第8話
帰路についた二人は、電車の中でウトウトしていた
奏音に至ってはすでにほぼ寝ていて、夜斗の肩に頭を乗せながら電車に揺られていた
(夜刀神、まだ嫌な予感はするか?)
《はい。ただ、これはマスターに対するものじゃなさそうです。多分今日の同行者の誰か…だと思います》
(…まぁ、鏡花と美羽は霊斗がついてるから問題ないな。白鷺は…)
夜斗は一応、白鷺の連絡先を知っている
クラスのグループトークで勝手に追加され、以降何も話していない
そのアプリはLIMEといい、昨日夜斗が奏音と交換したものと同じだ
「奏音、駅ついたぞ」
「ん…。寝てたのね…。タクシー、あるかしら」
「歩いて帰ろうぜ。ゆっくり話しながらな」
霊斗の財布事情を知っている夜斗は、気を使って歩くことにした
そして、ゆっくり歩く2人
「今日はありがとう、夜斗。いくら私が無理強いしたとはいえ、ここまで付き合ってくれるとは思わなかったわ」
「絶叫マシーンはよく霊斗につれてかれるからな…。まだ慣れねぇけど」
「霊斗…?」
「親友だ。バカでアホで鈍感だけど」
(あのやろう…)
霊斗はスキル「地獄耳」で会話を聞いていた
夜斗の物言いに、後で文句を言おうとしたのだが…
「けど、いい相棒だよ。頼りになる」
「…そう。いい友達ね」
(あいつ…)
霊斗は文句を言うのはやめることにして、2人を見守った
しかし…
『夜斗!』
『…なんだよ』
『美羽さんがいない!後ろからついてきてた白鷺とかいうガキもだ!』
『なんだと…?まさかどこかにつれてかれたか…!』
『いや、近づいてきてたら俺が嫌でも気づくはずだ!白鷺に至っては駅から見ていないぞ!』
『…奏音を送ったら駅に戻るぞ。牙装を出しておけ、鏡花に神機を出すように伝えろ』
『わかった…急いで事故んなよ!』
『おめーじゃあるめーし…』
夜斗は奏音の家の前で立ち止まった
そこにいたのは、颯だ
「やぁ、夜斗君」
「颯さん…」
「僕の一人娘と、こんな時間まで何をしてたのかな?ああいや責めるつもりはなくてね、早いとこ既成事実でもできれば有責で結婚させられるかなとか思ってないよ」
「思ってますね?私が過ちを犯して奏音を娶るしかない状況に追い込もうとしてますね?」
夜斗は抗議するように言い放つ
未だに颯への警戒が解けず、夜斗は無意識に牙を剝いていた
それは夜斗が、まだ子供であることの証明になるだろう
死神としての力は強くとも、人間としてはまだ未熟なのだ
「まぁ、そんな気もなくもなくもなく…ってところかな。それはまぁ横においとくとして、高校生が出歩くには遅いし早めに帰るといい」
「そうですね…。じゃあ奏音、またな」
「えぇ。ありがとう」
夜斗は二人が玄関に入るのとほぼ同時に神機夜刀神を召喚し、起動した
黒のコートが現れ、風になびく
「お仕事だ」
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