第4話   あいちゃんの気持ち (中学生)

 あいはいつからだろうか。

 ずっと、ずっと一緒だった。中学2年生の頃だったか。


 あいは、中学生の頃から性についての知識は詳しい方だったのかもしれない。友達からもそうだし性に関する授業はしっかり聞いていた。


 男子たちはとても楽しそうだったからだ。その中にもともくんの姿があった。それで、あいも知りたいと思った。そして、性についてたくさんの知識を得た。


 中学2年生の頃ともくんにキスをして、と頼んだ。

 

そして——キスをした。

 

ともくんはその時、嫌がろうともせず普通にキスをしてきた。このぐらいの歳になると意識するはずと、授業で習ったことを試した。でも、する時は気にしていなさそうだった。

 

でも、次の日からともくんの態度が変わった。手を繋いだりと、ボディータッチが少なくなったのだ。


 私はその時、嫌なことをしちゃったかなと考えた。

 でも、私はかなり欲が抑えられないのか積極的にいろんなことをした。


***


 あれは、中学1年生の夏の頃——


「あいちゃん僕の家来てよ!」

「いいよ! なにする?」

「最近男子でハマってる奴があるんだよ!」

「なになに?」

「野球拳だよ!」

「野球拳?」

「あれ、知らない? ジャンケンで負けたら一枚づつ服を脱いでいくの」

「えー! 面白そう‼︎」

「じゃあ、僕の家でやろう」


 野球拳と言うやつだったのは知らなかったけど、この遊びは知っている。クラスの男子たちがクラスの中でやっているやつだ。


 でも、ともくんがあいのことを誘ってくるとは思わなかった。

 中学生になって性に興味を持っていたあいは、胸の小ささもかなり気にしていた。

 でも——それよりもともくんの体の方が興味があった。


 やはり、欲が強かったなのだろう。弟もいなく、男友達はともくんしかいなかったからか。


 そして、男子たちか可愛いと言われるのは正直嫌だった。理由は性教育の時の眼差しが嫌いだったからだ。性教育中に私の体がどうのこうの言ってくるのが嫌だった。


 でも、なぜかそういう時に男の子といないで隣にいてくれる人がいた。でも、話かけてこない。それでもともくんが隣にいるだけで安心感があった。そ

 そうして、ともくんの体にも興味を持つようになったのだ。

 

いけないだろうか、このことを伝えてもいいかな、とまだ未熟だったあいはいろんなことを考えた。


「おじゃまします」

「は〜い」


 そうして、ともくんの家にやってきた。いつものお母さんの声が奥から聞こえてくる。

 お母さんいるのに止められないかな、と瞬時に思った。


「今日、部屋で野球拳するからうるさくなるかも!」


 言っちゃうのかい! 止められるじゃんと思ったけどお母さんは気にしない風に返事をした。


「楽しんでね〜」

「うん! じゃあ行こ、あいちゃん」


 そう言われ、部屋に向かう途中、お母さんの視線がこちらを向いたような気がした。


 部屋に着き、いつものように最初はベットに座る。お泊まり会をした時はこのベットで寝たことがある。


そして——


「——じゃあ、服は上からね!」

「う、うん‼︎」


 ほんとにやるとなると少し緊張してきた。私はブラジャーを着けず、ワイシャツのしたはシャツ一枚なので2回負けたら上半身が裸になってしまう。

 

 そんな気持ちを知らず、やる気満々に楽しそうな笑みを見せてるともくんに少し苦笑した。


 お互い手を出す。


「「ジャンケンポン!」」

「勝ったー‼︎ はい、ともくん脱いで」

「くそー!」


 悔しながら服を一枚脱ぐ。いきなりシャツ一枚⁈ 分かってたけど早い!か細い二の腕があらわになる。だが、白くキレイに沿って伸びている。

 かっこいい……。これだけでもほんの少し興奮してしまう。


「はい、次!」


 腕を伸ばす。


「「ジャンケンポン!」」

「また勝ったー!」

「あーっ! くそおーっ!」


 大声で叫ぶ。お母さんに何か言われないだろうか、と心配になったが、それよりも腹筋の方に目が吸い付いてしまった。


「ともくん筋トレしてるの?」

「そうそう、最近野球拳よくやるから毎日鍛えてるんだよ!」

「へぇ……」


 かっこいい……‼︎ なにこれ⁈ 男子の腹筋ってこんなに映えるの⁈

シックスパックとまではいかないが筋肉が四角い形に浮き出ている。二の腕とのバランスはかなりおかしいが——かっこいい……‼︎


 つい、見惚れていると——


「——今度はあいちゃんを脱がす番!」


 それ授業でやった、セクハラって言うやつだよ! とは、言わなかった。


 腕を伸ばす。


「「ジャンケンポン!」」

「負けたあ」

「勝った! いえーい!」


 とても喜んでいる。

 そして、あいは上からボタンを一個ずつ外していく。

 脱ぎ終わると——


「小さっ!」

「え、どこが?」

「おっぱいだよ!」

「う、うぅ……」

「授業だと、そろそろデカくなるって聞いたような……?」


 授業聞いてたのね……。そんぐらいわかってるもん……。うぅ悔しい……。

とても悔しい!

 

そう、そこで決めた。ともくんが腹筋を鍛えているように、あいもおっぱいを鍛えようと‼︎


 そこで——


「もうやめなさ〜い」

「えー、なんで〜!」

「お菓子の時間よ」

「ほんと⁈ あいちゃん行こ!」


 お母さんが来て止めてくれた。おそらくともくんの声が聞こえたのだと思う。

「おっぱいだよ!」とか、「小さっ!」とかね!


 私もワイシャツを着直して一階に向かった。

 

 その時、お母さんは笑ってた気がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る