第16話【特別編2】大晦日とお披露目
ー12月31日ー大晦日。
この日は、柚木宅に、妹の愛那と優奈と集まり、一緒に年末の大晦日を過ごすことになった。
夕食は藤也が腕によりおかけささやかなおせち料理で伊達巻きや栗きんとんを振る舞う。大きな焼き鮭に揚げ物は海老フライ汁物は肉汁と豪勢な料理が食卓に並ぶ。
料理は、愛那が一緒に手伝ってくれてスムーズに進んだ。唯依と優奈は二人してリビングでゲームをして過ごしていた手を、愛那が『二人ともご飯が出来たよー!」と声を掛けると二人は、「はーい!」とコントローラーを置き、急いで駆け寄ってくる。
そして、年末恒例の歌合戦を観ながら夕食を食べる。
「うん。うん。海老がプリプリで美味しー!」と感想を口にしに天然海老を使った海老フライを頬張る優奈を見て普段は口が悪いのにとうゆう時だけは可愛いよな。と思いながら、唯依に目をやると、美味しそうに伊達巻きをパクついていた。
「唯依、美味しいか?」
藤也はそう訊くと唯依は「甘くて美味しい。」と満足そうに夕食を食べる唯依を見て微笑ましくなる。
「ほら、海老フライもあるんだからたくさん食べろよ。」
「う、うん。あとこの、里芋や、人参の煮物も美味しい。」
「おっ!それは、のっぺ汁といって新潟県の郷土料理なんだ。」
「うちでは、正月恒例で食べているな。」
実家に居た頃は、よく大晦日になるとお婆ちゃんが作ってくれたものだ。
一人暮らしを初めて、その実家の味が食べられなくなり、なんとか実家の味を再現出来ないものかと帰省した際に婆ちゃんからレシピを聞いておいたんだ。
今年は唯依を交えての年末で夕食を共にして、いつまでもっこんな幸せな時間が続けばいいのに。と思うのだった。
夕食も終わり、食卓を克片付け、デザートにリビングでのコタツでみかんを食べ、歌合戦を皆で見て盛り上がり、いつの間にか年を越していた。
「あけましておねでとう~!」と唯依と愛那達は新年の挨拶を交わして、ひっきりなしにに
スマホに送られてくる『あけおメール』を返すのに忙しそうだ。
唯依は、そんな二人を唯依は羨ましそうに見つめる。
学校を不登校な為に、唯依には新年を祝ってくれる友人からのメールが来ないのだろう。と少し可哀想に思う。
「唯依、あけましておめでとう。今年もよろしくな。」
「今年こそ、学校生活を克服していこうな。」
そう言い唯依は「うん!」と意気込む。
すると、藤也のスマホがMINE《マイン》のメッセージを受信する。
それは、南先輩からのもので簡易メッセージには『あけましておめでとう。』と表示される
良かった。どうやら普通のあけおメールみたいだと安堵してメッセージを開く。
メッセージ全文は、こうだ。
『あけましておめでとう。藤也君。新しい年が始まるはね。新年の抱負は、変態ゲス野郎からの更生で合ってる?そうしたら私の下僕として使ってあげるわ。真人間への更生が楽しみね。私が、優しく調教してあ・げ・る。そうゆうわけで今年もよろしくね。』
いや、俺は、いつから変態性癖に目覚めたゲス野郎になったんですか?
それに俺は、唯依を学校生活を克服させるのに教育係として忙しいんですよ。
先輩の下僕になんてなっていられません!それにそんな流れで今年もよろしくなんて嫌だ!
続いて、ピロンと南先輩またメッセージが送られてくる。
『追伸。お正月の予定は、あるかしら?無いわよね。どうせ、つまらない正月特番のお笑い番組なんて見て無駄な時間を過ごすにする予定でしょ?明日、初詣に付き合いなさい?きっと良い思いをさせてあげるわ。』
いや、正月に観る賀正新年を祝う初笑いの特番は元日の朝の醍醐味でしょう?
面白いですよ。
それに良い思いをさせてあげると言うのがが気になる。(決していやらしい意味でじゃない!)
