第7話 『メインヒロイン』



わたしは、万代第二高校に芸術コースの特待生として入学した。元々、お父さんからの絵に関する教えは受けていたことで絵に関する基礎知識は持っていた。

中学2年の時、名だたるコンクールにも入賞出来た経歴もあって、こうして特待生として入学できた。


元々母親は絵に関することを一から改めて基礎基礎を学んで欲しいと願っていて、応用もを身に付けて欲しいが為に入学を許可してくれた。


高一の春。父親は海外で画家の仕事があることから海外へと赴任する。イタリアのフィレンツェだったかな?そんなところ。母は、父に付いていきそれに伴いわたしはマンションで一人暮らしをしながらの高校生活が始まった。



専門学科であるデッサンや模写は直ぐに身についた。それより、早く作品作りを

させて欲しいとさえ思った。4月の中旬、2年生とのA組合同での総合学習で文芸コースの先輩の文章に絵を付ける課題に取り組んだ。わたしは南秋雫先輩の担当になって彼女の文章に絵を付けた。



それが他の生徒達や先生の間で話題となり一躍、注目を浴びた。中にはわたしの父のことを知っていて七光りなどと陰口を叩く人もいたりした。


いつしか、クラスメイト達も、わたしの絵に嫉妬して、一人また一人として離れていった。そうして、いつの間にか一人孤立してしまった。居場所がなくなり、学校へ行きたくなくなって不登校になった。


本当のわたしを知っても嫌いにならないでいる人はいるのかな。



中学の頃から父親の絵の手伝いで簡単な絵の仕事をさせて貰っていたことで、学校に行かない時間は、絵の仕事をして過ごした。それが学校側の目に留まり、絵の仕事を通して学校のPRをしてくれるなら特待生として特別に出席日数を免除して進級テストのみで何とか進級出来た。

でも、これ以上は特待生としても不登校を擁護できないと2年からは、B組に落されてしまった。


出席日数の免除もなくなりこのままでは

留年すると言われ、半年の有余が与えられた。

出席日数の免除がなくなる。そんな不安を払拭しようと、より一層がむしゃらに絵の仕事に励んだ。


そんな時、WEB小説の二次創作小説

【ブルースカイファンタジー】と出会った。


二次創作だけど、活き活きと描かれているその作品にのめり込んでいった。


作者がこの作品を好きなのがよく伝わってくる。不登校になってから夢中で読みふけって、いつしか、わたしもこの人のように自分の作品を伸び伸びと表現できたらなと羨ましく思うようになった。


