コロナ禍 変わる客の言葉。その話、必要ですか?

 過度な接客と質問責め以外に、もうひとつ苦しかったことがあります。


 それはお客様の、悪意のない愚痴。


「どこ行っても商品ないねぇ」


「忙しくて店員さん捕まえられないよ」


「人少ないの?見つけるの苦労したわ」


 お客様は冗談で、悪意なくそういったことをいってきます。いわゆる、雑談の域でそこからさらに他愛のない話に発展します。


 もちろん、ずっと殺伐とした空気のなか仕事をしているので、ふとそうした誰かと他愛ない話ができるの機会は非常にありがたいです。なので、嫌というわけではないんです。


 そういう訳じゃないですが、愚痴って言わば悪口ですよね?

 その悪口、毎日誰かも知らない人から一言づつ聞かされるこっちはどうでしょう?


 めっちゃしんどいですよ。

 自分のことを言われてるわけでも、店を直接非難されたわけでもない。大抵は関係ないスーパーさん等の別小売店のお話。


 でもその一言、必要ですか?

 必要な言葉は、もっと別にあるんですよ。


「どこ行っても商品ないから“大変だね”。」


「忙しくて店員さん捕まえられないよ。“大変なんだね”」


「人少ないの?見つけるの苦労したわ。“大変だね。”」


 そうですよ、こっちは大変なんです。ちょっとでもいいので、同情の言葉くらいほしいです。そうすれば、愚痴はこっちに直接向かず、労いの言葉のおかげでマイルドになります。


 お疲れさま、ご苦労様、大変だね、ありがとう


 せめて最後のありがとう、位はほしい。

 欲張りですが、そう願うくらいには、心はすり減り続けていました。


 本音を言うと店員皆そっとしておいてほしい。ですが、従業員以外の誰かと話すのも、大切な時間です。主に息抜きと言う点で。


 その大切な時間が、嫌な時間にならないために。どうか皆様、店員さんに声をかける状況になったら、一言でいいのでありがとう、っていってください。


 それでほんのちょっぴり、頑張れますから。

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