第5話 『オタクコミニュティ』
オレは、二次創作小説を投稿している
Web小説作家だ。
【⠀ブルースカイファンタジー】
人気ソシャゲゲームアプリの
【⠀ブルーグランドファンタジー】の二次創作。
広大に広がる青い空を旅する騎空士の冒険者と出会いのストーリー
少年クラウドは、聖召獣を召喚出来る不思議な力を宿す少女ルミアと出会い彼女の逃亡を手助ける形で一緒に旅立つ。
彼女を追ってきた騎士と対峙するもルミアの力を借りて退け、難を逃れる。
そして、仲間が一人また一人と集まり騎団を結成して空を駆ける旅に出る。
二次創作小説を執筆するオレは、
本当は、一次創作で商業作家デビューをしたかった。
高二に入り受験シーズンに突入したオレは、本腰を入れての執筆活動を辞め、受験の為、ささやかな趣味として二次創作を楽しむ道を選んだ。
なんで、オレじゃ駄目なんだ!と売れてるラノベに愚痴も零したりもした。
朝、ホームルーム前に、柚木宅に通っていると聞いて女子の学級委員長である
「不登校の柚木さんの更正に励んでるんだって。」
「女心をわからなそうな藤也君に女の子と接する為のアドバイスをしてあげる。」
艶やかな黒髪ロングに制服もちゃんと着こなしててスカートも膝丈で揃えてあって女の子らしい彼女。
一緒に話しているとまるで陽向の中にいるようなポカポカな気持ちになってくる。
それもそのはず彼女は風紀委員にも属しているのだから。
「一つ。女の子からの悩みは親身になって聞いてあげること。」
「自分の気持ちを分かって貰えるだけで
相手は気が楽になるから。」
「二つ。あれがしたいこれがしたいとワガママ言われても頭ごなしに否定しないこと。」
「無理のない範囲で極力、聞いてあげて。」
「三つ。引きこもっているのには何か理由があると思うから彼女の気持ちも考えてね。」
とゆうことだった。
昼休み、小説家になろうよのアプリに新規のメッセージが入り、見てみると結月さんからだった。
文面にはブルファン、いつも愛読してます。いつも面白いです。と小説の感想と
ブルファンの挿絵を描いて添付してくれていた。
初めて自分の小説に出てくる主人公とヒロインのクラウドとルミアのイラストを付けて貰った。これは嬉しい。
まるで、プロが描いたかのような
美麗なイラストだった。
加えて文面の最後には、今度、オフ会にリモートで参加することになったんだ。メッセージがあった。
「へー、結月さんもオフ会に行くのかー。」
ん?待てよリモートで参加?
それってどこかで聞いたような…
そうだ!柚木だ!柚木もリモートでオフ会に参加を。
まさか、結月さんが柚木なのか?
で昼休み、柚木からMlNE《 マイン》で『放課後にわたしのとこ来て。話したいことがあるから。』とあった。
これは、面と向かって柚木に聞いてみるしかない。
*
放課後に、オレは、柚木の208号室に向かった。
いつものようにインタホーンを押す。
『はーい!今行きまーす!!』
とゆう浮ついた声が返ってくる。
何をそんなにテンションを上げているのか?オレが来たのがそんなに嬉しかったのか?
