第15話 この世界での戦い方



「今日は、アマネに戦い方について教えるぜ」



「……うん。戦い方は大事。しっかり聞いて」



 今日の俺は、アマンダさんとマーリンさんに魔力を使った戦闘について教えてもらっていた。この世界で生き残っていくためには、やはり大切なことだと思ったからだ。



 この世界の戦い方は大まかに分けて二種類あり、純粋な力でのぶつかり合いか、搦め手を使った戦い方のどちらかである。



 純粋な力のぶつかり合いに関しては、単純にどちらのステータスが強いかで勝敗が決まるので、今回は二人に搦め手について教えてもらっている。



 まず、俺はこの世界の生き物がどうやって高いステータス値を手に入れているのかについて、彼女たちに教わることになった。簡単にまとめると、それは魔力を利用しているからだ。



 この世界の生き物は自分の持つ筋力を体内の魔力で増幅することで、肉体を動かしている。だから、魔力は生物にとって欠かせない存在らしい。生物学で言うグリコーゲンやクエン酸サイクルなど、そういう類のもののようだ。



 つまり魔力で自分の基本的な能力にブーストを掛けることで、この世界の生命は高いステータス値を発揮できている。



 細身の女の子が筋骨隆々の男よりも力が強くなるのは、そういう仕組みによってだ。



 だから街の外で出会うモンスターも、見た目が弱そうだからといって油断すると簡単に負ける。高い魔力値により、見た目に反して強力なモンスターである場合があるからだ。



 俺はアマンダさんとマーリンさんから、絶対にモンスターの見た目で油断することはしないようにと注意を受けた。毎年、何人もの冒険者がそれで命を落としているそうだ。



 そして、生き物が高いステータス値を手に入れるために魔力を利用しているという仕組みを利用した搦め手として、魔力リンクという手法が挙げられる。魔力リンクはなんと、コミュニケ-ションにだけ使われているわけではない。



 魔力リンクは他人の魔力に干渉をすることにより、相手の能力値に影響を及ぼすことが出来る。つまり、戦闘でもよく利用される技術なのだ。



 戦闘に使われる魔力リンク技術としてまず最初に紹介するのは、味方の魔力に干渉をすることで魔力を増幅させ、その相手の発揮できる能力値を上げる手法。ゲームで言うバフ行為だ。サポート役のパーティーメンバーが、前衛の戦士に魔力リンクをしてステータスを上げるというのはよく使われる戦闘法のようである。



 反対に、敵の魔力に対してリンクを仕掛け、相手の体内にある魔力をかき乱すことで敵が発揮できる能力を下げてしまうという方法もある。いわゆるデバフ行為だ。これが次に紹介する方法である。



 特にデバフは人間だけではなく魔物もよく使ってくる戦い方であり、アマンダさんとマーリンさんいわく、戦いを生業にする者にとっては絶対に対策をしなければいけないものなんだそうだ。なぜなら魔力を使って体を動かせないと、自分が持っているステータス値を一切発揮することができなくなるからだ。



 つまりどれだけ本人のステータス値が強くても、魔力リンクに対しての防御がまったくできていないと、敵に強力なデバフを重ねがけされてしまい、この世界ではまともに戦うことすら出来なくなる。



 こういった仕組みで、この世界では補助魔法が使われている。純粋な戦闘能力も大切なのだが、ステータス値に影響を及ぼす補助魔法も同じくらいに大切なのだ。



 そして魔力リンクによるデバフには、自分の周囲にある魔力一帯をかき乱すことで、多人数に対していっぺんにデバフをかけてしまうというやり方もある。



 高ランクの魔物にいたっては、魔物が持つ高すぎる魔力値により周囲の魔力が圧縮されていて、近づくだけでもこちらの魔力をかき乱されてしまうことがザラにあるらしい。



 さらに災害級のハイレベルな魔物になると魔物の周囲に存在する魔力が広範囲に歪んでいて、魔力リンク技術が下手な人間は近くにいるだけでも、まともに動くことすら出来なくなるそうだ。



 だからAランク冒険者であるアマンダさんたちは、実は魔力リンクの技術がものすごく高いことになる。



 そうでないと周囲の魔力に干渉し、強力なデバフを撒き散らす魔物のような高ランクの魔物を狩ることが出来ないからだ。



「それなのに、アマネが私たちとの魔力リンク勝負で勝てるのは異常……」



 そう。俺が手に入れた寝取りスキルの効果は、この世界とものすごく相性が良かった。魔力の支配権の奪い合いで、戦いの勝敗が決まると言ってもいい世界だからだ。



 俺はアマンダさんとマーリンさんの話を聞いて、この世界で生きるためには魔力リンクの技術が欠かせないものだということを知る。



 最初は創造魔法が当たりで寝取りスキルはハズレだと思っていたが、相手の魔力の弱点が自然に分かるという俺の寝取りスキルは、この世界では最高のスキルなのかもしれない。



「アマネの魔力の使い方、絶対におかしい……」



 マーリンさんが一人でぶつぶつと、俺が持つ魔力リンクの技術について考え込んでしまっている。そんな彼女の姿を見て、いたずら心が湧いた俺は少しマーリンさんをからかってみることにした。



「じゃあ、実際に今から俺と魔力リンクをして、俺のやり方がどういう風に変か確かめてみますか?」



「――えっ!?……そ、その」



 少し照れてしまったマーリンさんに、俺は魔力リンクを仕掛けることにする。俺のその行動に対してマーリンさんはイチャつく恋人のように、楽しそうに笑いながら仕返しをしてくる。俺とマーリンさんはお互いに魔力リンクをし合いながら、魔力で繋がり合った。



「……ダメ♡……アマネ♡……あっ♡……んっ♡……はぁ♡」



 ――にゅうううううううん♡



 俺の魔力リンクに魔力秘孔を刺激され始めたマーリンさんが、心地よさそうに身悶え始める。そしてそんな俺たちの行動を見たアマンダさんが、慌てたように騒ぎ出した。



「おい!マーリンだけ、ずるいぞ!――はぁぁぁぁぁぁぁっ♡」



 俺はマーリンさんと魔力リンクを続けながら同時にアマンダさんとも魔力リンクを開始して、彼女の魔力秘孔を責めていく。アマンダさんはあっという間に、とろとろの顔になって身悶えてしまった。



 どうやら俺は同時に複数人と魔力リンクをしていても、特に問題なく魔力をコントロールできるようだ。



 複数人同時の魔力リンクはこの世界では高等技術のようで、マーリンさんとアマンダさんが驚きながらも、心地よさそうに桃色の声であえいでいる。



 これは、この世界での俺の戦い方が見えたかもしれないな。特異な魔力リンクの技術を持つ俺は、これからは魔力リンクを利用した戦い方を中心にして独自の戦闘法を学ぶことにしよう。そう決めた。



「……んくぅぅぅぅぅぅぅ♡――っ♡――っ♡」



「――はぁぁぁぁぁぁぁんっ♡……あっ♡……あっ♡」



 ヒク♡ヒク♡ヒク♡



 俺はアマンダさんとマーリンさんの魔力秘孔を、同時に魔力解放させてあげる。二人は一緒になって、気持ちよさそうに体内から淀んだ魔力を放出していた。



 高い魔力リンクの技術を持つらしい俺には、こういうことも簡単にできる。さながら、ものすごく便利な第三の手のような感覚だ。



「……アマネのバカ♡」



「……私と魔力リンクをするまでは、魔力童貞だったのに♡……上手すぎるぅぅぅ♡」



 こうして俺の、のんびりとした一日が過ぎていくのである。



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