こうして、明日は、唯依達も連れて初詣に行くことになった。
今夜は。なんだか自分の部屋にっ戻るのが面倒になってそのまま柚木宅で一夜を明かすのだった。
* **
1月2日。あにファンメンバーの南先輩達と恵や下條達と神社の初詣に来ていた。唯依は、「絶対に行きたくない!元日は、家でゆっくり正月特番観て過ごすんだ!」と聞かないから無理に連れ出しても仕方がないと思い、1日づらして2日にずらして貰えないか南先輩にお願いして了承を得ることができた。そもそも、まだ人混みの環境に唯依を連れ出すのは、ハードルが高いと思う。ゆっくり唯依のペースに任せるのが得策だと思う。
夏休み中に南さん達から一緒に手伝って貰い、唯依の学校復帰に向けて少しづつ外出のリハビリが始まった。そして夏休みの終わり二学期から少しづつ、学校にも登校し出していった。
俺は、担任の咲良先生から唯依の教育係に任命されて唯依を支えながらの二学期がスタートした。
今回の初詣も南先輩からの提案で唯依のリハビリの一環のだ。
着付けは柚木宅へ迎えに来てくれた南先輩からして貰い着付けを済ませる。
淡いピンク色の着物で唯依の清楚な感じがよく出ていてスゴく似合っていた。
頭に飾られた赤い
顔が整っている女の子の着物姿とゆうのはこんなに化けるものなんだなとつい
見入ってしまう。
「あら、藤也君、柚木さんの着物姿に思わず発情してしまった?」
「柚木さん、襲われる前に早く行きましょう。」
「お、襲わないですよ!」
「ところで、藤也君、あなたは、その服装でいいの?あなたの分の袴も持ってき
たのに。
「いいですよ。俺はこうゆう服装は似合わないですし」
今着ているデニムジーンズに青いチェックシャツに黒いモッズコート姿を見せて言う。
「いいから着なさい。私達が着物なのにあなただけが私服なんて不釣り合いでしょ。私達に、恥をかかせたいの?」
「はい、すいません......」
言われた通りに黒い紋付きを着直してくる。
「ふうん、なかなかどうして。あなたは性格は変態豚野郎なのに、顔は整っているからこうゆう服装をしたらそれなりにイケるのね。」
「あの、普通に褒めてくれないですか。傷つくんですが...」
「ところで、あなた、柚木さんに何か言うことはないの?女の子がお洒落しているのよ。」
「言うことは一つでしょ。まったくこれだから女の子に愛想を尽かされてしまうのよ。」
「あ、あの。唯依さん?スゴい似合っているし可愛いと思うよ......」
ヤバイ、南先輩の前で自分の本心を言うのがスゴい恥ずかしい。
「なにデレデレしてるの!気持ち悪いわ死んでちょうだい。」
褒めろと言われて褒めたらこれだ。もう嫌だ!!
唯依をチラリと見ると顔を朱色に染めて俯いている。やっぱり気持ち悪かったかな?と心配になる。
唯依は、南先輩に気気付かれないように藤也の耳元に口を寄せて、「ありがとう。藤也くんも格好いいよ。」と南先輩に聞こえないように小声で言うのだった。
***
唯依は初詣は、未だに人混みへの苦手意識があるために自宅恋しさ故に渋ったが必死の説得の末に、南先輩達と一緒一緒に行くことになった。長らく引き籠もっていういたせいの弊害か。そのせいで人混みがすっかり苦手になってしまったことで、藤也は唯依に優しく手を差し出す。
「転ぶと悪いからな。危ないから掴めよ。」とぶっきらぼうに差し出した右手を唯依は、
一瞬、
「子供扱いしないでっ」とツンと強がる。
いや。これは、子供扱いでもなんでもないんだけどな。
すると、「きゃっ」すると柚木は歩き慣れていない草履で足下が不安定になり、転びそうになったところを藤也がサッと唯依の手を握り支える。
「ほら、いわんこっちゃない。大人しく握られとけ!」
「ううん。ありがと...」とぼそりとお礼を言う。
こう、素直にしていたらほんとうに可愛いんだよなと藤也は、鼓動が跳ね上げるのだった。
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