第22話 【遊園地編4】告白
恵視点
お化け屋敷から出て、またしばらくアトラクションを楽しんだ。
涼風先輩は絶叫マシーンや
お化け屋敷の類いがどうやら苦手みたい。イケメンなのに以外とヘタレなところがあるなんて
幻滅...なんてことはしない。むしろギャップ萌えでいいと思う。 ここは、わたしがリードしていかないと。とどう、手綱を握ろうかとあれこれ妄想したりして楽しい。
どうやら夜の遊園地で花火が上がるらしく、わたしは日中に涼風に告白を秋雫先輩に邪魔されたことからリベンジで再び、告白の機会を伺っていた。
夜空には満月が浮かんでいて思い切って、涼風先輩と隣同士を確保したことで、ここは、ロマンチックに『好き』を表現する太宰のあの言葉が頭に過ぎる。
相手に『I LOE YOU』を伝えるときは、
『月がキレイですね』と言いなさいと大文豪の太宰は言った。
勇気を出してこう切り出す。
「花火がキレイですね。涼風先輩」
「ああ、そうだね。」
ああ、言えなかったそこは月がキレイですね。なのに!
わたしのバカ!意気地無し!
「覚えていますか?3年前、わたしが千葉にある夢の国で迷子になった時もこんな花火が上がっていましたね。」
「1人で心細かったところを涼風先輩から助けて貰って、あの時、すごい救われたんです」
「1人で心細かったわたしの手を取って歩いてくれたことはとても嬉しかったんです。」
だからもっと近付きたくて先輩と同じ高校を受験したんですよ。
そして、今こんなに近くまで来ました。
「あの時、先輩がわたしに、アニメやラノベのことを何も知らなかったわたしに教えてくれたから、先輩が好きなものをもっと知りたいと思うように
なってラノベを読むようになったんです。」
「そうだったんだ。どう面白かった?」
「はい!それはもう!特に、『俺の妹がこんな腐女子なわけがない』なんて特にキャラがツボに入って面白かったです。」
「そうか、それは良かったよ。」
「先輩がわたしに女の子の喜びを教えてくれたお陰で、わたしにも夢が出来たんです。」
「し、小説のことだよね!?」
「はい、先輩がラノベの面白さを教えてくれたからすっかりハマってしまって、自分でも物語を作りたいと思うようになりました。先輩がいなかったら抱くことのなかった夢を大事にしたいんです。」
だからわたしに大切なものを与えてくれた先輩のことが......
「先輩って、絶叫マシーンもダメだし怖がりでヘタレで格好悪いところもあるけど、そんな男らしくない、残念なイケメンですよね」
「そうか、残念なか......」
先輩は苦笑いするとこちらをチラリと見る。
わたしは、ドキリと意識してしまう。でもここまでは計画通りだから後は、思い切って言うだけだ。ふー。よし!
「あのっ、せっ先輩、ずっと前から好きでした。をたしと付き合ってください!」と想いの丈をぶつける。
「ありがとう。だけどごめん。僕は三次元の女の子とは付き合えないんだ。だからら恵ちゃんとは付き合えないよ。」
「気持は嬉しいけど、ごめん」
リアルの女の子と付き合うのは気持疲れしてしまう。ソシャゲやアニメの女の子は僕を裏切ったりしない。少し仲良くなったからといって告白したら『えっ友達じゃダメかな』と断られた。
そして、次の日からはクラスの笑いものになったことから、
リアルの女の子と付き合うのは怖い。
もし、また相手から笑われたりしたらと
思うと胃が痛くなる。
「そう、なんですか......」
そんな、今まで普通に女の子と話してきたじゃないですか!
いや、よくよく考えると涼風先輩は藤也先輩とよく絡んでいるような。
まさか、女の子と話すより、男の子と話す方が好きな人?!
いや、それは考え過ぎか。
そもそも、リアルの女の子が無理なんて素振りなんてしていなっかのにそんなっ!
てことは、リアル彼女より脳内彼女とかの方がいいってことですか?なんて言えるはずもなくわたしは、ただただ頷くばかり。
そんな、今なら良いムードでイケると思ったのに!
「本当にごめん。」
「まだ、女の子と付き合う勇気が持てなくてさ......」
「分かり、ました......」
「でも、これから先、チャンスはありますよね?」
「まぁいますぐには無理だけど」
「それなら、今まで通り友達から始めませんか?」
「そうだね、それならいいかな」
女の子と付き合うにはもう少し時間がかかるから。
今の関係から少しづつ慣らしていきたい。
「やった!」
まだこの気持を諦めなくていいんだ。
よし!そうと分かれば頑張れる!
「見ててください、わたしは絶対、先輩を振り向かせるような女の子になってみせますから」
「先輩の一番になってみせますから見ててくださいよ!」そう先輩の苦手を克服するために友達関係からから改めて交際をスタートさせることになるのだった。
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