第12話 オムレツ
12話『オムレツクッキング』
土曜日の休日、柚木はお昼に藤也が居ない中、お腹が空いて自分でお昼を作ろうとする。
冷蔵庫の中にあった卵を使ってオムレツを作ろうとする。普段、料理なんてしない柚木は
キッチンをあちこち散らかして大変なことになる。そんな時に、マンションの扉が開かれる
「柚木ーちゃんと食べてるかー?」と柚木がちゃんとお昼を食べているかが心配で休日にも
関わらず柚木宅へと訪れてしまった。返事が無いから申し訳ないけど無断で上がらせて貰う
「失礼しまーす。」そしてリビングを通り、キッチンで目にしたものはー
「なんだこりゃー!!」
そこで目にしたのは、どうすればこうなったのか散らかったキッチンで一人黙々と何かを調理する柚木の姿だった。
「な、ななにをしているんだ?柚木。」
「ああ、藤也君。あまりにお腹が減ったから自分でなにか作ろうと思って。」
「それで、この有様とゆうわけか。」
俺は、キッチンのあまりの惨状に驚く。
「えへへ。テヘペロ」
「まったく、お前とゆう奴は!慣れないことをするんじゃない!」
「怪我はないか?」
「うん、大丈夫。ありがと。」
「いったい何を作ろうとしたんだ?」
「うん、オムレツをね。」
「よし!それじゃあ、俺が作り方を教えてやるよ!」
「フン!藤也くんの手を借りなくたってオムレツくらい作れるのに。」
「この惨状を「作り上げておいてよく言うな。」
「いいか。よく見てるんだぞ。」
「ふんわりオムレツを作ろうとして玉子をかき回し過ぎて玉子がボロボロになったんだろ。」
「空気を含ませるように軽くかき混ぜるだけでいいんだ。」
ボールに卵、砂糖、塩、牛乳を入れてかき回す。
フライパンにサラダ油を垂らし、まずは卵が半熟@になるまで弱火で焼く。
ここはバターでなくて、あえてサラダ油を使う。バターを使うと焦げ付いてしまうから
上級者向けだから。
「ここからがポイントだ。玉子を返す前に1/3のところにフライ返しで切れ込みを入れて、その中央にもさっきの切れ込みに垂直に切れ込みを入れるんだ。」
「切った他玉子を手前に乗せてあとは丁寧に巻いて...ほい。出来上がり。お上がりよ!」
「おおー!スゴイ!食戟の〇ーマみたいな手際の良さ!」
「こうすることで半熟トロトロのオムライスが出来るんだ。」
「よーし!わたしも!」
「おう、やってみー。」
「玉子半熟になるまで焼いて、ここで切れ込みを入れて...ほい!」
そしてできあがったのはどこをどう見てもスクランブルエッグだった。
どうしてこうなった!
「まあ、初めてにしてはよく出来たほうなんじゃないか?」
「玉子料理なんて口に入ればどれも同じようなものなんだし。」
「柚木は、俺が作った方を食べろよ。」
「俺はスクランブルエッグ食べるから。」
「違う!オムレツ!」頬を膨らませて訂正を促してくる。
「はいはい。柚木のオムレツを貰うよ。」
俺は妥協して言う。これでいいんだろ?
