第9話 夕食の共有


柚木から、夕食に俺からの手料理が食べたいと言われオレは食費を折半してくれるのならばとゆうことで柚木宅で、夕食を作ることを許可する。そうして、柚木宅にお邪魔することになった俺は、妹たちを抜きにして食べるわけにもいかないから妹も同席のもと愛那からは準備を手伝って貰い夕食を作るのだった。



キッチンはほとんど未使用と言っていいほどにピカピカで機材や調味料なども良いのが揃っていた。もしかして柚木って育ちの良いお嬢様だったりするのか?と思ったりもする。

まだ肌寒いことから今夜のメニューはシチューになった。愛那が手伝ってくれたことでスムーズに調理が進終わらせ、4人掛けの食卓へと料理を運ぶ。


「今夜はおでんにしたぞ。」


「まだ肌寒いからこれを食べて暖まってくれ。」


「わー、やったー。おでんだー。」と喜ぶ愛那。


「フン!おでんなんて庶民的ね!」

優奈は、おでんを小馬鹿にしたような言い方をしてくる。俺は、ムッとなる。


「おい、優奈。じゃあ、お前の分は要らないんだな。」


「俺たちでお前の分も食べてしまうぞ。」



「あっ!ちょっと待ってよ。誰も食べないなんて言ってないでしょ!」



まったく、ワガママなお子様にはこのくらい言わないとな。


「柚木はおでんは大丈夫か?駄目だったら言ってくれよな。」



「あっ、うん。大丈夫。」


「それじゃあ、いただきます!」


俺が、掛け声をかけると皆して鍋の中をお玉で掬い始める。


「玉子いただきー!」そう言い優奈が茹で玉子お玉でを掬い上げる。


「おい、玉子は一人一つまでだからな!」



俺は、そう言い呼びかける。


「わたしは、大根をもーらい。」

愛那は輪切りに暑く切られて味が染みこんでいるであろう、ひたひたな大根をお玉で掬う。



「んー大根が味がよく染みてて美味しいー!」と愛那は大根を4等分に箸で割き、チューブの辛子を少し付けて頬張り歓喜の声を上げる。



優奈はおでんの具を一通り食べると大事に取っておいた玉子を白米の上に乗っけて半分に割、醤油を数滴垂らして黄身を崩し白米とよく馴染ませてから頬張る。


「うーん。」と唸りを上げて美味しさを表現する。その子どもっぽい食べ方に、なにげにお前が一番堪能してないか?と突っ込みたくなるも微笑ましく思い


この時ばかりは、いつも憎たらしい優奈が可愛いと思った。



柚木はとゆうととても満たされているといった感じでパクパクとおでんを食べている。


ふと、俺と目が合った。


「なんだか、すごく良い。」


「おっ、おでん口に合ったか!」


「うん、おでんもそうだけど、なんだかこうして皆で囲んで食べていると家族の食卓って感じがして、なんか良い。」

柚木は子どもの頃に母親と父親で囲んで食べたおでんのことを思い出していた。


今、食卓を囲んでいる藤也達を家族に重ねる。なんだか妙に落ち着く。




「あったかいんだなぁ...」

(ほんと、心に沁みる味だった。)



それは、まるで家族の温かさを遠くに思う少女が言うようだった。柚木にそこまで喜ばれて

手料理を振る舞って本当に良かった。と思った。



ふと、愛那が柚木に訊ねる。「ところで、柚木さんは兄の彼女さんですか?」と


柚木は、ふいに訊かれた言葉に顔を真っ赤に染める。


「いや、違うよ。」


「藤也くんからは、お弁当を作って貰ってるだけ。」




「えー!お弁当まで作って貰って彼女じゃないとか、どんな関係よ!」と優奈が隙を見て残り一個の玉子を掬い上げながら言う。



「それは....そう、友達だよ!」



「ふーん。友達以上恋人未満ってことね。」




苦し紛れに語る柚木は、本当に恥ずかしそうだ。ここらで、止めに入ったほうがいいかな。

俺と、柚木は、只の隣人としての関係で恋人関係になろうだなんて思ってもみなかった。

ただ、放っておけない存在とゆうことは認める。一人にしてしまうと食生活がどんなことになってしまうのだろうと怖いから。


「って、優奈!それは俺の玉子だぞ!一人一個までって言っただろ!」


「へへーん!兄貴がトロいのがいけないんだよ!」


「後で覚えとけよ」


クソっ玉子の恨みは恐ろしいんだからな!


