第3話 香織のスキルは・・・
<木更津駐屯地:作戦司令室>
第1ヘリコプター団隷下の第107飛行隊と第108飛行隊に緊急任務のオーダーだ。
同飛行隊は、速やかに習志野駐屯地に向かい、Sの隊員を拾った後に、
荒川と多摩川に掛かる橋を全て爆破する任務に付いてもらう。
<同駐屯地の格納庫にて>
「説明は以上だが、何か質問はあるか」
「隊長、意見具申しても宜しいでしょうか」
「よし、何も質問は無いようだから、各員すぐに習志野に向って飛び立つぞ」
「・・・・・俺って、この隊長に嫌われてるのかな」
俺は、副操縦士の
「この前の呑み会で、十条2尉が市ヶ谷3佐に悪絡みしたのが、原因だと
私は思いますけどね」
いやな・・・俺が此処で副操縦士をしてた時に、一緒に組んでた先輩が、飛行隊長として戻ってきたら、そりゃー嬉しくなって舞い上がるだろう。
「それでも限度って物を十条2尉殿は、学んだ方がいいですよ」
くっ・・・こいつ後日に虐めてやる・・・
<多摩川付近>
俺達の機は、狛江市に掛かる多摩水道橋から府中市の稲城大橋までが、我々の
担当地区であった。
俺は、最初の橋梁に辿り着き、隊員を狛江側に降ろすと、直ぐ隣にある
多摩水道橋に、もう1組のチームを降ろしに向った。
そして、隊員を降ろし終えたら、俺達は上空警戒にあたり、隊員の安全を
確保していたのだ。
Sの隊員達は、最小の破壊で、橋と橋梁を無力化する事を前提で動いていたから、
橋を袂だけを壊し、化け物が通れなくしたのである。
そして復旧する時でも、早く橋を治せるのが利点だからだ。
もしも、橋の真ん中とかを壊してしまえば、復旧に時間は掛かるし、費用も
袂を壊す比ではなかった。
そして、両方の橋から、爆発を確認し、隊員を収容する為に、小田急多摩川橋梁
と多摩水道橋の間に着陸して、隊員を待ってる時に、管制塔からの任務中止命令が
俺達に言い渡された。
「十条2尉、今の命令を聞いたな、直ぐに駐屯地に帰投しろ、解ったな」
「こちら。十条、了解しました」
無線での遣り取りをしている内に、爆破を終えたSの隊員達は、機内に
全員戻ってきて居ており、直ぐに作戦変更をSの部隊長に伝えると、
俺達は、習志野駐屯地に向け、特殊作戦郡の隊員を送り届ける為に飛び立った。
戻る途中、世田谷方面から調布方面に向う、骸骨騎士の一団が目視で確認できた
ので、帰り掛けの駄賃とばかりに、V-22 の後部ランプに設置している銃架からの、
弾丸の雨をお見舞いし、骸骨騎士達は、為す術もなく崩れ去っていく。
「これで少しは、国民の仇を討てましたかね、十条2尉」
下志津3尉は、勝ち誇った表情で、俺に問い掛けてきたが、俺の心の中は
まだ、こんな物で済ませない、済ませたくないと、その気持ちだった。
「あぁーほんの少しだが、奴等に一撃を加えてやった」
「でも、まだだ、まだ足りない」
「えっ・・・何が足りないんですか2尉」
俺達は、これからも東京を取り戻す為に、何回も出撃するだろうが、
一日でも早く、この騒乱を終わらせる為に、俺は飛び続ける。
ーーーーーーーーーーーーーーー
秋月さんに説教をしてる時に、爆発音が響いた。
直ぐに俺は、構内から地上に出ると、爆発が何処からだったのか探して
いると、続け様に2回の爆発音が響いてきたのだ。
方角は狛江側である。
俺の脳裏には、もしかしたら自衛隊が、橋を爆破したのかと、考えていたが
まさか取り残されている国民が、まだ居るのに、そんな無謀な事をするとは
思ってもいなかった。
直ぐに秋月さんを連れて、多摩川に向ったのだが、駅から多摩川までの距離を
考えると、乗り物が欲しくなる。
でも、道は瓦礫で車が、スムーズに通行など出来ない、そこで俺は近くに
バイクか自転車がないかと探していたが、都合よく行くはずもなく、仕方なく
近くにある20階建てのマンションから、狛江側を見る事にした。
「流石に、20階も上がるのは・・・はぁはぁはぁ・・・キツイ」
「おじさん、早く早く」
日頃の運動不足がたたり、足がガクガクになりかけていた。
エレベーターが使えたら良かったが、故障中の張り紙が張られており
俺達は、仕方なく非常階段から、屋上を目指していたのである。
「人生に楽何ってないな・・・」
俺は息を切らしながら、愚痴を入ってしまっていたが、秋月さんは
そんな俺を気にも留めずに、屋上を目指していた。
女子高生のパワーは半端ないよ・・・
