とある少年の短い話

トコロテン

お話

とある少年は、今年中学生に進学した。

これまで彼は、1度も人を好きになったことがなかったんだ。

だけど彼はある日、隣の席の女の子に恋をしてしまった。

一言で言えばよくある初恋の物語ってやつだ。


まず、初めに会話したのは入学初日。

たまたま出席番号が近く、初めて会うこともあってクラス全員仲良くなろうとしてた。だから、何も違和感は無い光景だった。

最初に話してきたのは彼女で、

「初めまして。私はBだよ!よろしくね」

と挨拶してきた。そこで彼も同じように

「初めまして。僕はAだよ、今年1年よろしくね。」

と答えた。これが彼と彼女の初めての顔合わせだった。


次に彼がなぜ彼女を好きになってしまったかお教えしよう。

彼が惚れた理由の一つとしては、自分の性格に問題があったのにも関わらず、自分に優しく接してくれていたからだ。

彼は多くの人に苦手意識のようなものを持たれていた。

その理由の一つとしては、人と感性が少しズレていた。言い方を変えれば軽度の厨二病だったからだ。

少しも相手のことを気にかけることもせず、簡単に傷つくようなことを言ってしまう典型的なお馬鹿だったからだ。

しかし、その事も気にせず彼女は彼と仲良くなってくれたからだ。

そして、彼が惚れた時に彼女が言った言葉がいつも自分の励みになっているらしい。少し歳をとった今でもだ。それが、次のようなことだ。


「なんでBは、僕のことをこんなに構ってくれるの?自分で言うのもアレだけど僕、割と性格悪いの自負してるんだけど」


「私はそうは思わないからだよ」


「なんで?」


「私はAくんがとても優しい男の子だって知ってるからだよ」


彼は笑いながら答えたそうだ。


「大丈夫?なんか悪いものでも食べた?」


しかし彼女は、真剣にこう答えたらしい。


「いいえ、私は本気で言ってるのよ。どこに私がそう思ったか言ってあげようか?例えば、私が雨の日に傘忘れたときのこと、あなたは何故か持ってもいない置き傘があると言って貸してくれたじゃない」


