五章4話 そして二人は幸せに暮らしました



「今回はすまないことをした」


リサさんに団長と呼ばれた人物が私に向かって頭を下げる。


意味が分からず困惑していると男性は頭を上げて団員を連れて去って行ってしまった。


どうやら私は殺されずに済んだらしいとようやく実感がわいて来て地面にへたり込んでしまう。


「ミリアちゃん?!どうしたの?怪我が痛むの?!」


「違う、違うの」


慌てて抱き起こしてくれるリサさんに首を横に振って応える。


「私、生きてるんだなぁって……思ったら、急に……」


ぽろぽろと涙がこぼれてくる。


あぁ私怖かったんだな。と今更になって理解した。


「あぁ、ごめんなさい。怖がらせてごめんなさいね」


リサさんは私を抱きしめると宥める様に頭を撫でる。


「そんな、私がっ……思い違いを……!」


「いいの、今は泣いていいから」


そう言われて私は泣いた。


生まれて初めてこんなに泣いたんじゃないかと思うくらい泣いた。


そんな私をリサさんはずっと宥め続けてくれる。






◆◆◆






ようやく泣き止んだ時には朝になっていた。


そこで私は朝日に当たっても痛くも辛くもないことに気が付く。


昨日と違う点と言えばこの首に巻かれたチョーカーの魔道具くらいしか思いつかない。


私の困惑に気が付いたのかリサさんが説明をしてくれる。


「それが従魔契約の利点なのよ」


そう言ってリサさんは愛おしそうにチョーカーを撫でた。


「その、従魔契約っていうのは……?」


「説明するからまずは家に入りましょう」


傷の痛みで立ち上がるのが難しかったのでリサさんに肩を借りて私達は家に帰る。


テーブルに向かい合わせに座った。


「まずはヴァンパイアハンターっていうのがギルド登録員の自称なのは知っているかしら?」


「え?そうなんですか?」


そういった職業があるのかと思っていた。


そう言えば私はヴァンパイアハンターの事を教わった事しか知らない。


知らないのに悪だと決めつけていた。


リサさんは私の問いを聞いて頷く。


「そうなの。正式に職業として認められているわけじゃない団体なのよ。だからギルドに登録している従魔、モンスターには手が出せないの」


「だから、これを……」


恐らくこの黒いチョーカーの魔道具が従魔であることの証なんだろう。


「わざわざ用意してくれたんですか?」


出会ってまだ一日しか経っていないのに。


わざわざギルドまで行ってこれを用意してくれたんだろうか?


私の問いにリサさんは首を横に振った。


「これはね、団長が持っていたものなのよ」


「え?」


団長と言えば頭を下げていた姿が頭をよぎる。


あの人が、ヴァンパイアハンターの団長が従魔契約用の魔道具を持ち歩いていた?