「おじさん、屋上に出る扉に鍵が掛かってる」
上の階から、秋月さんの可愛らしい声が、俺の元に届いていたが、今は
それ所ではなく、ぜぇーぜぇー息を切らしながらでも上を目指して上がって
いたが、既に満身創痍の上に、この駆け上がりマラソンである。
おじちゃんには堪える。
俺はやっと屋上に出る扉まで来ると、リュックから、ある物を取り出していた。
それは、家のアパートから持ってきてい
俺はドアノブを力任せに、何回も何回も叩いて、ドアノブを破壊すると、反対側に
付いてるノブも、石頭ハンマーと片手バールを使い、
叩きはじめ、直ぐに反対側のドアノブも破壊した。
そして、バールでドアの隙間から見えている、鍵のデッドボルトとラッチボルトを
扉の内部にガリガリと押し込み、扉の鍵の破壊に成功した。
屋上から狛江市の方を見ると、オスプレイと言われる輸送機が、都内に向けて飛行して飛び去るオスプレイを見ていた俺達は、いきなりオスプレイが地上に向けて発砲
しだしたのだろう音が聞こえてきたのだ。
それは、数キロも離れていても、けただましい程の音だったからだ。
「自衛隊か米軍が、マシンガンを地上の敵に向けて撃ち捲くってる」
「おじさん、あそこに奴等がいるのかな」
秋月さんに、そうだと思うと伝えると、狛江方面から上がる煙を目にした俺は
逃げ道がなくなったと確信できていた。
マシンガンの乱射より、俺には橋の爆破の方が、より重大な出来事だよ。
なんなんだよ、俺が何か悪い事でもしたってのかよ。
どんだけ、人生スーパーハードで暮さないといけないの、この世界は・・・
多摩川原橋を渡って、稲城市に行ったとしても、化け物だらけの巣窟と
化しているし、府中市も化け物だらけで、新たに三鷹市が化け物が到達して
いるとの情報もはいってきてるし、世田谷なんって化け物だらけだし・・・
「詰んだ・・・」
俺は、心の底からタメ息を漏らしてしまっていた。
「おじさん、私と一緒に戦うしかないね」
俺は秋月さんから目を反らすが、秋月さんは、俺の目線にわざと入ってきて
何回も何回も、「戦うよね、おじさん」と繰り返し、俺を洗脳しようとしている。
この子と一緒に居ると、今までの考えが消え去り、この子の言いなりになって
いる気分になる、不思議だった。
そして、不意に手を握られてしまい、上目遣いで懇願してきた時に、俺の頭の中で
何かが、危険だと判断し、直ぐに秋月さんの手を振り払い、秋月さんから距離を
とり、後方に飛び退いていた。
「秋月さん、俺に何をしたんだ」
「えっ、どうしたのおじさん、私は何もしてないよ」
「君に手を握られた時に、俺の頭の中で危険信号がでた」
「もしかしたら、俺に何かをしたのではないかと、思ったんだが気のせいの様だ」
「おかしな事を言わないでよ、おじさん変になったの」
秋月さんは無自覚だが、あきらかに違和感を感じたのは間違いではないだろう。
今の現状を考えれば、何か未知の事が起きても不思議ではないのだから、
今後は、秋月さんの動向も注視していかない、もしも、何かが合ってからでは遅い。
人間同士で殺しあうとかは、無しにしてもらいたものだ。
そんな事を考えていると、調布市役所方面から、何やら戦闘音らしき音が響いて着ていた。
「秋月さん、君は何か武器になる様な物を持ち歩いてるのか」
「何も持ってないよ、おじさんが私に取っての武器かな」
そんな返事はいりません・・・
俺はリュックを降ろすと、中から警察官が装備しているガンベルトを取り出し、
警察が配備している、拳銃と警防の使い方を簡単に早口で説明してあげ
使い方を間違えないようにとだけ、念を押して伝えた。
西友の地下に居た奴等の中に、奴等に襲われて殉職した警察官がいたから、
その装備を拝借させてもらった。
「おじさん、これを奴等に向ければ撃てるの」
「銃口は決して、生きてる人間に向けてはいけない・・・」
俺は手を上げた状態で、秋月さんに説明したのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
秋月香織は固定スキル:魅了する者を発現した。
尚、この通知は本人には通知しておらず、本人に自覚は無い。
「おじさん、今何か私に言ってなかった」
「知らない」
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