? にあたるのだろうか。そこの興味は中学生とは変わっていない。やっぱり、異性の体に興味が沸いてしまう。


 あいだけなのかな……? あいはおかしいかな……?


 そんなことを思ってしまう。


 すると、あいの家に着き、家に鍵を開ける。家には誰もいない。ともくんはなんだかソワソワしていた。


 あいは誰もいない空間でともくんといるのに、とてもワクワクしていた。それでなのか急がす言葉を続けてしまう。


「じゃあ、早くやろ!」


 ともくんは、『もうっ⁈』と驚いている。

 

 この後は脱ぐ順番などを決めた。


 ともくんは何か考えているらしく、頬が赤くなり、口元のはうっすら笑みが見える。


 早く始めたいな〜、と思って声を出す。


「始めるよ!」


 そう言うと、ともくんは覚悟を決めた顔をしていて、つい驚いた顔をしてしまう。でも、どうやら見られてなかったらしい。


 最初のジャンケン。

 腕を伸ばす。


「「ジャンケンポン!」」


 お互い、『勝った』だの『負けた』などの声が漏れる。

 

 最初ではあいが負けてしまった。


 あいはベストを脱ぐ。そしてワイシャツ姿に。この下にはブラジャーを着ている。中学生の頃は胸も小さく着ることはないと思っていた。でも成長させるよう努力したのだ! 柄は友達や周りが着ているものを体育の着替えで観察して、揃えた!


 ベストを脱ぎ終わり、ともくんの様子を確認しようとうかがうと、ともくんの視線が胸あたりに集中しているのがわかり、腕を組んで邪魔をした。


 恥ずかしい……。

 

 ともくんは誤魔化し切れていないが、腕を伸ばしてきた。 

 あいも腕を伸ばす。


「「ジャンケンポン!」」


 そして今度はあいが勝った。こと時『よしっ!』と、叫びたくなるほどうれしかったがガッツポーズで踏ん張った。


 ともくんもベストを着ていたので、ベストを脱ぐ。

 

 ともくんの脱ぐ姿でも少し動揺をしてしまうが、顔を無にして平常心を保った。


 腕を伸ばす。


「「ジャンケンポン!」」


 今度もあいが勝った。ガッツポーズ!


 ともくんはシャツのボタンを一枚ずつ外していく。

 胸筋はないが、胸あたりが見えてくると少し興奮してしまう。


 あーっ……! ダメ‼︎ 気になりすぎて目を逸らすことが出来ず、じっと見てしまう。


 あいは中学生の頃あった、腹筋はしっかりはないが、筋肉は見える。


 中学生とは違い、”大人”の体になったともくんの体にまたさらに興味を持ってしまった。


 あいの目はともくんの上半身を見て輝いてしまっているだろうか。


 触れてみたいな、などを思いつつ、ダメと言う言葉が脳内を彷徨さまよっている。この衝動もいけない事なのかな……。これらは勉強した言葉を使うと、性衝動と言うらしい。

 

 だが、このあとのジャンケンで裸を見ることができずに、あいが負けてしまう。

 

 あいもワイシャツのボタンを上から外していく。

 

 この時はあんまり抵抗は感じられずスラスラと、上からボタンを外していく。

 

 ブラジャーの状態になる。


 ともくんは、あいの体を見ると咄嗟とっさに下半身のあそこを抑えた。『おさまれ!』と言い聞かせるように両手で押さえている。


 あいは恥ずかしくなったが、同時に嬉しかった。勉強で言うと、”フル”ボッ○と言うやつだと思う。周りの聞こえてくる男子たちの会話のことだ。


 あいのことを見て興奮していると思うと、嬉しいなと心の中で落ちついて呟いた。


 でもどう思っているか口から聞いてみたいなという欲求があった。

 そして——


「ど、どう……?」


 そう聞いてしまった。ともくんは悩んでいるように思えたがすぐに答えが分かったのか口を開く。


「成長したね……」


 と、言ったが、あいは”成長”と言う言葉を聞いてまた嬉しかった。中学生の頃に胸を大きくするよに努力したかいがあった、と思った。


 努力と言ってもどんなことをすればいいのか分からなくネットで調べて実行していた。


 胸の大きさには女性ホルモンの量など、個人差があるため、あれが意味あったのか分からない。


 あれ、というのは毎日寝る目におっぱいのマッサージをしただけ。でも、あれはマッサージというよりただ揉んでただけなのかもしれない。


 この後、結局続きをすることができなかった。お互い精神的に来てたのだろう。

 

 あい自身も続きをしたいという気持ちはあったが『このままはもう無理!』という感情があった。


 お母さんも帰ってきて、ともくんは帰宅することに。


 「お邪魔しました」


 ともくんは外に出ていく。


 あいは言いたいことがあった。


「またしようね!」

 

 すると——


「うん!」


 ともくんは元気よく答えてくれた。ともくんに手を振り家の中に入る。


「ママ〜、また仕事遅くなるのいつー?」

「ん〜、明々後日遅くなるかな」

「分かった!」


 よし、明々後日だ! 続きをしよう! 今度は積極的にいく‼︎


 ——そう決意した。







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