第4話『お弁当とお返し』


妹達の弁当を作って、いざお隣の208号室に向かう。柚木の部屋の前に立つ。

昨日は、盛大に拒絶されてしまったことからどうせ駄目だよな...と弱気になってしまう


ええい!なるようになれ!とダメ元で、インターホンを押す。少し遅れて、「今行きまぁ~す!」とゆう柔和な声が聞こえてきて、扉を開けると目の前には柚木が顔を見せ、来客が俺だと分かると彼女の顔色が一変、怪訝けげんな表情へと変わる。

「また来たの?そう難度も来られても学校へは行かないから!」


「それより、今日は...は無いの?」


柚木は聞き取りにくいか細い声で尋ねてくる。「え?なんだって?」

良く聞き取れないよ。ぐいっと柚木に近づく。その俺の行動に驚いた柚木は、「きゃっ近寄らない

でよ変態!通報されたいの?!」

と警戒する。


「い、いや。声が小さいから近づいただけだよ。」


「まったく失礼しちゃう!」

唯依存はプクーっと拗ねたのように頬を膨らまして不満を露わにする。




「もう一度言うけど、なにかわたしに渡す物はないの?」


「あるなら貰って上げなくもないけど...」と急にモジモジして言ってくる。


なんだなんだ!ちょと急に可愛すぎないか?!それって、俺からのおすそ分けが気に入ったからまた期待してるってことだよな!欲しいなら素直に欲しいって言いなよ!


ちゃんと用意してきたんだからさ!



「なに、ニヤニヤしてるの気持ち悪い!頭でも沸いたの?」


「なっ、んだと!」


前言撤回、全然可愛くない!一瞬でもトキメイタ自分が恥ずかしい。



「ほらよ。放っておくとお前はマッグとかカロリーブロックとかしか食べないからな。」


俺は、そう言いながら通学用のリュックから柚木の分のお弁当を取り出す。


柚木は、「それを見ると、『わぁー』と声を上げて目を輝かせてくる。


「ほら、これが欲しかったんだろ?どうだ。」



「ふ、ふん!誰もお弁当を作ってきてなんて頼んでないのに!」


唯依はツンと興味の無い素振りを取ってくる。


本当は、興味津々なくせに。ほんと、素直じゃない奴。



「なんだ?いらないのか?なら俺の昼飯にしようかな~」


とわざとらさいく言って、ひょいっと弁当を柚木から届かないように高く上げ、

さっきのお返しとばかりに意地悪する。



「あっ!イヤっ!誰も要らないなんなんて言ってないでしょ!食べないでー!」

と「返してっ!返してっ!」と連呼してぴょんぴょん跳ねて俺の隙を見て柚木はガシッと弁当箱の包みを掴んで奪取する。


「あっ!お前、人がせっかく作ってきたのを乱暴に!」


「ふふっとりぃーw」と柚木はお弁当の包みを宝物に触れるように大事に抱えて取られまいと『フシャーッ』と猫のように威嚇してくる。


「まったく......」


どれだけ食べたかったんだよ。まあ、いいけどさ。どのみちあげるつもりだったからさ。



「やったぁ!ウフフw」と柚木は微笑んでさっきと小憎らしさ全開から可愛らしいこの変わりようにドキッとする。

(なんだ?!可愛すぎだろ!)


鼓動が跳ね上がり動悸がうるさい。



どうせ前回と同じで学校には登校してくれないんだろうなと思い、なにか学校に来てくれる口実は無いものかと頭を悩まして学校へと一人、登校するのだった。



               *** *** *** ***


放課後、学校から帰宅した俺は、柚木に渡した弁当の空を回収しに208号室の柚木の部屋を訪れていた。


今朝と同じようにインターホンを押す。回数を重ねたことで、もう緊張などはそいないでスムーズに押せた。


「はーい。今、「いきまーす!」とゆう声の後に出て来た柚木は朝、会ったときと同じ相変わらずの桃色のパジャマ姿だった。


「よっ!今朝かた振りだな。」

「それにしても、朝からずっとその恰好なんだな。」

俺は柚木「のパジャマ姿を見て言う。


「あのね!わたしを誰だと思っているの?!引きこもりだよ。そんな誰に会うわけでもなく着替えないよ。」


「そうでした。」


こいつは、生粋の引きこもりだった。




「ところで、何の用があって、わたしの部屋に来たの?」


「ハッまさか性懲りもなくまたセクハラをするつもり?!ごめん、陵辱系はやめて欲しいんだけど。まさに歩く変質者ね。」





「誰が変質者だ!俺は変態じゃない!弁当の空を回収しにきたんだよ!返して貰っていいか?」


「あっ!?そうか。ちょっと待ってて。」


そう言い柚木は「トタタタと廊下の奥へと下がって行った。しばらくして両手に弁当箱の包みを抱えた柚木が戻ってきた。


「どうだ?美味しかったか?!」


「うーんまあまあかな~でも、また作ってくれるってゆうのなら貰ってあげなくもないよ」



「なんだ、美味しくなかったのか。作るの手間だしそれならもうあーげない!」


とわざと意地悪を言い柚木の反応を見る。


「あー!今の嘘だから!本当は美味しかったからっだからまた作ってー!」

と、必死になって弁解してくる。

そんなに俺の弁当が気に入ったのか?

まぁ、可愛いから許す。

「ふーん。よろしい。」



もう作ってやらないと言うのは勿論嘘だ。俺が食事の管理をしないと柚木は確実に駄目になる。だから、拒絶されても作り続けるつもりでいた。


それに、妹達の分を作るついでだからそんなに手間とゆうわけでもないしな。




「美味しいお弁当を作ってくれたお礼になにかしてあげる。ただ、エッチなことは駄目だからね。」



「それなら、学校に登校してくれ!」

俺はここぞとばかりに登校してくれる口実を見つけて言う。



「え?行かないよ。何言ってるの?わたし、引きこもりだよ?!お願いを聞いてあげるって言ってるのにそのつまらないチョイスは無いよね。」



「クソーだめだったかー絶対お前をここから連れ出してやるからな!」



「そんあ恰好の良いこと言っても無理!学校へ行く以外なら聞いてあげるよ」



「じゃあ、頭なでなでは駄目か?」


「あっ!頭撫でながらエッチな気分「に浸るつもりでしょっ!変態が過ぎるよ。」




「あっ!ごめん。今のは無しだから冗談だからな!流石に会って間もない女の子の頭は撫でられないよ」

そんな事をしたら本気で嫌われて出禁にされてしまう。



「なんだ撫でないんだ、意気地無し......」と柚木は俺に聞こえないように小声で呟くのだった。

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