「あと二人供、そんなに質問攻めにしたら柚木が困っているだろ!」



すると、二人の矛先がオレにと向く。


その笑顔になんだか嫌な予感がする。

「兄さんも兄さんだよ!こんな可愛い子といつの間に知り合ったの?」



「女っ気の無い兄貴のことだかから誰きら紹介されたんでしょ!」



そこでオレは、二人に説明した。柚木とは、塚本先生からの引き籠もりの更生を頼まれたこと。


柚木と知り合ったら彼女が、食生活が偏った思いの外、駄目人間だったこと。


そんな、彼女の身を案じてこうして弁当を作り出したこと。


そうして、味を占めた柚木はこうして夕食を共有したいと申し出てきたこと。



「要するに柚木さんは、兄さんにがっちり胃袋を掴まれてしまったんだね。」


と愛那は、納得したように頷く。



「まあ、確かに兄貴は料理の腕だけは認めるところ があるけど!」

優奈が、がんもどきを口頬張りながら言う。味が染みこんだがんもどきを祖約して目を細めて『美味しい~』と表現していることからどうやら嘘ではないようだ。



「おい、まるで他は点で駄目、みたいな言い方だな!」とオレは優奈ジト目を送る。


「フフ、兄妹仲良いんだね。」


そう柚木が俺と優奈のやり取りを見て微笑む。


「「どこが!?」」


思わず、俺と優奈は同時に突っ込んでしまった。



「ところで、オフ会はどうだった?楽しかった?」


柚木は思い出したかのように言ってくる。


「ああ、楽しかったぞ。周りは小説家をしているメンバーもいて、なんとあの南先輩なんて

売れっ子小説家だったんだ。」



「まあ、作風は非道徳的けどな。」


「知ってる。あの人の小説ってちょっとエッチな感じがするよね。」



「ああ、そういえば一年の頃に南先輩の小説のイラストを描いたっていってたな。」


「うん。まあね」



「「ところで、藤也くんにお願いがあるんだけど、いいかな?」




「え!?なんだ?」


「あにファンのサークル活動なんだけど、これからもからもリモートで参加したたいから藤也くんには、これからもリモート役を頼みたいの。」


「そこで、藤也くんにもあにファンに入って欲しいの。いい?」


そうだよな。オレがリモートの柚木を連れて行かないとサークル参加は出来ないよな。


これがオレと柚木の繋がりだから。


「わかった。あにファンに参加するよ。」


「じゃあオレからも柚木にお願いいいか?」


「ラブコメ小説を書くのに柚木とデートがしたい!」



「でも、わたし引き籠もりだよ。部屋から出れないよ?」



そんなのは問題ない。柚木との繋がりがあれば部屋の中で閉ざされていようが飛び越えていける。



「オレがいろんな所へ柚木を連れて行くよ。リモートでな。」



「そうか!その手があったね。」


と納得の様子の柚木に優しく声を掛ける。


「どこか行きたいとこがあればなんでも言ってくれ。」






「わかった。今度行きたいとこリストを作っておくよ。」




「なに堂々と、デートの約束してるのよ!デレデレしゃって馬鹿兄貴!」


と優奈は茶化してくる。


「兄さんさんデートする時は言ってね。不慣れな兄さんにデートの極意を伝えたいから」



世話焼きの愛那から暖かい言葉を貰うのだった。














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