「さぁ、上がって!話したいことがあるの。」
そ柚木の自室に上げて貰うと、自身のオタク趣味を語ってくる。
【⠀冒険者でも恋がしたい!】
ダンジョン都市で弱小冒険者としてダンジョンに潜るが駆け出し冒険者のネル=グラベルが英雄に憧れ、最弱故にモンスター相手に四苦八苦しながら高みを目指していくストーリー。
金髪のエルフ剣士彼女が苦戦している場に出くわす。
助けなきゃ!と彼女に助太刀に入るも思っていた以上にモンスターが強く助太刀どころでなくて殺られそうになる。
彼女を助けようとしたのに、逆に助けられてしまう。
「苦戦してると見せ掛けて襲い掛かってくるとこの隙をつこうとしていたのに。」と迷惑そうに舌打ちをしてして彼女は去っていく。
そんな、助けて貰った彼女に憧れと恋慕の気持ちを寄せるようになる。
彼女と友達以上。あわよくば恋人の関係を望んでしまうネル。
そんな冒険者でありながら恋に憧れる冒険者の冒険譚。
「推しキャラは、白髪灼眼のネル・クラベルなんだよね!」「英雄に憧れるも、女の子の前では、あのシャイで可愛いらしい性格が最高!」だと熱烈に語ってくる。
女の子だからやっぱり男性キャラが好きなのか。オレは美少女キャラがいいけどな。と思う。
そこで、藤也は、気になってたことで、
間違ってたら悪いんだけど。と前置きをして「柚木がオレの小説にコメントをくれる結月なのか?」と訊く。
「え?藤也くんがブルファンの作者の藤原さんなの!?」とお互いの正体を知り驚きを隠せないでいる。
「まぉね、イラストは趣味で描いているから」と
「どうりでイラストがプロ顔負けだったわけだ。」
オレの疑問が解けたとこで柚木がオレを今日、この場に呼出した本題を語る。
「あたし、アニメやマンガが好きでだけど自分一人で楽しんでいるんだ。
だけど時折、一人だけどともどかしさを感じて寂しくなることがあるの」
「どうせなら、ラノベや、アニメの話しを
誰かと共有したいのだけど、引きこもり故にリアルで友達を作ることも出来なくて。困っているの。」
「そんなの学校行ってた頃の友達とMINE《 マイン》やり取りすればいいじゃないか」。だけど、 柚木は 「それは出来ない。」と辛そうな表情で応える。
「とゆうかやりたくない。」
いったい、柚木の交友関係に何があったとゆうんだ?!
「そこでなんだけど。」
コミュニティサークルに入ってみたんだ。」
「へえ、どんな?」
「SNSで活動するオタクのコミュニティサークルに参加したの。皆良い人達でいつの間にか、気心の知れる何でもさらけ出せるオタク仲間になったの」
すると柚木は、パソコンの画面をオレの方に向けてコミュニティサークルの概要を見せてくれた。
オタクコミュニティサークル
『あにめまんがファンクラブ』
略して『あにファン』に結月ゆいとゆうニックネームで会員登録していた。
5人の少人数規模のコミュニティサークルで柚木を入れても未だ4人の極小サークル。
「へえー、同人漫画や小説を書いている人もいるのかー。」
色んな人が集まってて面白そうだな。
「良いサークルだな、よかったな。」
「うん。部屋に閉じこもっていながら同じ趣味を持つ人達と触れあえて」
「それって、スゴくスゴく、トキメクの!」
「そうだったのか。」
「そんな時、オフ会の通知が届いたんだ。」
「そこで、この人達と実際に会って話してみたい!そんな欲が出てきたの。」
だけど、自分にはそれが出来なくてもどかしさを感じていた。と語る。
「でも、そんな時、わたしの代行として動いてくれる駒。いや、藤也くんが現れたの」
「これはもう、この人を使うしかないと思ったんだ!」
おいおい、本音が漏れてるぞ。
これを容認したら柚木の引きこもりライフに拍車が掛かってしまう。
どうする?やっぱり断るか。
どうする。どうする、オレ!!
「だから、お願い!わたしをオフ会に(リモートで)連れて行って!」
甲子園球場じゃなくていいのか?
とそんな野暮な突っ込みはせずに
「仕方ないな、オレでよかったら言いように使ってくれ!」
と言う。
「うん、ありがとう。わたしの従順な駒になってくれて!」
だから、その一言は要らないっての。
とまぁ、可愛いからいいか。と了承する
小日向、出来る範囲で聞いてやったぞ。
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