意味がわからない。


「たまにね、従魔契約を望む契約者がいるの。私達みたいにね。そんな時のために団長はそれを持ち歩いていたの」


そう言ってリサさんは微笑んだ。


「勝手に決めてしまってごめんなさいね。本当は従魔契約の事もちゃんと説明してからするつもりだったんだけど……」


リサさんは少し申し訳なさそうに従魔契約について教えてくれた。




従魔とは契約者と契約をしたモンスターの事を言い、ギルドに保護されるものである。


従魔は契約者を特殊な場合に限り害することは出来ない。


従魔、特にヴァンパイアは魔道具によってその特性を失い、普通のモンスター扱いになる。


契約者は従魔を守らなければならない。


逆に従魔も契約者を守らなけらばならない。




それは私達、魔物と呼ばれる種族を救うためのものだった。


それを知って私は嬉しくなる。


ただ駆逐されるだけの存在として認識されているわけではなかった。


「私はね、昔両親をヴァンパイアに殺されてハンターになったの。でも足に怪我をしてしまって引退してこの村に移り住んだのよ」


「え、そう、なんですか……?」


まさかの両親をヴァンパイアに殺されていたとは思っていなかった。


戸惑いに声が上ずる。


「安心して、今はもう憎いとは思っていないの」


そう言って安心させるようにリサさんは微笑んだ。


「な、なんで……?」


思わず零れた言葉に彼女は悲しそうに表情を曇らせる。


「……憎しみ続ける事に疲れてしまったのよ。だから怪我を理由に引退したの」


そうして吸血鬼と無縁の生活を送っていた所に私が現れたということだ。


最初はどうするかリサさんも悩んだらしい。


でも私に襲われた時に受け入れようと決めてくれたんだとか。


まぁ逆に襲われ返されたわけですけども。


「ミリアちゃんは、ヴァンパイアハンターだった私の事嫌いになった?」


その言葉に私は首を横に振る。


「私は、一緒に居てくれるって言ったリサさんの事がす、好き、です」


改めて言葉にすると恥ずかしいものがあった。


照れくさくなって顔を背けてしまう。


「ふふ、ありがとう。私もミリアちゃんのことが大好きよ」




お互いの気持ちを確認しあった私達はどちらともなく微笑んだ。




◆◆◆






私は少し遅くなった朝食を食べた辺りで体に違和感を感じた。


軽い吸血衝動が襲ってきたのだ。


従魔の首輪のおかげで吸血鬼としての特性は消えているはずなのに。


その事をリサさんに伝える。


「あぁ、言うのを忘れていたわ。吸血衝動は無くならないのよ」


リサさん曰く、吸血のみしか受け付けない吸血鬼の従魔もいるらしく吸血衝動までは抑えていないのだとか。


「それにミリアちゃんは足と腕を怪我しているから体が怪我を直そうと血を欲しているんじゃないかしら?」


「えぇ、そうなんですか?!」


「私は求められるのは嫌じゃないけど……ミリアちゃんは嫌?」


そう言ってリサさんは服の襟を緩めて首筋を見せてくる。


こんな昼間から誘ってくるなんてずるい。


私が断れるわけなんてないじゃないか。




私達はお互い吸い寄せられるように始めのキスをした。






◆◆◆






それから寝室に移った私達は服を脱ぎ捨ててお互いの体を求め合う。


まずは吸血衝動を抑えるためにリサさんの首筋に噛み付いた。


やっぱり、リサさんの血はどんな果物よりも甘くておいしい。


「あ、ん、あぁっ!ミリアちゃ、ん……!」


吸血に寄る快感かリサさんが何度も身じろぎをして私の束縛から逃れようとする。


それを押さえつけて私は満足いくまで彼女の血を貪った。


吸血が終わると次はリサさんのターンだ。


お互いの舌を絡めあい濃厚なキスをする。


じゅる、ちゅぱ、とお互いの唾液が混ざり合って背筋がゾクゾクした。


「あっあ、あぁ……んふぁ……!」


「どう?気持ちいでしょ?」


唇が離れるとリサさんの手が私の体中をやわりと触れて気持ちのいい所を刺激する。


時々存在を忘れていた乳首をペロリと舐めたりした。


そのたびに訪れる快感に私の理性はドロドロに溶かされている。


もっと、もっと、と体が快感を求めた。


「もっと気持ちよくしてあげるから、ね?」


そう言ってリサさんは私の股に顔を近づけて陰核を舌で舐め上げる。


一際強い刺激に体がビクンと跳ねた。


「ひぁ?!あんん!」


私の嬌声に気を良くしたのかリサさんはじゅるりと私の愛液を吸いあげた。


そして私の中に舌が入ってくる。


浅く弱い所を何度も何度も押し上げるように舐められて気がおかしくなりそうだ。


舌では届かない所を責めるために今度は指が入ってくる。


まだ狭い私の中は舌よりも長い指を締めつけるように収縮した。


「ミリアちゃんのいいところ、擦ってあげる」


そう言って細長い指が内壁を擦る。


「あぁっ」


それは昨日何度も重点的に責められた場所だ。


「あ、やぁ!そこ、だめぇ!!」


「気持ちいい?」


リサさんの問いかけに私は何度も頷いた。


するとリサさんはヌルヌルになった私の中にもう一本指を入れてぐちゅぐちゅと出入りさせる。


「あぁ、ああ!き、気持ちいぃのぉ!」


そう言うと指の挿入が激しくなった。


視界がチカチカと瞬く。


これはあれだ、イく前の前兆だ。


「あ、だめ、いっちゃう!いっちゃうからぁ!!」


嫌々と首を横に振るがリサさんの手は止まらない。


「いいのよ、一回イってしまいましょう?」


指の動きが激しくなる。


「ああぁああ!!」


ビクンと背を反らせて私はイった。


イって敏感になっているアソコにリサさんの舌が侵入してくる。


中の愛液を舐めまわすように内壁が刺激された。


イってるのにさらに快感を与えられてまたイってしまいそうになる。


快感がどんどんと上り詰めていく。


私の口からは嬌声が出て、それがリサさんを刺激してさらに激しい愛撫が与えられた。


「んやぁ!だめだめだめぇ!!」


「駄目じゃないでしょう?」


「うぅ……ひゃぁん!」


つー、とリサさんが体の線を撫でる。


もうそれだけで気持ちよかった。


リサさんが私の片足を持ち上げて自らのアソコと私のアソコを擦り合わせるようにする。


ビリリと電撃が走ったような快感に背を仰け反らせた。


「あぁっ」


「ん、あっ……はぁん」


リサさんも気持ちいいのか艶やかな声をだす。


腰を動かすとお互いの愛液が混ざりあってぐちゅぐちゅといやらしい水音を立てる。


「あ、あ、あぁっ!これだめ、だめぇ!!」


「気持ちいい?あっ、気持ち、いいわよね?」


互いの嬌声が部屋に響いた。


愛液に塗れたアソコが擦れて気持ちいい。


「あぁ、ま、た。また、イっちゃう!イっちゃうからぁ!!」


「いいのよ、イっていいの!一緒にイきましょう?」


リサさんはラストスパートとばかりに腰を振る速度を速める。


私はなす術もなく快感に身を任せた。


「ああぁっぁぁああっ!!」


「ふ、あぁあああん!!」


互いの体がビクリを仰け反る。


リサさんは私の隣にどさりと横たわり絶頂の余韻を味わっていた。


私も息を荒くして余韻に浸る。


ぎゅうと、リサさんが手を握ってきた。


私もその手を握り返す。


「大好きよ、ミリアちゃん」


「わ、私もです。リサさん」


ふふ、とお互いに微笑んだ。






こうして私達は平和な生活を手に入れた。


時々昔馴染みのヴァンパイアハンターが顔を見せに来て一騒動あるがそれはまた別の話になる。




*****

ミリアの話はこれで終わりです。

次はまた別の女の子の話になります。

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