第11話 俺に書ける小説


    


学校での昼休み。藤也は、南先輩に話があり食堂に呼び出す。この前の、あにファン入部して欲しいとゆう要望を聞き入れたことを伝える。そして、ここからが本題。



俺は南先輩に、後輩部員としての質問を投げかける手前、半年後までに、小説家として一定の成果を出して書籍化させないと柚木の母親から言われたことを話す。


もし小説家としての成果を出せなければ柚木がイタリアに連れて行かれてしまう。


そのことを説明する。



「そこで先輩に頼みがあります。」


「どうしたら面白いオリジナル小説が書けますか?」と訊く!。そこで南先輩は、「大切な人を守る為に初めから人から助けて貰おうだなんて恥ずかしくないの?」と冷たく突き放されてしまった。


そうか、そうだよな。始めから人頼みなんて呆れられてしまうか。



でも、そうしたらド素人の俺なんてどうしたらいいんだ......


「いきなり、助言は出来ないけど、課題くらいなら出せるわ。」そう南先輩はそう言って、

自分が書きたいと思う、企画書とプロットを書いてきて。と課題を出される。




「明日からゴールデンウィークに入るから、それまでに仕上げてきてちょうだい。期限は休み明けの木曜日までにしましょう。」




「藤也君の全力の作品を見せてちょうだい。面白い作品を期待しているわ」と言う。



続けて、「それを見て、直接的な手直しは出来ないけど、どこがダメかくらいのダメ出しならしてあげられるわ。」



「私に藤也君の作品を面白くすることは出来ない。そしたらその作品はあなたのものじゃなくなるから。」



「自分の作品を面白くするのは自分しか出来ないんだから。」 そう言い南先輩は去って言った。



                 


放課後、南先輩から課題を出されるも、

そもそもどうしたら面白い小説が書けるかが聞けなかったことで塚本先生のところへ、助けを求めに来た。


始めから助言を求めるな!?聞くは一瞬の恥。聞かぬは一生の恥だ!と開き直って、塚本先生の助言を求める。



「先生、助けて下さい!」


生活指導室に入るや否や塚本先生にすがりつく。


「おいおい、どうしたんだ?師に見放されたみたいな顔して!」


そこで俺は話した。半年後までにどうしても書籍化しなければいけないこと。


小説家の南先輩から助言を求めようとしたけど、始めから人を頼るな!と一蹴されててしまったこと。



南先輩からの助言を得るにはゴールデンウィーク明けまでに企画書とプロットを仕上げないといけないこと。 これらを説明する。「そこで先生、どうしたら面白い小説が書けますか?」と訊く。


すると先生は、少し考えた後で「藤也、君には誰にも負けない長所はあるかい?」

と訊いてくる。



「えっ長所ですか?特に考えたことはなかったです。それがなにか?」



「そうか、それなら自分だけの武器を磨け!何者にも負けないような自分だけの武器を。」


「あとは、青春しろ!スキルはやっているうちに後から身についてくる。今でなくても出来る。」



「だけど、高校生活は今しか送れない貴重な時間だ。」


「高校生のうちは学生生活を大いに謳歌することだ!」


「学生生活の思い出は君の作品作りの糧になることだろう。」


「一度きりの思い出を大切にしろよ!」 と言うのだった。


              ***




俺は、は塚本先生からの助言を貰い、早速その日の夜からオリジナル小説の執筆に移った。


でも、出てくるアイディアは、どこかのマンガやラノベで見たようなパクりネタばかりで全くオリジナルのアイディアが出てこない。自分にはやっぱり才能なんてないんじゃないかと悩む。



