第8話 エピローグ-C

ーー数日後。とある昼下がり。


「ちー!」

「うん?」

屋上にいた私が振り向くと、小夏が興奮した様子で私の首元を指差した。


「何そのリボン!可愛い!」

「でしょう?」

「ねえ、どこで拾ったの、ねえ!」

「教えなーい」

「えええっ!」


騒々しく騒ぎ出す小夏を尻目に、私は校庭を見つめていた。


…君が私のことを探していたのは、知っていました。

でも、姿を現すことなんてできませんでした。


君に隠していることがあったから。

私が「人」ではない、ということを。


君を思い続けたこの3年。

無意味だと思っていました。でも、無意味なんかじゃなかった。


…卒業式のあの日、全てが確かに報われたのです。


私は最後に彼が巻いてくれたリボンに軽く触れる。

そして、雲一つない大空を見上げると、大きな大きな鳴き声を上げた。

この声が遠く離れた彼に届くことを祈って。





あの日、私を助けてくれてありがとうございました。


どうか、お元気で。


親愛なる君へ。


ちーより。







〜Fin〜




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From She(C) to He(H)!! 黒猫B @kuro-b

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