俺と彼女の事件(1)
高校2年生の頃俺たちに事件が起きた。
「別れよう」
「なんでよ……」
そう、俺から別れを告げた。今でも彼女の顔は覚えている。あの悲しげな大事なものを失った顔。
そして——別れることになった。
理由はもちろんあった。
俺の高校時代、唯一の親友だった
「どうしたらいいんだ……」
「恋愛にそれは起こりうることだよ」
「でも、あそこまですることあるかよ!」
「人は嫉妬をし、強欲になる。逆に欲のない人は嫉妬すらしない」
東阪は一部の女子にいじめられていた。それも、クラスの中で一軍と呼ばれる女子たちにだ。一軍の女子の中に俺のことが好きという人がいたらしく、嫉妬し、東阪にいじめをしたのだ。
東阪の友達は慰めるだけで止めに行くことはなかった。それも仕方ないことだとは思った。止めに行ったら標的にされると思ったのだろう。
「分からない……、先生に言っても相手にしてくれないんだ……」
「
俺は先生に相談して相手にされなかったことにムカついてしまい、先生に飛びついてしまった。あの時の自分は理性も何もなく、ただその時の感情に任せてしまっていた。
そして3日間謹慎になった。担任も大事にしたくないらしく小さな出来事として収めたため3日間ですんだ。それも担任は学校側にいじめがあることを知られたくなかったのだろう。
「東阪も俺に相談してくれない」
「東阪なりにも考えがるんだよ、東阪のことだから迷惑かけたくないとか思っているんだよ」
確かに東阪は俺を第一に考えてくれていると思う。でも、いつも頼ってくる東阪には今回は不安がいっぱいだった。
「でも、あのいじめは俺でも気付く。酷すぎだ……」
「確かにあんなあからさまないじめは酷い……」
「東阪の友達は俺に相談して来てくれたのに、俺は何も止められてない……」
***
いじめにあっているのを疑い始めたのは5日前のこと——
その日学校に着くと東阪は顔を隠しながら
「東阪、大丈夫? 体調悪い?」
「ううん、大丈夫」
「そうか、ならよかった」
彼女は顔を伏せたまま返事をした。今思うとあの時、東阪の声は震えていたのかもしれない。
少し話したかったが、東阪は顔を上げる気がなさそうなので自分の席に行きスマホをいじり時間を潰した。
その時、女子の一部の笑い声にとてもイラついた。
昼休み——
『今日は友達と食べてくる』とメッセージが来ていたので
昼が終わり、教室に行くと彼女はいなかった。授業も始まっても来ないので、授業中だが、スマホをいじり『何してるの?』と送った。
その返事はその日帰ってこなかった。
次の日の学校の朝、東阪はスマホをいじっていたので訊いてみることにした。
「昨日なんかあったの?」
「ん? あ、スマホなくしちゃって今日朝きたらあったの」
「あ、そうだったんだ」
東阪は体育の時にスマホを無くしたらしく、今日朝着いたら見つかったと言う。
授業もあっという間、昼休みになる。今日も東阪は他の人と食べる予定らしい。
今回は昼休みが終わってもいて、授業にも参加していた。
だが——髪が濡れていた。
服は体操着でそれもよく一緒にいる友達の名前が書かれているものを着ていた。
なんで体操着を着ているのか気になったので訊くことにした。
「なんで体操着なんだ?」
「いや、制服ご飯手べてたら汚しちゃって」
「ドジだな〜」
「やめてよー! そういうの〜」
俺はこの時いじってしまった。この時、東阪はどう思っただろうか。
その日の放課後はなぜか別々に帰ろうと言われた。
そして—— 俺は東阪の友達に呼び出された。
俺は東阪のいじめに関して聞かされた。いじめを受けていると言われて、最初理解できなかったが真剣に彼女たちの言葉に耳を傾けた。
スマホが隠されること、体操着を捨てられたこと、トイレではまさかのバケツで水をかけられたという。
ほんとにそんなことをする奴がいるのかと思ったが、あの状況にしっくりくる。返信がなかった時、髪が少し濡れていて、友達の体操着を着ている時。
他にも細かいいじめを受けているらしい。
俺は別々に帰ったが、今は学校の近くの駅らへんだろうと思い、東阪に『家まで送って行くから駅で待てる?』と、メッセージを送った。返信がすぐなかったら電話をしようと思ったが、すぐに既読がつき安堵した。そして、『いいよ、待ってるね』と返信がきた。
「待たせてごめん」
「いいよ、ありがとね送ってくれんなんて」
「いや、いいよ」
「やっぱ智也は優しいや」
駅に着き彼女と合流することができた。
だが、言葉には気力があまり感じられない気がした。
俺は東阪にいじめがあったのか直接訊くのはやめておこうと思ったのである。東阪は俺に隠そているため、知らないふりをして裏でなんとかしようと思った。
だが、東阪の彼氏として相談はしてほしいと思うところはある。なので話してくれたら、少し気持ちも楽になるといいなと思いながら遠回しに訊こうと思った。
「東阪最近なんかあった?」
「え? なにも?」
「そう……、ならいいんだ」
言ってくれないらしい。それも仕方ないなと振り切れた。でも、これ以上いじめがエスカレートしていくなら、俺は何か解決策を見つけなければならないと思った。
が、いじめはエスカレートしていき、5日後、累に相談している時、俺はなにも解決策を出せないまま引きずっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます