五章1話 吸血鬼少女の受難
「今日からお前はこの家の者じゃない」
父親にそう言われて急に家を追い出された私は森を彷徨っていた。
喉の渇きは偶然見つけた沢の水でなんとかなったが空腹だけはどうにもならない。
もう三日も食わずに彷徨っていた私はもう前にも後ろにも動けなくなってその場に倒れる。
すると「大丈夫ですか?!」と空耳が聞こえた。
ぼーっとする頭を動かすと視界の端に人の足が見えた気がする。
しかしそれが何者かを確認する前に私は意識を失ってしまった。
◆◆◆
私には生まれた時から前世の記憶というものがあった。
平成の世に生まれ、平成の終わりに交通事故に遭い死んでしまった女性の何の変哲もない記憶だ。
その記憶のせいか吸血鬼の家に生まれたのに血を飲むことに抵抗があり普通の食事をしていた。
そんな私は吸血鬼らしくないとして家族にはよく笑われた。
だからだろうか、まさか成人(15歳)になる前に家を追い出されるとは思わなかった。
そんなに家族仲は悪くなかったはずなのに。
「いくらなんでも薄情すぎるでしょー!!!」
そう叫んで私は目を覚ます。
ぐるりと見回すと見覚えのない質素なベッドに申し訳程度の家具が置かれた部屋に私はいる。
どうやら何者かに命を救われたらしい。
私が最後に見た人の足は幻じゃなかったんだろう。
私の声を聞きつけたのか部屋にノックの後人が入ってくる。
ドアを開けたのはとても美しい女性だった。
質素な村娘の服を着ているがさらりと腰あたりまで延ばされた黒髪に茶色の瞳が良く似合う顔をしている。
女性はベッドサイドまで近づいてくると私の頬に手を当てた。
「大丈夫ですか?行き倒れていたのを覚えていますか?」
頬にしっかりと体温が行き渡っているのを確認したのかするりと手は離れていく。
私は大きく頷いて応える。
「はい大丈夫です。助けていただいてありがとうございます」
「いいのよ、何か軽いモノでも食べられる?」
そう聞かれて、私のお腹がきゅるると盛大に音を鳴らす。
恥ずかしくて顔が熱くなるのを感じだ。
「ふふ、今持ってきますね」
そう言って女性は部屋を出て行ってしまった。
助けてもらった上にご馳走にまでなってしまうとは……恩返しはきちんとしなければいけないな。
と考えているとどんぶり皿乗せたトレイを持った女性が戻ってきた。
「自分で食べられますか?」
「大丈夫です。ありがとうございます」
そう言ってトレイを受け取る。
中身はほかほかと湯気を上げている野菜シチューだった。
スプーンで掬って一口食べると空腹だった胃がもっとと要求するように鳴る。
私は完食するまで手を止めずにシチューを食べた。
ふぅ、と一息つくと女性がトレイを回収する。
片づけてきますね、と言って女性は部屋を出て行ってしまった。
そして今度は水を入れたコップを持ってきてくれる。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
そう言って受け取った水を一気に飲み干した。
随分喉が渇いていたのか冷えた水が喉を通っていく感覚が気持ちいい。
私が一息ついたのを確認して女性はベッドサイドに椅子を持ってきて座る。
「まずは自己紹介ね。私はリサよ」
リサと名乗った女性はふんわりと微笑んだ。
その笑顔の美しさに一瞬見とれてしまった。
「あ、わ、私はミリア……です」
本当はミリアーナ・シュヴァルツ・エッセンディアというもっと長い名前だけど家を追い出された私に名乗る資格は無いように感じたので愛称を教える。
「ミリアね。いい名前だわ」
「あ、ありがとうございます」
「ねぇ、どうしてあんな森の中で行き倒れていたの?」
「……なんでか、家を追い出されて、気がづいたら森の中で迷ってました」