柚木は、満足そうに頷くとおれが作ったオムレツを食べ始めた。
美味しそうに小さな口を一生懸命に開けてモグモグと食べる柚木を見ていたらその尊さから「美味しいか?」
と訊き自然と柚木の頭を撫でていた。
柚木はとゆうと、「んっ...うぅ...」とエッチな声を零し、俺が撫でるがままにされてて気持ちいいと鬱陶しいが混合している表情を見せる。
そして、俺の手をバシッと払いのけて「わたしの頭を撫でてエッチなことを考えてたでしょう!」
「スケベ!ヘンタイ!」と罵られる。
「ならねえよ!エッチな気持にだなんて!」
「嘘だ!!わたしのことエッチな女の子だなって思ってたでしょ!」
「しつこいな!思ってないよ!ただ......」
「ただ、なに?」と柚木が訊き返してくる。
俺は、頭をかいて照れ臭そうにして、「ただ、可愛いな。と思っただけだ。」と口籠もり言う。 それを聞いた柚木はボッと耳まで顔を真っ赤に染めて、「バカ!そんなこと面と向かって言わないでよ!」とそっぽを向き、恥ずかしがる柚木だった。
***
藤也は、柚木とのことを小説に書こうとするも思い浮かぶアイディアは子どもの頃の約束と最悪の出会いを果たしたエピソードだけで、なかなか書き進まないでいた。
やっぱり俺には才能が無いのか!?と行き詰まる。そして思い付く。そうだ!柚木と触れ合って色んな顔を見てきて思った。ああそうか、柚木とのあんな恥ずかしくも甘酸っぱ感情を小説にしていけばいいんだ!と迷いが解けた。
月曜日。学校の昼休み、食堂で南先輩とお昼を食べながら、GW《ゴールデンウィーク》中に創った企画書に手直しをしたプロットを見せて先輩の意見を貰っていた。
「すみません、何度も呼び出してしまって。」
「いいのよ。後輩に助言するのは先輩としての仕事だもの」
「それに、こうして藤也君も約束通りに自分の力で書いてきてくれたわけだしね。」
ると先輩はこう切り出す。
「そういえば、柚木さんは、プロのイラストレーターだったわね。」
「はい、そうですが。」
「そこで私の新作シリーズに柚木のイラストでラノベイラストを描いていて貰いたいのよね」
「だって、書籍化もしていない藤也君のお遊び小説のイラストを描くより、書籍化もしていて売れっ子のラノベ作家と組んだほうがいいに決まっているでしょ。」柚木さんにとっても博が付くはずよ。と言って藤也から柚木を奪っていこうとする。
「この前、新作の企画とプロットを仕上
げてきてくれたことだし藤也君が仕上げ
てきた、そのラブコメ企画を小説として完成ものと私の新シリーズのどちらが面白いか柚木さんに決めてもらいましょう。」
「柚木さんを絶対にわたしのものにしてみせるわ。」
「そんなことはさせるか!柚木は、絶対に渡さない!」
どう考えても勝ち目の無い勝負だけど、このまま柚木を譲ってなんかやるもんか!
「いいですよ。先輩には絶対に負けません!」
「いいわ。柚木さんに、どっちと仕事をしたいか決めて貰いましょう。柚木さんを賭けて勝負よ藤也君!」
そうゆうことで、南先輩とラノベ勝負をすることになるのだった。
そして放課後。
柚木宅へと行くと扉をドンドン叩いて、「柚木ー見捨てないでくれー!」
と悲痛の叫びを上げる。
すると、扉がキィと開き柚木が出来て、「どうしたの見捨てるとか。なんの話?」
と訊いてくる。
そこで俺は話した。南先輩から、柚木のイラストを賭けてラノベ勝負をすることになったことを伝える。実質、その方が柚木のプラスになることも。
「どうして!そんな、勝手な約束に!」疲れたのか一呼吸置いて「わたしを賭けるの!」
と柚木は猛烈に抗議をする。
「絶対に受けない!人を勝手に賭けの道具にしないで!」
「悪い、柚木「の気持も知らないで。」
「いいわ。私達が勝って先輩には諦めてもらおう。」
「そんなのどうするんだ?」
「そんなの答えは決まっているでしょ。」
「私達の小説で先輩に勝つんだよ。」
「私達、二人が合わされば最強でしょ!」
「そうだ。想いでなら南先輩どころか、誰にも負けない!」
「そうだね、先輩が付け入る隙なんて無いとゆうことを見せつけてやろうよ!」
そう、二人して気持を新たに踏み出すのだった。
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