第8話 夏休み~2~

僕は皿上の寿司を全部食べ終わり、箸を置いた。

彼女はビールを飲んで酔っ払っているからか食べるスピードが落ちていた。

「君……。大丈夫?」

僕は何回も聞いているようだったが本当にすごく心配だった。

病気持ちなのにアルコールを飲んでも大丈夫なのだろうか。

「だいじょうぶー君もう終わったのー?早くなーい?何か頼むー?」

「君が遅いんだよ。しかもいっぱい食べたでしょ。これ以上食べると太るよ?」

「えー太るってぇー私太ってももうすぐ死ぬからだいじょーぶ!」

「……それ、言って僕が困らないと思ってるの?」

「なんのことー?」

彼女は酔っ払っているせいで自分が今言ったことも忘れたらしい。

彼女はグッと一気にビールを飲み干し、うはぁー気持ちーと言った。

きっと後になってその「気持ちー」が「気持ち悪い」に変化するに決まってる。

彼女は店員を呼び寄せ、「お会計お願いしまーす」と言った。

店員が金額を言い、彼女は財布に手を伸ばし、お金を取り出して置く。

その一連の動作をボーッと眺めていた僕は我にかえり、店員の「ありがとうございましたー」を背中に受けながら僕は彼女を見た。

彼女はフラフラと歩きながら「おえー気持ち悪いー」と言った。

やっぱりと思いながら僕は「食べすぎ?それともアルコールのせい?」と聞いた。

「どっちもーねぇ、君―悪いんだけどさ、君の肩貸してー」

「は……?」

「いいでしょぉ?家まで送ってくれればいいからぁ」

「なんで……」

彼女は僕の言葉を遮って肩に手をかける。

「えへへぇなんかカレカノっぽい?あははー」

と一人で笑ってツッコミを入れている。

なんて寂しい人間だ。

しかも、酔っぱらうと彼女は変人と化するらしい。

「あぁ、美味しかったなぁー君も美味しかったでしょぉ?」

「うん。美味しかったよ」

「やっぱりぃ?美花も他の友達も美味しいって大好評だったから当ったりぃー!」

一人で上機嫌になり、彼女はおぼつかない足で前へ進む。

十分ほど歩き、彼女の家の前に着いた。

「あーやっと着いたぁーありがとー肩貸してくれてーせっかくだから上がってかなぁい?」

僕は何をされるか分からないので「いいや、やめておく」と断っておいた。

「あぁそーじゃあまたメールするねー……はれ?」

彼女はドアに寄りかかり、気持ち悪そうに家の中へ入っていった。

僕はそれを見届けてから家に帰った。


ベッドに寝転ぶと胃が気持ち悪かった。

久しぶりにあんなに食べたので胃もびっくりしているのだろう。

僕は早めに風呂に入り、すぐ寝ることにした。

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