俺の彼女がお酒を飲んだ日(2) 

「今日もいっぱいいっちゃおー!」

  

 そんなことを言いながら、もうお酒に手を出しているみな。

 

 昨日の出来事があってから、今日もお酒を飲むという結末。

 

 とてもじゃないが、頭が痛くなりそうだ。


「ともくん乾杯!」

「はい、乾杯」

  

 俺は飲んだフリをし、みなをいつでも落ち着かせられるようにする。


 飲んだみなは止まらないと分かっているからだ。


「とも〜ひくっ」


 しゃっくりが出ている。

 

 これからしゃっくりに苦しむだろうことが予想できる。

 

「ほら、落ち着け」


 酔い潰れているみなを落ち着かせようとするが、もう手遅れだ。


 これで何杯目だろう。机の上には多くの缶が置いてある。

 

 これ以上飲むと、大学にも支障が出てしまう。


 俺はそう思ったので、崩れ落ちたタイミングで俺はみなをベッドに運ぶことにする。


「うぅー、あぁ〜」


 すると、俺の望んでいた展開になり、みなが床に崩れる。


「みなベッドでん寝るんだ」


 そう言い、俺は腰に手を回す。


 お姫様抱っこの状態だが、みなは軽いので簡単に持ち上げられた。

 

 暴れもしないいので助かった。


 そしてベッドまで持ってきて、そっと下ろすと、俺の腕を力強く握られた感触がする。


「どうしたみな」


 みなの手だ。

 

 細い腕からは想像できないほど、力が強い。


 そして、みなの表情をチラッと窺うと、苦しそうな顔をしていた。


「大丈夫か……?」

「智也……」

 

 そんな苦しそうな声が漏れている。


 だが、このときみなの考えていることが少しは分かった気がした。


 俺のことを高校生の頃の呼び方で呼んでいたからだ。


 みなは今高校生の頃を思い出している。


 そして、この表情。


 あのいじめの件のことだ。


 俺は力強く握ってくるみなの手をもう片方の手で握り、ぐっすり寝るまで待つことにした。

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