ありのままを話すとリサは驚いたように口に手を当てた。
「まぁ!大変な思いをしたんですね……」
「えぇ、まぁ……」
間違った事は言っていないのになぜか罪悪感が襲ってくる。
リサさんは信じてくれたようだった。
「それよりもここはどこですか?」
「ここ?パスティアとキングリムのちょうど中間にあるモリソンっていう村よ」
彼女はそう言った。
私の家があったのがパスティアの外れにある森の中だったので随分歩いて来てしまったようだ。
「幸い、うちには私しかいないから好きなだけいてくれていいのよ」
「え、悪いですよ!元気になったら出て行きますから!」
宿なしには嬉しい申し出だったがこれ以上彼女のお世話になるのは何故かいけない気がする。
しかもご飯までいただいてしまったのだ。
見ず知らずの私にそこまでしてくれる理由が分からない。
「でも行く当てはあるの?」
「う……」
的確に言われて言い淀んでしまう。
確かに、行く当てはない。
なんたって身一つで追い出されたし、頼れる親戚はいないし、とにかく近くの街か村に降りることが目的だったから当初の目的は達成されていることになる。
次にすることと言えば住み込みで働ける場所を探すことくらいだ。
幸い容姿は良い方だからなんとかなるだろうと思っている。
だがリサさんの提案に安直に飛びつきたい欲求もあった。
「何も迷惑じゃないから、いてくれないかしら?ね?」
「うぅ……で、でも……」
こんな美人と同居……してもいいのだろうか?
恋人とかいそうなのに。
「あ、ちなみに恋人はいないし本当に独り暮らしだからね?」
「え?!」
まるで心の中を読まれたようで驚いた。
彼女の言う通り本当に独り暮らしなのだとしたら、少しの間お世話になるくらいならいいのだろうか。
「……じゃあ少しの間だけ、お世話になります」
「はい、よろしくね」
リサさんは私がそう言うと嬉しそうに笑った。
◆◆◆
その日の夜のことだった。
私は意様に喉が渇いて目が覚める。
フラついた足で水場に行き水を飲んでも癒されない渇きに困惑した。
水場を後にすると何かに誘われるようにリサさんの寝室を訪れる。
何をしているんだろうと考えられず私は彼女に馬乗りになると一番いい匂いのする首筋に唇を寄せた。
そこで息苦しさにリサさんが目を覚ます。
「んぅ……ミリア、さん?」
何を、と言われる前にその柔肌に牙を立てる。
プツリと皮を貫通してそこから甘い血液が流れだし口の中を満たした。
「あっ……ん?!」
喉の渇きを癒すようにチュウチュウと血液を吸い取る。
するとリサさんは何かに耐えるように身を捩った。
「あっ、あぁ!」
ビクンビクンと弱く体が揺れる。
暫くしてようやく満足してペロリと傷跡を舐めた。
「ふぁ……んっ……」
「あっ……?!わ、たし……ごめんなさい!!」
ふいに我に返った私は謝るとリサさんの上から退こうとする。
その腕を掴まれて次の瞬間には上下が逆転していた。
「ふぇ?!り、リサさん……?」
下から見たリサさんの寝間着が乱れていて艶めかしい雰囲気を醸し出している。
リサさんはじっと私を見た。
「ごめんなさいね」
「え?ん?!」
まるで何かのスイッチが入ったかのように彼女は私の唇を塞いだ。
優しく何度も角度を変えて吸い付いかれて舐められる。
息苦しくなり開いた唇から舌が侵入して来て口内を蹂躙した。
逃げようとする舌を絡めとられて吸われる。
そのたびビリビリと弱い快感が体を走りおかしくなりそうだった。
何とか呼吸をしようと口を大きく開けると舌をじゅるると吸われる。
「んぷぁ……!」
唇が離れるとお互いの唾液が混ざり合って唇同士を繋いでぷつりと切れた。