                   ****** ****** *



多分、柚木のことは一目惚れだったと思う。


彼女を見た瞬間、鼓動が高鳴り、運命的な邂逅かいこうを果たした。

マンションの208号室の前に来ると

インターホンを鳴らそうと指を構えるが

あと、数センチのところで指が止まってしまう。

クソ!どうも決心が付かない。

と、やっぱり辞めようと帰ろうと思ったその、瞬間、唐突に、扉が開いた。

「痛い!」

突然開け放たれた扉に頭を強打してしまい、痛みに悶えていると柚木が姿を現す。

柚木はリモートでオフ会に参加した時と同様、白とピンクが基調のワンピースを着ていた。

リモートでは上半身しか移っていなかったがそのワンピースの全体像は裾にフリルがあしらわれていて、可愛らしいものだった。


「おぅ、その服、可愛いな。よそ行き用か?」



「うん、ありがとう。リモートオフ会で着たのをそのまま。」


「藤也くんに、わたしの全部を見てもらいたくて。」



「なんか、その言い方エロいな。」


「そうかな?エッチっぽかったかな?!」


「まあ、いいけど。」


「それより柚木、話したいことがあるんだ。訊いてくれるか?」


と、ここに来る最中、考えていたことを伝えようとする。


「待って。その前にわたしからも藤也くんに話さないといけないことがあるの。聞いてくれる?」と柚木は、不安そうな表情を浮かべて言う。


オレは、「ここは、先に言ったオレから聞いて欲しいんだが。」と先手を譲らない意向を示す。



柚木は少し、ムッとした表情をして「ここはわたしの部屋です。それにレディファーストとゆう言葉があると思うのですが?」


「いかがですか?」意として使われた丁寧な口調に威圧感を感じてオレは、「わかった。先に柚木からどうぞ。」


とオレは折れて先手をゆずることにした。



「オフ会で、わたしが、特待生の生徒で、イラストレーターの結月ゆいとして活動していることはもう知ってるよね。」


柚木は、話してくれた。自分の高い絵の才能のせいで周囲の生徒から疎まれて孤立してしまったこと。


それが原因で自分の才能にコンプレックスを抱き引き籠もりになったこと。


引き籠もり続けるには、特待生としてイラストの仕事で一定の成果を上げて学校へのPRで貢献していかないといけないとこ。

でも、2年からは、B組に落とされて、もう特別待遇は通用しないでもう後が無いこと。




「人気があって高いセンスを持っている。そんなわたしでも、藤也くんは嫉妬したり嫌いにならないでいてくれる?」



「それは、正直、柚木の正体を知って驚いたよ。自分にはない才能を持っていて嫉妬さえした。」



「やっぱり、藤也くんもそうなんだね。」

(この人もわたしのことは受け入れてくれないんだ......)


「聞いてくれ、柚木!」



「だけど、それ以上にその才能をスゴイと思ったんだ。」



「オレは、そんなお前からイラストを描いて貰ってるんだって皆に自慢したいね。」


「オレの相棒は、スゴイヤツなんだぞってな!」


「それと、ブルファンのイラストの

挿絵を書描いてくれてありがとうな。」


「素直に、嬉しかったよ。」


自分が創造したキャラ達に命を吹き込んでくれて、ラノベ作家にとってこんなに嬉しいことはない。


「藤也くん......」



柚木が瞳に涙を浮かべて見つめてくる。


「よし、今度はオレの話を聞いて貰うぞ!」



「うん、いいよ。」



「なんでも言って」


「そ、それはだな...」



そんなに見つめられると緊張していざ、言おうとしていたことが恥ずかしくなり口籠もってしまう。



「あ、あのな...」



ダメだ言えない!もし断られでもしたらもう柚木に向ける顔が無くなる。



「わたしも勇気出して言ったんだよ。

ここで言わないのはフェアじゃないよ。」


「さあ、藤也くん頑張って。」



何でも受け入れてくれるだろう。

そんなう優しい眼差しを向けられて、オレは決意する。



「あのな、実は柚木をメインヒロインにしたラブコメ小説を書きたいんだけど、

オレの小説のメインヒロインになってくれないか!」


言ったこれで駄目ならオレは貝になりたい。


「ほんとに?!わたしなんかでいいの?」


「引き籠もりだよ!駄目人間なんだよ!」


「ああ、知ってる。柚木だからヒロインにしたいと思ったんだ。」


「ほんとにほんと?!」



「しつこいな!ほんとだよ。」





「それに好きでもないヤツの為に妹達の他に弁当なんて作らないし。」



「そぅか、ほんとうなんだー。」


「嬉しいけど、なんだか照れる。」


柚木は頬を朱色に染めてウフフと口元を緩めて微笑む。



ヤバイ。スゲー可愛い!


そうか、わかったぞ!オレがラノベを書

く目的、その付加価値はー



「今、夢が決まったぞ柚木。オレの夢はお前をヒロインにしたラブコメ小説を書籍化させることだ!そして、アニメ化させる!」




「オレの?一人だけの夢にするなんてズルい!その夢は二人の二人の夢にしよう!」



「柚木、いいのか?」


これは、夢なのか!?嬉しいことって重なるものなんだな。


「わたしがイラストで藤也くんが小説」


二人二人のラノベを出そう!」


オレが言おうとしていたことを柚木に先に言われてしまった。

それ、オレのセリフ!








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