三章6話 終幕



あれから何度かヒナのログハウスに行った。


そのたびお茶菓子だったり薬の材料だったりと色々持って行ったりしている。


激しくヒナを抱いた日からだろうか、少しヒナとの距離が縮まった気がした。


ヒナから私を求めてくれることが増えたんだ。


それは素直に嬉しいのでそのたび美味しくいただいた。


もちろん冒険者としての仕事もこなしつつだから忙しい時は暫く会いに行けないこともある。




そう、今回の護衛任務のように。


商隊キャラバンを護衛してシノノメから中央都キングリムまで行く任務だった。


距離的にはそんなに離れていないが、魔物暴走が起こった後だったので念のため護衛部隊が組まれることになり、なぜか私とエレナのチームも行くことになっていた。ギルマス許さん。


護衛自体は滞りなく任務完了し、ヒナに会いたい一心で急いだ帰路にエレナは苦笑しながらもついてきてくれた。


キングリムとシノノメの往復で約二週間かかる道中を馬でかっ飛ばしたことにより二日ほど早くシノノメに帰ってくることができた。




いつも通り騒がしいギルドのロビーを通り受付まで行くと何故か私とエレナはギルド長室に通される。


「任務達成報告をするだけなのに呼び出しとは穏やかじゃないですね」


と私は苛立ちを込めた声で言った。


出来れば一刻も早く報告を済ませて家に仕送りをしてヒナに会いにいきたいのだ。


「まぁまずは座ってくれ」


ギルマスは動じた様子も無く私達にソファに座る様に言ってくる。


仕方なくどっかりと座ってやった。


「護衛任務の方は成功と見ていいんだな?」


その言葉に私は商隊からもらった印のついた書類を手前のテーブルに投げ出す。


それを確認したギルマスは二枚のカードを私達の方へ放ってくる。


危うげなく受け取るとそこにはランクCと書かれていた。


「今度の任務をもって二人のランクをCへと上げることが決定した。魔物暴走の時の貢献度で見れば本当ならBでもよかったんだがそこまでいくと縛りが発生するから俺の一存では決められなかったんだ」


ランクC、それは私とエレナが人数の問題で到達できなかったランクだ。


これがBになると常にシノノメにいて、ギルドからの使命依頼を常に請け負うことになる。


実質ギルド職員みたいな感じになる。


もちろんギルド職員全員が冒険者上がりというわけじゃないけど。


ランクCは私達の憧れだった。


「エレナ……」


「レイ……」


お互いに顔を見合う。




「「やったぁ!!」」




嬉しさの余りハイタッチまでしてしまった。


「あーそんなに喜んでる所悪いが、良かったのかランクCで?」


「ランクCで十分です!」


「ランクC最高じゃないですか!」


受けれるクエストの種類も増えるし、ランクCじゃないと買えない武具だって買えてしまう。


それ以前にランクCともなれば手続きによって男爵を名乗ることもできる。


下位だが家族を貴族に戻せるのだ。


私の夢だったそれがもうすぐ眼の前にある。


嬉しくないわけがない。


「ギルドマスター、私はすぐにでも貴族復権手続きがしたいです」


「そういやぁレイは元貴族だったな。書類取ってくるから待ってろ」


私の言葉にギルマスは重そうな腰を上げて部屋を出て行ってしまった。


「レイ、良かったね」


「うん。これで元通りとは行かないけど貴族に戻れるよ」


そう言えばエレナは少し戸惑ったようにしてから視線を伏せる。


「もう、冒険者はやめるのよね?」


「え?」


「え?」


お互いの顔を見合う。


「だって、元々貴族になるために冒険者になったんでしょう?」


「最初はそうだったけど……エレナとコンビ組めなくなるのはやだなぁ」


存外貴族としての生活よりも冒険者としての生活の方がわりにあっている気がする。


だから家族にはこれで領地経営を頑張ってもらって、私は今まで通り仕送り生活をしようと思っていた。


「貴方って人はよく恥ずかしげもなく言えるわね……森のハーフちゃんもそうやって落としたのかしら?」


「え?!ヒナは落としたとかそういうんじゃ……」




「た、大変だ!」




ドスドスと重い音を鳴らしてギルマスが戻ってきた。


しかしその表情には余裕が見え無い。


よほど緊急の事が起きたらしい。


「どうしたんです?」




「領主のバカ息子が勝手に私兵と共に森に向かったそうだ!」




ガタン!


その言葉を聞いて私は音を立てて立ち上がっていた。


「表向きは狩猟らしいが、あのバカ息子のことだ。森の魔女の所に向かったに違いない」


「ギルマス!馬はありますか?」


「ギルド裏にいるが……」


「ではお借りします!」


「ま、待て待て!今回の件でとうとう領主も堪忍袋の緒が切れたらしい。存分に痛めつけても構わないそうだ」


「……生きてるといいですね」


そう言ってギルマスの横を通り過ぎて部屋を後にする。


「あ、私も行くわ!」


背後からエレナが追いかけてくる気配がしたが振り返る余裕は無い。


駆け足でギルドの裏に回るとすでに用意されていた馬が二頭いる。


あのギルマスは恐らくこうなると予想して先手を打っていたのだろう。


ありがたく馬に跨って走らせる。


目指すは魔除けの森だ。






◆◆◆






私達がヒナの家に着いた時に見たのは数人の騎士と太った男がヒナを家から引きずり出しているところだった。


頬をぶたれたのか片方の頬が赤くなり瞳には涙が溜まっている。


それを見た私の中で糸が切れる様な音がした。


馬から飛び降りた私に気付いた騎士たちをエレナに任せて私はヒナの腕を掴む馬鹿貴族に駆け寄るとその腕を斬り飛ばす。


「ぎゃああああ!?」


飛び散る血が地面と私を濡らした。


馬鹿貴族は突然の事に驚いたのか腕を抑えてその場に座り込む。


「貴様!このお方は領主さまのご子息にあらせられるぞ!」


「知ってるよ」


息荒くこちらへ剣を向けてきた騎士は間に入ったエレナによってこちらへ来れなくなっている。


「私達はその領主の命で動いている」


そう言って領主のバカ息子に剣を向けた。


「魔女への手出しは領主から禁止されていたはずだ。それを破ったのは貴様だろう?存分に痛めつけていいとのことだ」


残念だったな。


助けてくれるいつも父親(領主様)はこちら側。


そう皮肉を込めて言った。


するとバカ息子は情けない悲鳴を上げて逃げていく。


それに続くように騎士たちも引き上げる。


わざわざ追いかける様な事はしなかった。


「ヒナ!」


「レイ!」


私が呼ぶ前にヒナが飛びついてくる。


相当怖かったのか震えていた。


安心させるように強めに抱きしめる。




「こーら、そんな恰好でいちゃつかないの!」




そう言ってエレナに布をかけられた。


そういえば血を被ってしまっていたのを忘れていた。


「ありがとう」


そう言って布で拭える場所は拭う。


「あ、あの……」


ヒナが私の後ろに隠れるようにエレナを見ている。


「そうか、初対面だったよね。彼女はエレナ。私の相棒だよ」


「はーいエレナよ、よろしくね」


「よ、よろしくです……」


ヒナは人見知りが発動している為かこれ以上近づかないようにしている。


「じゃあ私はギルマスに報告に行くからレイはヒナちゃんといてあげて」


「え、いいのか?」


「いいのいいの!任せてちょうだいな」


そう言ってエレナは馬に乗って戻って行ってしまった。


早い所二人きりにしようという心遣いだろう。


「レイ……」


「ヒナ、水浴びしてくるよ」


「わかったです。後でタオルと着替えを持って行きます」


「ありがとう」


そう言って私は近くにある水浴び場へ向かう。




水場についてまずは服に着いた血を洗い流していく。


下着以外の服を脱ぎ捨てて水の中に入ると冷たい流水がこびり付いた血を流してくれた。


ばしゃりと水を顔に当てると冷たさに頭が冷えていくのが分かる。


相当頭に血が上っていたらしい。


いやでもバカ息子の首を狙わなかっただけまだマシだったはずだ。


あぁ、でも一発殴っておきたかったな。




残念がっているとヒナがタオルと着替えを抱えてやってくる。