「他には、重いものを運んでいた人(もちろん男女関係なくよ)のこともよく手伝って上げてたじゃない」


「だから私はあなたが優しい人だと思ってるのよ」


そう彼女は答えたらしいんだ。

その時に彼は彼女に惚れてしまったらしい。

ただ、そう気づいたのはもう手遅れな時だったらしいけどね。


次に事が起きたのは1つ年齢が上がった中学2年になった時のこと。

元々彼と友達だった男の子(Cくんね)と彼女と友達だった女の子(Dさんね)も同じクラスになったらしいんだ。

彼らはすぐに仲良くなったらしいよ。

田舎に住んでいたから、娯楽もあまりなかったんだけど電車やバスを使って4人で隣町に遊びに行ってたらしいんだ。

そこで、ある平日の学校があった時。

彼が好きだった女の子に、彼以外の2人が誰が好きなのかを聞いていたらしい。

彼も誰が好きなのか、中学生だったからいわゆる思春期だからどうしても気になってしまったみたいなんだ。

その時の会話で大きなことが起きたらしい。


「ねぇ、Bちゃんがすきなひとってだれなの?」


「それ、俺も知りたい。教えてくれない?Bさん」


「えー、言えないよ」


その時は彼女達も笑いながら話していたんだ。


「なんの話ししてるの?皆様」


「お、Aか。今Bさんが誰のこと好きなのか2人で聞いていたんだよ」


「そうよ、最近なんかBちゃんがソワソワしてたから、女の勘が違和感を感じとってね」


「へー、そうなんだぼくもきになるな、教えてよ!Bさん」


「そこまで言われると…分かったよ。1回しか言わないからね」


「私…Cくんのことが好きです」


その時彼はすごい衝撃を受けたらしいよ。さすがに自分じゃないことは分かりきっていたけど、まさか自分の1番の友人だったとは思わなかったからね。

ま、そんなこんなでBさんは自分の気持ちを正直に話したからめでたくお付き合いすることになったらしいんだ。

私は、その時自分の気持ちに気づいていたのだけども、どうせ無理だと考えていたから実行はしなかったから家に帰って枕を濡らして寝たらしいよ。


次の話だ。

花火大会の話だね。BさんがCに告白のようなものをしてから数ヶ月が経ち夏真っ只中になった時の話さ。

ちなみに彼らはどうやら両思いだったらしく今でも仲良くしているらしい。

そんなどうでもいいことは置いといて、花火大会の一週間前、学校で今か今かと待ちわびている緩い男たちの中で1人フワフワしている奴がいたらしいんだ。

彼はそいつ、Cにどうしたのかと聞いたらしい。


「どうしたんだ?そんなにフワフワして。そんなに花火が楽しみなの?」


「いや、楽しみには楽しみなんだけどさ、それよりもBの浴衣が見れるかもしれないことに希望を抱いているんだ。」


「ノロケかよコンチキショー!」


いつも通りのノロケだったらしいんだけどその時のは少し違ったらしい。


「Cがそうして欲しいなら、私着てくるよ?」


Bが私たちに、近ずいてきてそういったのである。


「マジで?」


「うん。マジで」


いつもだったら彼と関係ないところでやるのだが、今回はどうも違った。そして、このことからまだ仲がいいことが分かったらしいんだ。

そして、花火大会当日私は1人寂しく花火を見ている…訳ではなく部活の先輩(当日吹奏楽部だった)や後輩、同級生と少なかった男子部員で見に行っていたらしい。

そこで、大会が始まるすぐ前先輩も含めジャンケンで負けた人が買い出しに行く謎のゲームで、1人で負けた彼の話だ。

彼は1人で負けたためとりあえず早く戻ろうとして、歩くのが早くなっていたらしい。

歩いている中ばったりと2人に出会ってしまったとの事だ。BとCである。


「あれ、Aじゃん。何してるの?そんな大荷物で」


「買い出し。ジャンケンで1人負けした」


「1人負けって、ジャンケンそんなに弱かったのか?」


B、Cが2人で話しかけて来たらしいんだ。


「ジャンケンに弱いもクソもあるかってーの」


そう言うとCが笑い

「なんなら手伝ってやろうか?大変そうだし。時間もまだあるしさ」

と言ったらしい。

そう言われて私は彼が大丈夫なのか心配したんだ。

自分の彼女と一緒に言うなればデートしている中自分の友人のことを手伝うと言い出したからである。

そのため、私は彼の好意を断った。


「いいよ、僕の仕事だし。てか、お前Bと来てるんだからそっちの方優先しやがれ馬鹿野郎。」


「そうか、お前がそれでいいなら辞めるけど」


「ええよ、大丈夫だからさ。だから楽しんできな」


「ありがとさん!」


そう言って2人は立ち去って行った。

私はその時心底自分に嫌気が差したよ。

軽口しか叩くことの出来ない小心者だってさ。

そして、花火大会翌日。

平日だったため普通に学校に来たのだがBが首に絆創膏を張っていた。

理由を聞くと「Aだからいいか」と言い、キスマークだと答えられた。

その時私は随分胸がいたんだそうだ。「もうそこまで言ったのか」と軽口は、叩けたものの自分の行動に動揺が出ていないか考えたほどだ。


そして、最後の話はだいぶ時間が飛んで卒業式

私はもう手遅れだと知りながらもBに告白しようと思ってた。

しかし、やろうとは思えなくなってしまった。

まず、私は卒業式終わったあとにその話をしようと思ったのだ。

しかし、仲がいい4人で写真を撮るなどの話を親が言っていたのでそちらを優先してしまった。

しようと思わなくなった理由はたった一つの小さなことだった。


「いやーこれで中学生も終わりだな」


「そうだねぇ。ところで高校行ったらどうやって連絡とる?」


「どうせいつものグループだと思うから携帯で良くないかな」


「そうだね」


私たちはこのような会話をしながら帰宅していた。

全員が同じ帰宅路だったためいつも4人で帰っていたのだ。

そして、BとCが少し離れていったのを見て私はどうしたのかと思い悪いと思いながらも耳を立ててしまった。


「Cくんは高校に行ったらどうしたい?」


「どうしたいって…今までと同じがいいな。俺はそう思ってるからさ」


「そうなのね、じゃあ私もいつも通りにするね。」


この会話で私は邪魔しては行けないと思ってしまった。

思春期だからどうせ無理だと思っていたからなのか、すぐに諦めが着いた。

特に何も進展はなく、彼自体も主人公のようになりきれず、ましてや他人のことを自分の事のように喜んでいるフリまでした者である私の話

それはここで終わった。

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