第29話 君がくれる自信



俺はWEB小説コンテストにエントリーすることに決めた。


同じくコンテストには三年の特待生の


八神先輩が既にエントリーしていた。


先輩の書く小説は俺の小説より人気があり、流行の異世界ファンタジー小説で、

その中でも、主人公が最強で無双する『俺TUEEE小説』を得意としていて、PVも

15万を超えている人気小説だった。

果たして、俺に先輩に勝てるのか……


放課後に八神先輩が突然、あにファン同好会の第二講義室に突然の来訪者が現れた。俺は、八神先輩の来訪に驚く。


「君のことは色々と調べさせて貰ったよ。まさかWEB小説で結月さんからイラストを書いて貰っているとはね。」


「だからどうしたって言うんですか?」

「よくもまあ、あんな弱小小説であの結月さんにイラストを頼めたものだなと思ってね。」


「どう言う意味ですか?先輩!」


俺は語尾を強めに言う。



「率直な感想を言おう。君の小説はつまらない。結月さんに君の小説を担当させているのは不釣り合いだ。君には結月さんとは釣り合わないと言うことさ」



「なん、だと......」


堪忍の糸がプツリと切れて完全に頭に血が上った。そんな良くも知らない初対面の相手からいきなりこんなことを言われたくなんてない!


「僕はWEB小説コンテストにエントリーしているんだけど君もかい?そうだ!コンテストで良い成績を残した方が結月さんと組めるとゆうのはどうだろう?」




「まあ。僕がぶっちぎりで一位を取ると思うけどね。そしたら結月さんにイラストを描いてて貰うのは僕だから弱小作家の君はせいぜい指でもくわえて見ていてなよ」と挑発してくる。


「そ、そんなことはさせない!結月と組むのは俺の方だ!もし、俺が負けたらその時は好きにしろ。俺たちの夢の邪魔はさせない、勝負だ先輩!」


と藤也は俺は啖呵を切る。                 


子どもの頃に、唯依と一緒に大人になったら小説を出そうと約束をしたのにこのままでは

八神先輩に唯依を取られてしまう。勢いでああ言ってしまったけど、そう思う反面、俺と組むより、先輩と組んだ方が唯依もイラストレーターとしての成果をじゃないと思い悩むのだった。




八神先輩が去った事を確認して、くるっと反転。

「ど、どうしよう~秋雫先輩!八神先輩にカッコつけて、あんなこと言っちったよー」

「ふっ…無様ね、藤也くん。それが先輩に格好良く啖呵を切った後に言うセリフなのかしら?」


「うぅ!すみません。せ先輩、少し相談したいことが…」





「どう考えてもさっきのことよね。それで?」


「どうしたら面白い小説が勝てますか?」


「要するに藤也くんがそのWEB小説コンテストで八神先輩に勝てばいいのよね?でも、ハッキリ言って藤也くんの小説ってゴミよね?大丈夫なの?」

「そんなハッキリと言わなくても。いくら秋雫先輩からでも凹みますよ」


「でもね、藤也くん貴方には八神先輩に勝てるかもしれないし勝てないかもしれない。あなたの小説は未だ未知数なのよ」


「でも、本当に俺は八神先輩に勝てるんでしょうか?あの人は強い。俺に適うのか......」



「それが、無理かもそいれないって弱音を吐かない!自信を持ちなさい。このまま負け犬になるつもり?怠惰を極めた駄犬ね」


「そ、そんな違いますよ先輩。八神先輩は人気小説家。俺は駆け出しの新人小説家でただ勝ち目が......」



「もう、諦めるの?大切なものだあるなら死ぬ気で戦いなさいよ!」



「あなたには頼りになる先輩作家が付いているじゃない。これから特訓よ、藤也くん」と秋雫先輩から背中を押してくれるのだった。








秋雫先輩からの激励の後で、立花と一緒に二人で自宅マンションに向かう途中、立花は、無言で俺の隣を歩き何か俺の様子を伺っているようだった。



そして、今思い出したかのように口を開く。




「藤也さん、三年の特待生の先輩とラノベ勝負をすることになったんですって?」

え?もう、立花さんの耳にも入ったのか!?


「ああ、勝負に勝った方が、唯依と組めることになるんだ。」



「そうなんですね。勝負絶対に勝って下さいね。自信のほどは?」




「それがどうも、今のところ勝てる要素が見つからないんだ。どうしよう......」




立花は隣を歩く俺の顔を見て、「私を負かして柚木さんと組めるのに、どこぞの先輩なんかに奪われるようなことにならないでくださいよ」


「分かってるよ。負けるもんかってんだ!」そう俺は強がって言う。



「そう、その意気ですよ。頑張って下さいね。応援していますよ。」

「立花は、なんでそんなに俺たちのことを応援してくれるんだ?」



「それは、藤也さんが好きだからです。」



「え?!それはどう言う意味なんだ??」


立花が俺のことを好きってことか?!いきなりそんなこと言われても俺はどんな反応を取ったらいいんだろう。



「あっ。いやこれはその...藤也さんの書く小説が好きとゆう意味です!勘違いしないでください!」

「プッなに、そのツンデレキャラ!?」

「もーからかわないで下さい!」

と立花はポカポカと俺を叩いてくる。


「おー、いてて」

全然痛くないけどそう冗談っぽく言う。


「私はですね八神先輩に柚木さんを取られてしまって小説が書けなくなる姿を見たくないんです」と立花は真剣な面持ちで言う。

ああ…この子は俺のことを親身に考えてくれているんだな。


そして、聞こえないような小声で「それに勝負に負けたら、せっかく勝ちを譲った意味がないじゃないですか......」と言うのだった。


              


     ***





そして、スリープマンションへと帰宅した俺は、唯依の元を訪れる。


いつも通りに208号室のインターホンを押して唯依に語りかける声もどこか覇気が篭もっていなかった

『藤也くん!?はーい。今行きまーす!』と唯依の柔和な声に導かれ部屋へと招き入れられる。部屋に入れてから唯依は、俺のいつもと様子が違う俺に気付いて唯依が「大丈夫?藤也くん。なんだか元気がないけど」と心配してきてくれる。





そこで、俺は、唯依に心配掛けないように無理に元気を出して八神先輩とのラノベ勝負をすることになったこと。勝った方が唯依からイラストを描いて貰えることを条件にラノベ勝負することになったことを唯依に打ち明ける。



すると、唯依は「え、嫌だし。それとは別にして、私達の夢をバカにした先輩のことを許せない!藤也くん。二人で倒しちゃお!」


「そうだ。俺たちの小説はつまらなくなんてない!やってやるか、唯依!」


「わたし藤也くんの小説、好きだよ。藤也くんが本気を出せば先輩なんて敵じゃないよ!と唯依は言う。



藤也は、「そうだ!俺の小説と唯依のイラストが合わされば誰にも負けないんだ!」と意気込むみ再び、根拠の無い自信が湧いてくるのだった。












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お隣のヒキニートの更正のしつけ方 高月夢叶 @takatuki

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