後編
そして次の日の放課後、約束通りにボクと
「ま、仕方ないねー。じゃあ明日も一緒に帰るって事で、ね?」
「…居なかったから仕方ないね。でも
ボクがジト目で見ると、ちょっと焦った感じに胸の前で手の平を振る。
「そ、そんな事ないよ。アタシが言うのが本当だって見せつけたいだけだし!」
「…まぁ、あの
何気に結構痛いんで、あんまり叩かないで欲しいんだけど。
でもこんな事言うとまた「体鍛えてないからだよ」ってバカにされるからなぁ、とボクは黙る。
これだけされてあの
ボクがそんな事を思いながら軽く睨むと、さすがに背を叩くのを止めてくれた。
そしてボク達はなんてことない事をダベりながら家路へと着くのだった。
そんな事が数日続いた後の放課後、とうとうあの
「あー…もしかしてあの猫?」
「そうだよ、
そしてあの
「まず、猫が逃げ出さない距離で目をじっと見るの」
「まず目を見る…」
ボクは説明している
「それからゆっくり目をつぶる…見えない間に逃げられるとバカみたいだから、薄目程度で止めていいから」
「薄眼にして見る…」
説明しながら
「それから小さな声で『大好き』って言う」
「大好き…」
「……………私も、大好き」
「…………………えっ?」
目の前の
今何を言われたかイマイチ理解できてないボクは屈んだまま目を見開き、立ち上がった
「と、とりあえずやり方は教えたから、早く行ってきなよっ」
「あ、うん………」
ボクは状況が良く分からないままながらも、大きく回り込んであの猫の正面に立つ。
そして目を合わせてゆっくりと目を閉じていき、一応小さな声で「大好き」と唱える。
それを数度繰り返すと、あの
この
ボクはその教えの通りにゆっくり手の近付けていくと、その
それからゆっくり手を動かしていき、顎の下らへんを指先で触れると、軽くくすぐる様に動かしてみる。
すると、どこから出てるのか分からない「ゴロゴロ」という音が奏で出されていく。
「
感極まったボクが
「あ………」
ボクは虚空に手を差し出したままの少々間抜けな格好のまま、大きくため息を吐くのだった。
それからボクはトボトボと、まだ背を向けたままの
「驚かせて逃げられたけど、ホントにあの
「そ、そう……ほら、やっぱアタシの言った通りだったでしょ」
まだ背を向けたままの愛美がそう言って笑ってるけど、その笑いはいつもの楽し気な感じでなくどこか白々しい感じがした。
「ところでさ、さっき
ボクはどう言ったものかとシドロモドロになりながら、背に言う。
ゆっくりとこちらに振り返る
ただ視線は合わせてくれず斜め下を見ながらボソボソっと何かを言っている。
「…アタシはちゃんと言ったし、返事聞かせて欲しいかな…とか」
「あ、その…えっと…
ボクのそんな煮え切れない発言に、キッとこちらを睨む
ボクはそんな
目の前の反応がないので、もう一度目を閉じると、同じ様に返してくれたので、ボクはハッキリと言う。
「ボクも
「
何か言いたいけど言葉が出てこない感じの
ボクが何をしたかったのか理解してくれた
「さ、帰ろう。あの
「そっか。がんばれがんばれ。
目の前の夕日よりもまぶしい笑顔で、
そしてボク達は並んだ二つの影を長く伸ばしながら、並んで坂を上って家路へと歩いて行く。
そんなボク達を、いつの間にか戻って来ていたあの
=fin=
夕焼けと猫 更楽茄子 @sshrngr
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