第5話
到着したその場にいたのは、同僚が約10名
上司に当たる
つまり、義理の従姉だ
そしてそれ以外はほぼ同じ立場のため、基本的にはタメ口で話すように義務化されている
「おはよう。という時間でもないか」
「あれ?来ないんじゃなかったのか?」
話しかけた黒髪の男は、夜斗の中学時代の同級生だった霊斗
前述の親友であり、朱歌の同級生の兄だ
「予想よりトラブルが早く片付いてな。まだ仕事キャンセルしてないだろ?」
「おう。夜暮先輩がやるのを断固拒否してるからな!」
「やりたくねぇよ…あの事案なんて…」
夜斗は夜美に話をしてから、現場に出るために霊斗に声をかけてから戸を開けた
必要なものは全てこの先にある
「神機保管庫、か。死神ってのは面倒だな」
「どうだかな。ここに置いてあるだけで召喚はできるし、牙装みたいな柔軟性はないけど強度は高い」
2人は、傍から見たら厨二病と言われるようなことを話しながらとある部屋に立ち入った
そこに置かれているのは、刀やライフルなどの武器たちがそれぞれ1つずつ謎の機械に入れられている
端の機械に腕時計を翳すと、1つが起き上がる
そしてカバーが下に動き、黒い刀身が姿を見せる
「神機夜刀神…死神用神機の中でも、最高最凶と言われたもの…だっけか」
「そうだな。霊斗、牙装の用意は?」
「問題ない。こい、叢雲」
霊斗の腕に黒い帯が巻きつき、それが変化して赤黒い機械となる
それは機械の腕だ。先には刀のように鋭利な爪がつけられている
「牙装叢雲。吸血鬼の牙装の中で、最も美しく残虐なものか」
「懐かしい異名だな」
そう、2人は人間ではない
夜斗は死神。霊斗は吸血鬼
吸血鬼はよく噂されるものだが、死神という言葉を聞くことはあまりない
死を運ぶ、という種族ではなく夜斗の場合、ほとんどは通り名のような意味だ
(実際は、世界を管理するのが仕事だけどな。まぁ管理の一環として怪異を滅ぼすだけで)
「どした?夜斗」
「…いや。行こう、ブラド」
「そうだな、ジャック」
2人は意識を切り替えて、仕事モードにした
コードネームで呼び合い、神機と牙装を打ち鳴らす
神機保管庫の入口と出口は反対側にあり、神機は通り道の両サイドに並べられている
通り道を歩き、出口から出るとすぐそこが開放的な窓になっている
ガラスはなく、飛び降りるためのものだ
「死神ジャック、出撃する。さぁ、死にたいバカはどこだ?」
「吸血鬼ブラド、出動。派手に行くぜ!」
夜斗は神機を起動したときに装備したコートを
霊斗は牙装を出したときに纏ったマントを
それぞれ翻し、その大窓―――通称『カタパルト』から飛び出した
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