第10話 伸るか反るか
<旧保安隊とは>
保安庁に警備隊と共に置かれた、日本における国内保安のための武装部隊、
警察予備隊を廃止して発足した組織で、現在の陸上自衛隊の前身に当たる。
<新保安隊とは>
自衛隊の下部組織に属し、自衛隊の補佐に徹する組織であり、国内の保安を
主な任務とする組織である、主な内容は以下の内容である。
化け物の討伐活動・ダンジョン内での治安維持活動・ダンジョン外での
治安維持活動、この3つが主な任務であるが、その他のダンジョン関連で
必要と判断された案件は、保安隊の任務に追加される可能性はある。
以上が今現在の保安隊の任務内容である、高林3等保査、秋月3等保査、
今の状況は保安隊のダンジョン外での治安維持活動となる。
未だに2人は所属する保安駐屯地は決まってはいない、だから臨時待遇で
貴官らには陸上自衛隊第1師団隷下、保安隊第1管区隊第1連隊第1独立討伐群
に編入する、異論は認めないとの川野代行のお言葉である。
謹んで拝命してくれたまえ、そして任官おめでとう。
今は口頭でだが、何れは文章で手渡す事になるが、それまでは我慢して
くれ、貴官らの上官である私でさえ、まだ口頭でしか言われてないのだよ。
今の説明を無線でしてくれたのは、組織の最上級幹部にあたる人で、名は
古林
そして、俺の直属の上司にあたる人物の名も聞かされていた。
それと、
この2人が自分達の直属の上司になると、
言葉であった。
俺は髭2尉に敬礼した後にキャビンから外にでると、秋月さんが俺に謝ってきた。
「おじさん、おじさんは戦いから逃げたいってのは知ってるけど、政府の人に言われた事を考えたら、私達に選択肢なんって無かったのと同じだし、それならば政府の人が納得する答えを言う事にしたの、そうすれば私もおじさんも拘束されなくて済し、私は戦える力を手に入れられると思ったの、でも、おじさんを最終的に私の我侭に巻き込んだ事は、正直悪いと思ってる、ごめんなさい」
秋月さんは俺に深々と頭を下げながら謝罪をしていたが、優柔不断で結論を先延ばし
をしていた俺も秋月さんに誠実な態度を取っていたは言えなかった。
そして、自分勝手に彼女の行動を終わらせようと、勝手な事を言い彼女を傷つけて
しまった事も、含めて、俺も彼女に深々と頭を下げ謝罪した。
こうなっては後戻りも出来ない状況である、ならば2人で協力して生き抜くしか
選択は残されていないのだから、此処で秋月さんとシコリを作る訳には行かない。
そうした事を踏まえての謝罪である。
こうして俺と秋月さんは、今までの事を無かった事にし、2人で握手を交わして
いたのである。
そんな折に米軍兵士が慌しくなって騒いでいた。
「中尉、横田基地からの緊急伝です、東京上空を偵察飛行していた部隊が、我々の
BfSBの
「そんなの考える事は無い、今直ぐにでも助けに向うに決まっているだろう」
「敵の数は、空軍が援護射撃をして減らしていますが、推定で1.000は居るとの
事です」
それを聞いた十条2尉が驚いて叫んでしまっていた。
十条2尉の叫びを不振に思った髭2尉は、十条2尉に詳しく内容を聞いている。
そして、米軍から自衛隊への援護要請がなされ、十条2尉と髭2尉は少し考え込むが
直ぐに米軍の援軍要請に答えて出発する準備をはじめだしていた。
「君達も任官したのだから付いて来てもらう事になる、だが、訓練もしていない者に
銃を手渡す事はできない、そこで、負傷者の救助と補給を頼みたい」
髭2尉は俺達に、そう告げると直ぐに正門の扉に止めてあった2tトラックに隊員を
乗り込ませると、米軍車両に付いて行く様にと無線で指示がきた。
もしも、敵の進行を防ぎきれない場合は、この城砦集落に立て篭もり、援軍を待つと
も言われたが、そうはしたくなかった。
流石に戦う力が残っていない者達を戦闘に巻き込みたくはない。
そこで皆で考えたのが、先程の魔石粉が入った樽を何個か譲り受け、
トラックに積んでいたのだ。
もしもの時は、これを爆発させて化け物の進行を阻止する為である。