泊まることも多かったから着替えを置いておいたのは正解だったようだ。


私はそれらを受け取りタオルで体を拭いてから着替えた。


ヒナと一緒にログハウスまで戻ってくると濡れた服を干す。


「今日は泊まっていくから」


「ならちょうど良かったです。見せたいものがありますので」


そう言ってヒナは家の中に入ってしまった。


なんだろうと思って追いかけて中に入る。


中で待っていたヒナは手に小さい宝石を持っていた。


オーバルカットされたそれは美しい乳白色で、光できらきらと光る。




「これが、聖属性の宝石です」


「これが作ってたもの?」


私の問いかけにヒナは頷いて答えた。


「大体一年かけて作ります。なので儀式も一年に一度行います」


その儀式を行うのが今日なのだと言う。


「それは私が見ても良いものなのか?」


「ぜひ見て欲しいです」


そう言ったヒナは宝石を両手で包み込む。




手の隙間からきらきらと光が溢れ始める。


ヒナは聞き取れないほど小さな声で呪文を唱えていた。


聖属性の力が波となって広がっていく。


恐らく壁を通過して、森全体に力が行き渡るのだろう。


暫くするとパキンと言う音が響いて光は消え去った。


ヒナが手を開くと割れた宝石が手に残っている。




「これでまた一年、この森は守られます」




そう言ったヒナは今までにないくらい可愛らしく微笑んでいた。








◆◆◆






それから夜になり簡単な夕食を取った後、私達は小さいベッドで向かい合っていた。


自然とお互いの手が絡み合う。


最初は軽いキスから始まる。


ちゅっちゅと音を立てて小さな唇に吸い付けば段々と薄く開いた唇の間に舌を潜り込ませた。


「っ!ぁ……」


「んちゅ……はぁっ……ん」


ビクリと震えるヒナを逃がさないように肩を抱き寄せて舌を絡める。


お互いの唾液が混ざり合い口の端から零れて落ちた。


「んふぁ……」


「は、もっと……ちゅぅ……」


「あ、レイ……ん、にゃあ……」


余りの可愛さにがっつくと酸欠からかヒナは顔を真っ赤にしている。


キスをしながらヒナの服を脱がせていく。


「あぅ」


ちゅ、ちゅと下へ向かってキスをしていくとくすぐったいのか唇が肌に触れるたびにヒナの体が震えた。


小さな乳首に吸い付くとビクンと震える。


「ふにゃぁあん!」


可愛らしい鳴き声に気を良くした私は舌を使って乳首をコロコロと舐め上げた。


「あ、あぁ……んぁ!」


さらに手を下へ下ろしていき可愛らしいパンツも脱がせる。


服を全て剥ぎ取ってしまうと小さく白い肢体が私のムラムラ感を上昇させた。


「あぁ、可愛い……可愛いよ……」


素直にその言葉を口にすれば恥ずかしそうに顔を背ける。


秘裂をなぞる様に手を動かせば小さな喘ぎ声がその口から洩れた。


とろりと溢れてきた愛液を秘豆に塗り付けるようになぞる。


「あっふぁあ!それ、やぁ……!」


気持ちいいらしいのでクニクニと秘豆をいじってあげると体を捩って逃げようとした。


まぁ逃がさないんだけど。


秘裂の奥からどんどんと愛液が溢れてくる。


私は秘裂をかき分けるように指を中へ入れていく。


「あ、あ、あぁ、んぁあ、だめぇ!」


中のいいところを擦る様に指を出し入れをすると反応が強くなった。


もっと気持ちよくなってほしい。


「駄目じゃない、でしょ?」


「や、でもぉ!」


「ほら、こんなに濡れてるよ?」


「やぁ!み、見せないで……」


ずるりと抜いた手を見せればヒナの愛液でテラテラと濡れているのが分かる。


ヒナは恥ずかしそうに目を背けた。


「恥ずかしがらないで、素直に感じる姿を見せてよ」


「あうぅ……」


親指で秘豆を擦りながら再び指での愛撫を再開する。


「あひゃぁあん!」


中はぐちょぐちょと水音が聞こえるくらいに濡れていた。