リサさんの手が私の寝間着のボタンを外す。
「ひゃ?!り、リサさ」
「ミリアちゃんがいけないのよ?食べちゃいたいくらい可愛いのに自分から襲いに来るんですもの」
ぷちぷちと服のボタンが外されていく。
どうやら私はとんでもない相手に手を出してしまったらしい。
お母さまが言っていたが吸血の際、相手は牙から分泌される物質によって快感を感じるようになっていてそのままこういった『事に及ぶ』こともあるそうだ。
それが女性同士にも有効とは思わなかったし、今更私に吸血衝動が起きるとも思っていなかった。
でもリサさんの手が触れる場所が熱くなって気持ちいい。
ぷつりとブラまで外されてしまい慎ましい胸が外気に触れる。
夜の冷たい外気に触れて体がぶるりと震えた。
それを和らげるようにリサさんは私を包み込む。
まだ完全に起ちあがっていない乳首をくりくりといじられる。
「ん、んぁ……ふあぁ」
初めての感覚を素直に感じていると気を良くしたのかさらにキスを重ねてきた。
キスと同時に胸を責められてピリピリと気持ちよく感じる。
知らない、こんなに気持ちいいなんて知らない。
弱い快感が与えられて反応した股をもじもじとした。
それに気が付いたのかリサさんの手が下にのびる。
ショーツの上から秘裂をなぞった。
すでにそこは濡れていてくちゅりと粘質な水音がする。
「ぷぁ、もう濡れているのね。ミリアちゃんは敏感なのね」
リサさんは嬉しそうに言うと秘裂をなぞる手を早く動かした。
その手がたびたび秘豆に当たってびり、と比べ物にならない快感が私の体を走る。
「あ、あぁ、あんっ、ふあぁあ?!」
「あぁ、思った通り感じてる姿も可愛いわ」
くちゅくちゅと責める手を止めずに言った。
恍惚とした表情でリサさんは私を責める。
「や、まって、まってぇ!」
「だーめ」
チカチカと視界が明滅し始めて、何かが来るのが分かった。
怖くなってやめてと言うがリサさんはやめてくれない。
「んああぁあああぁ?!」
視界が真っ白になって体が弓なりに反る。
ビクンビクンと体が痙攣をした。
初めてのイくという体験に私は困惑する。
しかも女性の手によってだ。困惑しないほうが無理な相談である。
それでもリサさんは攻めの手を緩めるつもりは無いらしく私のショーツを取り去る。
イッたばかりの私のアソコに指を一本挿入してきた。
唐突に訪れた異物感に私のアソコは押し出そうと動く。
圧迫感で少し苦しい。
リサさんが中で指をグニグニと曲げて私の中を広げるようにする。
緩やかに抜き差しされて少しずつ愛液が潤滑油になって挿入に抵抗がなくなってきた。
ふいにリサさんの指がある一点に触れた時今まで感じたものの比にならないくらいの快感が襲ってくる。
「あぁ?!」
ビクンと体が震えた。
「ここがミリアさんのいいところね」
うふふ、と微笑むとそこを重点的に指で突いてくる。
そのたびビクンビクンと体が揺れて、気持ちよさでどうにかなってしまいそうだった。
私のアソコからぐちゅんぐちゅんといやらしい音がする。
その音も私の耳を犯して気持ちを高ぶらせた。
「あぁ、うあ、ひぅ!!」
「いいのよ、イっちゃって」
そう言ってリサさんは責めの手を早める。
過ぎた快感に体が弓なりになった。
視界が焼けたように真っ白になる。
「あぁああぁああ!」
ビクンビクンと体が震えて快感を逃そうと足がピンと伸びた。
息も荒くなり意識が遠くなる。
「はぁ……はぁ……」
そんな私を慈しむようにリサさんは優しく頬を撫でた。
「うふふ、おやすみなさい」
その言葉を聞いて私は意識を飛ばすのだった。
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