想像力はあっても創造力は無いと絶望に暮れる。現実逃避でラノベの読書に逃げてしまう。

小説を書くのにはインプットが必要だ!と「開き直り、と逃げを正当化してしまう。



結局その日の夜は行き詰まってこんな頭で無理矢理書いても駄目だとその日は早くに寝た。


次の日、アイディア出しする前の読書でインプットしようとラノベに手を伸ばしてそのまま

夕方まで読みふけってしまい、その後もダラダラと過ごして何も書けないで一日が過ぎる。


そして、この負の連鎖は、GW《ゴールデンウィーク》最終日の夜まで続いた。


テレビを付けて、アニメとゆう無眼の娯楽とゆう時間の浪費を垂れ流したりして。

塚本先生から面白い小説を書くには今を青春しろと言われたけどいきなり俺に青春しろと言われてもそれは無理な話だ。

一人で手札が無い状態で企画書を仕上げないといけないことは、ひたすら暗いトンネルの中を進むしかなくて出口が見えなくてどうしようもなくで不安なる。


夢を叶えようとする時は皆、こうやって孤独と不安との戦いで苦しいものなんだな。



ふと、柚木との出会いを思い出す。あれは最悪なものだった。


お隣の引き籠もりの柚木は世話をしてやらないと生活出来ない駄目人間で実は、が俺の小説にいつもコメントをくれる結月さんだった。

俺の小説のイラストも描いてきてくれて


柚木が結月さんだと知ってより距離が近づいた。


『ヘンタイ!通報しますよ!』


そんな最悪な出会いをしたお隣さんは子どもの頃に書籍化の夢を誓い合った女の子だった。


『俺の小説のメインヒロインになってくれ!』


『えっ、わたしなんかでいいの?!引き籠もりだよ。ダメ人間なんだよ!?』


『二人でラブコメ小説を創って書籍化させよう。これを二人の夢にしよう!』


そう二人で夢を誓い合った。これらのことを思い出して決意する。

そうだ!俺に書ける小説、それは柚木とのことだ!と思い立って柚木との出会いを小説にしてみせる!と意気込む。




出だしはまず、こう記しておこう。



「高2の春、お隣の引き籠もりニートの更生を頼まれた。その邂逅は、最悪なものだった。」




                  ***


翌日、ゴールデンウィーク明けの木曜日。ゴールデンウィーク中に完成させた企画書を早く先輩に読んで貰おうと俺は、昼休みに食堂に南先輩を呼び出して完成した企画書を読んで貰う。


「どうですか?この企画書は。」


「そうね、この話は実体験?」


「はい、お隣さんと出会いを元に企画を書いてみました。」


柚木の引き籠もり更生を頼まれたことから小説のメインヒロインになってくれと告白したエピソードを盛り込んだ企画書を見せる。



「始めはなにか書かないとと思ったんですけど、出てくるネタはどこかのアニメやラノベで読んだようなパクりネタばかりで、オリジナル要素が欠片もなかったんですが、柚木とのことを思い出して書いてみました。」



「一つ勘違いしているみたいだから言っておくけど、オリジナル小説って一から創り上げようとしていない?」


「あのネタはこのマンガのネタだからだめとかパクりネタだとか言って。」


「はい。そうですが」


えっそれじゃいけないのかな?だってパクりはダメ出し。



「バカじゃないの?言っておくけどそれ、完全に間違っているわよ。」

南先輩は語尾を強めて言う。


「えっそれって只たんに俺に創造力がないからじゃないんですか?」


「違うわよ!いい?創造力ってゆうのは無から有を生み出すものじゃないの。有から有を生み出すものなのよ!」



「有から有を?」


「今で世に出て来た作品には必ずといっていいほど元ネタが存在するんだから」

日本最古の小説の万葉集だって元ネタがあったくらいよ。」

「元を辿れば、人類の初めての創作物は、

壁画とも言えるわね。」

「要するにこの世に無から生み出される創作物なんて無いって事よ。」


「だから、書きたい小説がまとまらない時は自分が好きな作品を書き出してみるといいわ」


「そうするとことで、おのずと自分が何が好きで何が書きたいのかが見えてくるから。」


そう言って南先輩は小説を書こうとして奮闘して悩んだ俺に答えを教えてくれた。















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