おかえり 俺の彼女  

 ドアが開く音がした。みなが帰ってきたのだろう。先に寝ていいと言うが、寝てはいけないと言うことが分かっている。それは、酔ったみなは——


「おかえり、みな」

「ん? ふぁ〜、寝ていいって言ったのにい」

「あー、こりゃまたずいぶん飲んだな」

「少ししか飲んでない」

「水持ってくるから、ソファーに座ってて」

「は〜い」


 とか言って、ソファーに座らず、服を脱ぎ出す。毎回飲んで帰ってきた時なぜかはいまだに分からないが最初に服を脱ぎ出すのだ。そして、先に寝ててって言っときながら先に寝ると、上に乗っかって起こしてくるのだ。本人曰く、帰って俺がいないと嫌らしい。先に寝てての言葉は忘れている。


「お風呂軽く入ってきちゃいな」

「うん」


 短く答えて、みなはお風呂場に行った。お湯は入れてないから危険はない。

 そして、この時間にやることが俺にはある。


—— パジャマの準備だ!


 これは欠かせない。これをしないと全裸で、出てくるのだ。そして中学生の頃みたいに行為に積極的になる。前はこんなことがあったがしないで終わった。俺がなんとか抑えてのだ。


 理由は簡単。第一、今は深夜2時だ。このまま性行為をやってしまったら寝る時間も2時間とか3時間になってしまう。無理をさせてはならない。

 なので、すぐにベットに行かせられるようにパジャマの準備は欠かせない。


「智也〜」

「なんだ?」


 呼べれて返事をしたが反応がない。無意識に呼んだのか?

 そんなことを考えていると——


「なっ⁈」


 なんで裸なんだ⁈ パジャマを用意したはずじゃ……。


「ほら、早く服着て寝な」

「え?」

「え? って言われても」

「だって、今日やろうね……って話じゃ……」

「あ、ああ!」


 そこは覚えているのね! 悩むな。ここは断って、無理をさせてはならない。いや、待て、朝の準備を俺がやればいいのでは? そしたら1時間ぐらい長く寝れることになる。いつもやってもらっててその考えにすぐにたどり着けない俺は情けないと思った。


 よし、やろう!


「そ、そうだな。じゃあ」

「うん!」


 そうして——俺たちはやってしまった。


 酔ってる時の、みなはやはり可愛かった。


 朝——


「智也早いね」

「ああ、朝ごはんできてるから食べてね」

「うそ⁈ ごめん!」

「いや、謝ることじゃないよ。昨日お疲れだったからね」

「そうだっけ? ありがと!」


 おそらく深夜2時ぐらいに帰ったことは覚えてないのだろう。行為は忘れてないと思うが……。


 顔などを洗い戻ってきた。


「じゃあ、いただきます!」

 

 そう言い、美味しそうに食べてくれてて、ホッとする。

 俺も自分で作ったご飯を食べ始める。


「いただきます」


 ご飯の時は友達の話や、世間話をする。


 みなはうる覚えだろうが、飲み会の時の話をしていた。とても楽しそうに話すので、よかった半分、嫉妬半分ぐらいである。


 嫉妬って言っても、俺も、みなと飲んではしゃいだりしたいなと思ったりである。


 ご飯も食べ終わり、大学に行く準備をする。パソコンをしっかり持って、玄関に向かう。みなが待っている。


「行こっか」

「ああ」


 キス。行ってきますのキスだ。


 この習慣も大事にしたい。こんなの結婚してる人みたいじゃんって思われるだろう。でも結婚はしていない。結婚はできる歳だ。


 俺はそろそろ結婚のことも考えてもいいんじゃないか、とも思っている。


 実際、みなも思っているんじゃないかと思う。


 その理由は最近である。みなが「ゴムなしでやらない?」と言ったのだ。その時は俺はびっくりしたが結局ゴムなしでやった。彼女にも理由があるらしかった。最近女の子の日があれでピルを飲み始めたと言っていた。それでゴムなしでやらないかと言ってきた。


 だが、もちろん中には出してない。ピルは避妊用でも使われていて、100%避妊できるが、俺には怖かった。


 

 学校に着き、お互いに別れる。手を振って。

 

 学校では累といることがほとんどだ。授業も一緒なので自由席で隣同士になる。


 俺は案外、学校生活が好きなので早く終わる気分になる。もう午後かと言う感じだ。

 

 そうして、学校も終わり帰宅する。校門には、みなが待っている。これも習慣だ。たまあに、俺の方が先に待つこともあるが、ほとんど先に、みなが待っている。


「ごめん。遅れた」

「いつもと一緒じゃん、帰ろっか」

「ああ」


 そうして、帰り道も学校の話やら、時には高校生の頃の話をして帰宅する。


「「ただいま〜」」

「「おかえり〜」」


 いい響きだ。


 このあとは大学の課題をしたり二人のイチャイチャタイムが続く。時には本を読む。俺はミステリー小説が好きなのだ。どういう結末になるのかハラハラする気分になったりするのが実にいい。


 みなはというと、最近料理の勉強をし始めたのだ。めっちゃおいしいのにと思うがなんで勉強しているのか聞くと、なんか濁らされる。


 そういえばと思った。


「みなって結婚とかどうしようって考えてるか?」


 素直に聞いた。最近では誰と、とは言わないが、結婚したら「何とかがしたいよね〜」という会話が多い。

 

  聞いてよかったのか——

 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る