大人な行為してもいいですか?

春丸

   俺の彼女

「なんでさせてくれないの?」

「恥ずかしいの」


 東阪とうさかみな。俺の大学生2年生に同級生の彼女だ。今は同棲もしている。


 艶やかな黒髪が腰まで伸び、目はくりんとしていてかわいい系のタイプだ。高校生3年生からの付き合いで大学でも一緒になり今は二人で一つ屋根の下で暮らしている。


「いつもそれじゃん」

「しょうがないの」


 そう言い、いつもキスや触る行為の後はやらせてくてない。


 だが、高校生の頃付き合って2日目で俺たちは経験している。それは、彼女の方からだった。

 

 彼女は高校生の頃、大人の行為にとても積極的だったのだ。「家行こ?」と言われドキリとしたのを今でも覚えている——その後の行為のこともしっかり覚えている。「気持ちよかったね」と言われたときにはほんとに嬉しくて抱きついていたりしたのだろうか。そこら辺の記憶は嬉しすぎて頭に入らなかったのかうる覚えである。


「わかったよ……」

「うん……、ごめんね」


 容姿はとても可愛く、スタイルもいいし、言動も男子からはとてもモテているという噂はよく聞く。だから、そういう行為をしたくなるし独占したいという気持ちが出るのはしょうがないことだと思う。


「じゃあ、もう寝よう」

「そうね」


 会話は短く終わり、服を着て寝ることになる。


 ああ、なんでしてくれないんだ。


「おやすみ」

「おやすみなさい」


 そして次の朝——


「智也おはよー!」

「ああ、おはよう」


 俺、信条しんじょう智也ともやが起きると毎朝「おはよう」という言葉がキッチンから聞こえるのが日課だ。いつも気持ちの良い朝が迎えられていることに感謝をしなくちゃなと思う。


「いつもありがとな」

「ううん、智也のためだもん!」

「ほんとにいつも嬉しいよ」


 そう言うと、そっぽを向いてしまい様子を伺うと、朝ご飯の料理で髪を後ろに結んでいて、耳が少し赤くなっているのが見て取れる。


「…… はい、朝ごはん……」


 味噌汁、シャケ、ご飯をリビングのテーブルに置き、ご飯を食べる。


「いただきます!」

「はい、召し上がれ!」


 健康にいいご飯を作ってくれて、そしてなとても美味しいと言う幸せだなと実感する。


「おいしい」

「ありがとう!」


 俺は知っている。彼女は料理の練習を大学の友だちに教えてもらったり、いっぱい努力していることを。


 だから、俺はほんとに幸せものだと思うし、そしてこの時間を大切にしたい。でも一番はみなをこれからも大切に、大事にしたいと思う。


 だからだろうか。独占欲によって大人な行為をしたいと思うのが。


 そんなことを考えていると——


「——今日は夜しようね」


 急なその言葉に「いいの⁈」と言いそうになったがそれだと俺がずっとするのを待ってたみたいに思われるかな、と思い喉の奥に引っ込めた。


「そうだな」


 短く返しそっけなくなってしまったがみなの顔はいつもと変わっていなかった。


「じゃあ、そろそろ大学行こ」

「時間か。行こう」


 食べ終わった食器を片付け、身支度を整える。準備ができ玄関に向かうと、みなは準備が終わっていて先に待っていた。


「行こっか」

「うん」


 そう言い、キスを一度する。


 行ってきますのキスは片方が外出する時に多いが、俺たちの場合は一緒に家を出るときにするのが習慣になっている。



 大学では学部が違うため授業では別々になっている。大学の話をよくするため交友関係は多少把握している。


 俺も大学生の友達の話をよくするため、みなも多少は把握している。その友達と今は学食で昼ごはんを食べている最中だ。


 そんな時、スマホが震えた。通知だろうか。


 俺は別に交友関係が広い方ではないため、こんな時間に連絡がくるのは、みなぐらいなのだが——


『今日、友達と飲みに行くことになっちゃった。多分また迷惑かけちゃうかもだから先に寝といていいよ。今日はできないかな……。』


 また迷惑かけちゃうというのは、みなはお酒にかなり弱く、俺から見ても飲んでる時と飲んでない時では、全く違うのだ。


 でも、そういうところも可愛いのも事実。


 想像して欲しい。彼女が飲んで帰ってきて、無防備に甘えてきたり、たまに地雷をいつ踏んだのか分からないが急にムッとしてソファーに飛び込んだりするのだ。そういうところも含めて魅力だと思う。


『わかったよ。帰りは気をつけるんだよ』


 そう送るとすぐにスマホが震えた。


『ありがとう!」


「はあ……」


 思わずため息をついてしまう。


 すると、目の前にいる親友の安佐あさまるいが声をかけてきた。


 累は、学校の中でもイケメンと女子からは騒がれており、身長も低くもなく高くもないというぐらい。目と鼻のラインがはっきりしていてキレイ。肌のケアもしっかりしていて、羨ましいとみんなが思うだろう。


 累とは実は高校からの友達なのだ。

 

 いろいろな事件があり、さまざまな思い出がたくさんある。


「どうしたのさー、ため息なんかついて」

「いや、彼女のことだよ」

「あー、彼女ね」

「そうそう」


 累にも、彼女がいるのだ。それも、みなと同じ学部で仲もいいという。累の彼女の名前は本堂優衣ほんどうゆいという。


 二人はなんと幼なじみで、大学生になってすぐに付き合い始めたのだ。


 話を聞く限り、中学の頃はお互い異性として見ていなかったが、高校生になり意識し始め、大学生になって累の方から好意を伝えるとうまく行ったらしい。

 

 実は、俺が一番推しているカップルである。


「そっちも大変だねー」

「お互い様だな」

「まあね」


 そう言い、累は苦笑する。


 結構、累とは彼女に話をしていて、最近こんなのがあったなど、惚気を二人で言い合っている。


「授業だし、戻ろっか」

「そうだな」



 午後の授業も普通に受け、家に帰ると、一人で本を読んだりと時間を潰していた。


 一人の時間はやっぱり孤独を感じつまらないなと思ってしまう。これ、という趣味があんまりないため何かに没頭することもない。


「早く帰ってこないかあ……」


 そんなことを呟くのであった。



 


 


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