感じているのかヒナの背中が跳ねる。


意地悪で指の速度を速めたり緩めたり、時々バラバラに動かしたりした。


「あぁ!ひぃ、ん、はぁああん!」


キュウ、と中が収縮して私の指を締め付ける。


「はぁっ……あぁ……ん」


「イっちゃった?でも」


ぐちゅりと無理やり指の挿入を繰り返す。


「あ!やぁ、まだ、イって……はぁん!」


「うん、イってるね。もっと気持ちよくなろうね」


そう言って二度目の絶頂まで攻める手を緩めない。


ヒナの中も収縮を繰り返して私の指を離さなかった。


快感のせいかヒナの頬を涙が伝う。


「あああ、ふぁ、んん!」


唇を塞ぐようにキスをすればヒナの方から舌を絡めてきて甘い痺れが私を襲う。


あぁ、今私は求められている。


嬉しくて唾液を吸い尽くすように舌を絡めて中をいじめる手を速めた。


「んんー!んぁああ!」


「ふっ……く、ぁ……」


気持ちいい。


好き。


大好き。


まるでそう言われているような錯覚に陥る。


もっと聞きたくて、もっと気持ちよくなりたくて私の手は止まらない。




もっと。




もっと気持ちよくなりたい。




指を抜いて私も服を脱いだ。


ヒナの感じる姿を見てすでに濡れていた私のあそことヒナのあそこを擦り合わせるようにすると一段と強い刺激が走る。


「あぁああ!」


突然の刺激にヒナはビクンと背を仰け反らせた。


「んぁあ!これ、いぃ!」


もっと甘い刺激が欲しくて自然と腰が動く。


腰が動いて披裂が擦りあうたびにお互いの体が跳ねる。


気持ちいい。


「あ、や、なにこれぇ!あぁん!」


「ごめ、止まらない、止まらないよぉ!」


腰の動きが止まらない。


もっと欲しいと体が動く。


いつの間にか私まで余裕が無くなっていた。


「あぁあい、く!いっちゃうぅうう!」


「いいよ、イって!私もっ!」


ぬち、ぬちゃといやらしい水音が大きくなる。


意識がどんどんと高みへ追いやられていく。


視界が白く明滅した。


あと一押しと一際強く腰を振る。


「んあああああ!」


「い、くぅうう!」


ビクビク!とヒナの体が跳ねる。


私も視界が真っ白になって体が震えた。


「ひっ、あ?!や、まだぁ!」


「ごめ、止ま、んないぃ!」


更なる高みを目指すように私の腰の動きは激しさを増す。


もうお互い汗と愛液でぐしょぐしょに濡れている。


息も荒く、疲れているのに腰の動きは止まらない。


お互い快感を貪り合うように動いた。






それが終わったのは夜も遅くなったころだった。






◆◆◆エピローグ◆◆◆






後に報告にきたエレナに聞いた話だがあのバカ息子は生涯幽閉されることになったらしい。


護り手に手を出して処刑にならなかったのは領主の親心だったのだろう。


その親心が通じているかは不明だけどこれでヒナは安全になった。そのことに安心する。




あれから私は冒険者を続けながらヒナと暮らしている。


ヒナは時々薬を作っては街に売りに行ったり、私と遠乗りに出掛けたりと外に出る機会を増やしてくれた。


エレナにも少しづつ慣れて、今では薬の調合に関して話し合ったりしている。


そのうち私の家族にも会わせたい。


ヒナ曰く、一年の丸々を森で過ごさないといけないわけでは無いらしい。


人見知りだから引きこもっていただけで必要であれば結構な遠出も可能だとか。


それを聞いてからちょっとした旅行を計画している。


これからヒナと一緒に色んな場所に行ってみたい。


そう願った。




*****

ヒナとレイの話は終わりになります。

次はまた別の女の子たちのお話です。

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