コロナ禍 第二の大波(トイレットペーパーパニック)

 皆さんはコロナでなくなった商品、と聞くと何を連想しますか?


まず真っ先にマスク……その次といっても過言じゃないのはトイレットペーパーとティッシュ……所謂紙製品ではないでしょうか。


 マスクが品薄で入荷していないことがしれわたり、それにより次々なくなっていったアルコールやガーゼ……もう流石になくなるものはなくなるだろう、そんな考えが浮かびました。


 あまりよくないが、商品がなくなれば店の売り上げは上がらず、つまり暇……落ち着きを取り戻す。過剰需要に必要以上に対応していれば店より先に人がつぶれますから、とにかく暇がほしかったです。


 しかし、私たちに落ち着きなんて平穏は訪れなませんでした。


 ある日突然、レジに並ぶお客様がその手にトイレットペーパーを大量にかかえ始めたのです。両手に一個ずつ持って更にカートに乗せている人もいました。いったい何があったのか……それはすぐに判明しました。


 トイレットペーパーがなくなるという誤報がテレビで流れたのです。それも最悪なことにお昼間のテレビ、見ている人が多い時間に。


 これによりあっという間にトイレットペーパーはなくなってしまいました。個数制限はすぐに設けましたが、それでも意味はあまりありません。以前書いた通り、個数制限を守らない輩が多すぎたからです。


 そもそもトイレットペーパーは在庫が店にないだけで、トラックさえあれば在庫がなくなることはなかったのです。


 それでも品薄になったのはなぜか?

 簡単です、日本人が買い占めてなくなったから、です。


 つまり自国民が我の首を絞め続けた結果です。


 従業員は客の顔を覚えていられません。マスクの時と同じように時間を分けて並ばれたりされると、もう収拾がつかないんです。


 そうして個数制限は事実上意味をなさず、在庫はつきました。


 人なんだし、少し位融通を聞かせろ、という人はいるでしょうが、それはできません。一度許せば、あいつにはやってやっただろ! 他の店ではやってくれたからやれ! と個数制限の意味がなくなるからです。


 店員が頑なになる理由はそれなりにあるのです。なにも忙しさからお客に当たってるわけではありません。なかにはそういう人もいるでしょうが、その場合殆ど客が先に怒らせてる場合ですよ。そりゃたまに、ほんとに先に客を怒らせてる人いますけど。口コミのかかれた大半の「従業員の態度が悪い」は宛にしない方がいいです。


 ……すみません、また話がそれました。とにかく、一週間も持たずにトイレットペーパーの棚もすっからかんになりました。マスク同様、質問責めの項目がまたひとつ増えてしまったのです。


 毎日毎日毎日毎日……

 マスクはあるか、トイレットペーパーはないのか、いつ入るのか、人がいない、態度が悪い、店の商品が少ない……


 正直限界でした。

 日本人って、こんなに見境なく品もない人種だったんだなと、絶望しました。


 とくに個数制限なんてのはひどい。お一家族様と書いているし注意もしてるのに、明らかに旦那と嫁で買いに来ている。ひどいときは子供さえ使う。


 注意をされれば違うと言い張り、今そこの方をお父さんって言いましたよね? というと、家が違うんだとキレられる。どんな家庭だてめぇらの家は……。


 おっと失礼。言葉が悪くなりました。

 個数制限を守らないお客を注意するのは本当に骨がおれます。


 何せ向こうは、注意されることを前提でそれでも押し通すつもりできているのです。そんなのを一人ならまだしも何人も一日相手をしていればこっちがまいります。


 つまり私たちは、負け戦に放り込まれた歩兵に過ぎません。


 しかも武器なんて装備されていない。変わりに渡された防具はただひとつ。


 過剰接客


 この重石のせいで、これからどんどん苦しくなっていったのです。

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