俺と彼女の初体験
付き合い始めて1日目、東阪と俺の家で遊んだが何もなかった。
でも違う。俺は誘われた!
朝学校に向かう途中にスマホが震えた。そこには『今日うち来れない?』という内容だった。
その時の俺は遊びに誘われて嬉しいということしか考えてなかった。
学校に着き、真っ先に東阪の方に目が行った。今日もかわいい……!東阪は一軍などといった、陽キャラのグループではなく清楚なイメージを持った大人しく人懐っこさでいろんな人と話している。
すると、東阪の周りの人たちがこちらを向いた。ん?俺か……?そう思っていると東阪と目があってしまい首を前にこくんっとして挨拶した。最初はしょうがない!
昼になり廊下に出ると後をつけていたらしく東阪が後ろから声をかけてきた。
「
「お、おう。どうした?」
急に大声で呼ばれてびっくりする。周りはもう昼休み気分なのか騒いでいて俺たちの声は聞こえていないらしい。だが、俺のクラスの女子たちがドア越しからこちらの様子を見ている人の視線を感じた。
「今日、遊べるんだよね……?」
「え、もちろんだよ!」
「はあ……、よかった……」
「どうした?」
「い、いや、うちのメッセージに反応してくれなかったから……」
「え⁈」
スマホを見ると、俺は既読をして何も送っていなかったらしい。”嬉しい”が頭の中でいっぱいで返信するということを忘れていた……!
「ほんとだ……、ごめん! でも今日は遊べるよ!」
「そ、そう‼︎ じゃ、じゃあ今日うちの家ね!」
「ああ、おっけー!」
そして、教室に戻っていく東阪を見ると、友達に頭を撫でられていた。
でもその中にちょっと不満の顔をしているのが
放課後——
俺たちは正門で待ち合わせをして一緒に下校し、東阪の家に向かう。
家に着くと、家には誰もいなく、静かな家だった。
「部屋でいい?」
「うん、いいよ」
部屋に誘われ東阪の部屋に行くことに。
入った瞬間目に映ったのは、何もなかった。何もなかったそれもそう、ザ・シンプルって感じだ。ベッド一つに花が数カ所置いてあり、勉強机があるだけ。匂いは花から来ているのかとても甘い匂いがした。
「シンプルでしょ?」
「うん、でもこういう部屋も好きだな」
「みんなにはもっといろんなもの置きなよって言われるんだよね」
友達のことだろう。そして友達のことで聞きたいことを思い出した。
「今日なんかあったりした? 今日めっちゃこっち見てくるんだよね」
「あ、そう、付き合い始めたの言ったの」
「あ! そういうことか。だからか」
「みんないい人だから応援してくれるんだ」
「元気な子もいて雰囲気いいよね、見ててわかるよ」
「でしょ!」
東阪は人間関係に恵まれていていいな、と思う。そして彼女がいて言うのもなんだが美少女の塊美少女の塊《かたまり》だ。清楚系な人もいれば元気で明るい子もいる。人当たりもよくみんな平等に接してくれる人たちなのでとてもいい印象なのだ。その中に東阪もいる。
と、そんな時——
すると——腕を腰に巻きつけてきた。
ハグとは違い全体に包容感を感じないが、腕は暖かく腰のあたりが熱くなるのを感じる。東阪は何をしているんだ⁈ そう思って仕方ない。急に腕を巻いてきたのだ。いや、カップルだから普通なのか……? 体の触れ合いなんてカップルに付き物だ。
そんな時——腰に巻いた手に力が入った気がした。
「っ⁉︎ やめっ……⁉︎」
そして、耐え切れなくなりベットに寝っ転がり、なんとか離そうと必死に暴れる。すると、急に東阪は力を
くすぐりが終わったと思い、安堵していると、心も一緒に落ち着いたのか、寝っ転がっていることに気づく。そして——横を見ると、そこには東阪の耳の付け根まで真っ赤になった東阪の顔があった。
思わずドキリとしてしまう。誰だってドキッとするだろう。目の前に好きな人の顔があるのだ。
が、そのドキッとした瞬間だった。唇に温かい感触が触れたのだ。
「いやだ……?」
「ど、どうしたの……?」
俺にはキスなんて当分できないだろうなと思っていたのでイマイチこの状況に頭が追いついていなかった。
「いや……」
俺の問いには答えず、こんどは俺の上に乗っかってきた。
「と、東阪⁈」
「うぅ……」
なぜか唸っているが、顔が真っ赤なのに改めて気づく。
そして、上乗せの状態のまま、顔をこちらに近づけてきて、また唇に温かい感触が伝わった。本日2回目。
その後はお分かりだろう。俺も東阪の体に触れお互いに触れ合い、その後は——。
「気持ちよかった?」
「う、うん」
「少し勉強したんだ」
「そんなことまで⁈」
「やりたくなちゃって」
東阪は家に誰もいないのを理由に今日やるつもりだったらしい。入念に勉強もしたのだと言う。
雰囲気の作りかたや、声の出し方、気持ちよくさせるにはなども調べたと言っていた。
「私初めてだったんだよ?」
「俺もだよ……」
「お互い卒業!」
「そ、そうだな!」
今は行為をしている雰囲気がなく、いつもの東阪である。でも、いつもより元気だなと思う。
「またやろうね……‼︎」
「あ、ああ……!」
俺の彼女はとても積極的だった。
——これが俺たちの大事な初体験である。
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