「現在BfSB
無線からは、英語でしか会話されてなかったが、十条2尉が翻訳をしてくれていて
少しのタイムラグで俺にも情報が入ってきていた。
「中央道稲城ICの下と言うと、もう少しで品川通りにぶつかる、品川通りを右折すれば合流は直ぐです、此処に来るまで10分も掛からないで合流できますよ十条2尉」
俺は無線で十条2尉に、そう告げると十条2尉からセガール中尉へと伝言されていき
撤退行動中のBfSB
「品川通りと鶴亀街道が交差する場所で会おう」
その返信が俺の所に来た時に、俺は鶴亀って何処だよってなったが、直ぐに鶴川街道
だと解り十条2尉に伝えた。
そうすると、部隊は目的地の交差点にと移動を開始したのである。
ーーーーーーーーーーーーーー
部隊は車列を
余裕があったので、部隊は急いで街道とかに乗り捨てられている車両を脇道に並べ、
逃げ道を塞ぐ作業を進めていた。
一番厄介だったのは、交差点の脇にあったドラッグストアーであったのだ。
何故かと言うと、駐車場を塞ぐのに何台も必要で、大型トラックを横付けして
塞いだ程である。
そうして、撤退部隊が合流する直前にやっと、逃げ道を塞いだデッドゾーンが完成していたのだった。
撤退部隊が通りすぎたら、急いで道を塞ぎ一斉掃射する手筈なのだ。
そして、部隊が通り過ぎてから道は塞がれ、そして耳が痛くなる爆音が辺りの
静寂を薙ぎ払っていた。
最初に現れたのは、骸骨騎士達だったが機関銃の掃射で難なく殲滅できていた。
そして後続から現れたのは、走って迫る骸骨である。
走ると表現をしたが、大人が全力で走るのとは違い、小走りと言った方が正しい
表現であった。
それも打ち倒すと、大トカゲの集団である、この重量級の突撃は機関銃だけでは
止められず、上空からのV-22の援護射撃でも効果は薄いとしか言い様がなく、
大トカゲは我々に迫り着ていた。
そこで十条2尉は後部ランプから、道沿いに魔石粉をばら撒いて行き、1キロも
進んだ所で先回を始めていた。
そして無線での撃てとの指示に従い、全部隊での掃射が行われた途端に
火花が散ったのだろうか、いきなりの大爆発が起こり、爆風が通りを埋め尽くして
いたのだ。
俺は、その時には銃弾を運ぶ作業をしていたが、横からの爆発風で少し飛ばされて
しまっていた。
その爆発を目にした兵士達は、あまりにも威力に言葉も無い様だったが、敵の生き残りに対して止めとばかりに、最後の射撃を繰り返し敵の殲滅を終えていたが、それだけでは終わるはずもなく、大トカゲから大分遅れて遣ってきていた者がいた。
「こちら上空の十条2尉だ、そちらに向うゾンビの大群を確認している、まだ弾は残っているか」
「数はどの位なのだ十条2尉」
そう聞いたのは髭2尉であった。
「解らない、府中方面の品川通りがゾンビで埋め尽くされている、それしか言えない、それと魔石粉は先程ので全部使い果たしたから、爆発は期待しないでくれ」
それを聞いたセガール中尉は、部隊を城砦集落に撤退すると述べ、兵士や自衛隊の
隊員達を撤収させていた。
俺も2tに乗り込むと、直ぐに米軍車両に続いて後退を始めている。
「十条2尉より木更津駐屯地、聞こえていたら返事を願います」
「此方は木更津管制塔、どうなされましたか十条2尉」
「米軍と共同で敵を殲滅していたが、大規模な敵の増援で調布市役所跡地に
撤退中、直ぐに増援と弾薬の補給を願う」
「直ぐにと言われましても、こちらも全機出動しているので、直ぐには無理です」
「それならば、弾薬に余剰はあるか答えて欲しい」
「弾薬も正直に言うと、そこまで余りはありません2尉、でも駐屯地の弾薬を掻き集めてみます」
「弾薬を取りに行くので、燃料の補給と弾薬の積み込みを準備して欲しい」
「了解しました」
そう言うと、東京湾に向け飛行しながら、髭2尉に弾薬を1時間で駐屯地に取りに戻るとだけ言い残すと、十条2尉は駐屯地に戻って行ったのである。
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