三章5話 成分不足
あれから三日が経った。
最後に短く挨拶を交わしたきり私は彼女の元へ行けずにいる。
「レイ!そっちいったわよ!!」
「分かっている!!」
こちらへ向かってきた魔物を一刀て斬り捨てた私は背後から迫っていた魔物を斬った。
返り血を浴びないように後方へ飛び退く。
エレナのサポートのおかげでまだ軽傷までしか負っていないが、正直倒しても倒しても沸いてくる魔物の処理に追われている。
シノノメの北には魔除けの森があるが南には魔除けも結界もないため魔物が暴走を起こすことがある。今回街に戻ったらそれにあたってしまいギルド員は全員駆り出されることになった。
そのせいでもう三日もヒナに会いにいけていない。
あぁ、可愛いヒナに会いたい。
◆◆◆
結局魔物の暴走が収まったのは六日目で誰もがへとへとになっていた。
素材などは後で回収屋が回収して素材に分解、換金したものが配られることになっている。
これは功績に準じた金額になるので今回はがんばった。
これでお家立て直し貯金が増える。
それとは別に分けた賞金でヒナが好きそうな高いお菓子を買った。
琥珀糖と呼ばれる宝石のような見た目のゼリーの一種だ。
前世ではよく買いに行っていたがこの世界ではまだ砂糖の値段が高めになっているためこういった砂糖を沢山使うお菓子はかなり高い値段で売られている。
それと食材を少し購入して魔除けの森へ向かった。
六日ぶりに訪れてみたがやはりこっちに魔物が現れた様子は無い。
討ちもらしはなかったようだ。
安心して私は速足で歩いた。
なんだか早くヒナに会いたくてしょうがない。
でも駆け足になるものどうかと思って早足で歩く。
ログハウスが見えた時は心が躍った。
だがノックをして中に入ろうとして気が付く。
何をしに来たか理由を考えていなかったことを。
「(うわ~!どうしよ、何の用もないのに来たら怒られるよね?!)」
ドアの前で葛藤していると入ってこないのを不思議に思ったのか中からドアが開けられる。
六日ぶりに見たヒナは可愛らしくて、直前まで何を悩んでいたのか馬鹿みたいに思えた。
「ひ、久しぶり。お茶しにきたよ」
そう、これだけの理由でもよかったのだ。
「そう、じゃあ入っていつも通りにお願い」
いつも通りとは余計な物には触らず、安全にお茶を入れることを言う。
「オッケー」
私も軽く返事をして中に入る。
久しぶりのログハウス内は思ったより散らかっていなかった。
多分私が掃除したので気をつかって汚さない様に務めてくれているんだろう。
その気遣いが少し嬉しくて微笑んでしまう。
食材を所定の位置にしまうと、紅茶とお菓子の用意をする。
ヒナはいつものソファで本を読みながら座って待っていた。
テーブルに紅茶とお菓子を並べると私もヒナの隣に座る。
「今日のお菓子はちょっと奮発しちゃったよ」
「これは奮発なんてレベルじゃない気がするんですけど……」
ヒナは小難しい表情で瓶に入っている琥珀糖を見て言った。
どうやら価格をご存じらしい。
「いいんだよ。だって私がんばったもん」
私のパーティは魔物討伐で五位くらいだってギルド長が言っていたので頑張ったのは間違いない。
隣に座っているヒナが私の首にかけられたペンダントに手を伸ばす。
ペンダントトップにあった虹色鉱石の水晶はひび割れてしまっていた。
「……南の魔物が暴走した話は聞いているのですよ。無事で良かったのです」
何度か魔物の攻撃を受けてしまった際に割れているのに気が付いた。
守りの術が刻んであると言っていたのでその効果が発揮されたのだろうということは分かる。
まさかもらってすぐに壊してしまうとは思っていなかったので精神的なダメージはすごかった。
「……ごめん」
「元々守るためのモノです。気にしたら駄目なのです」
「うん、わかった……まぁ、お礼的な意味もあってこのお菓子を選んでみました。どうぞご賞味ください」
私がそう言って勧めれば気が乗らないようだったが一つ口に入れる。
「!!」
驚いた表情で私の方を見た。
琥珀糖とは石のような見た目をしているが実は表面が固まった砂糖でコーティングされていて中身は柔らかいゼリーになっている。
全体的にみると砂糖の塊だからカロリーは高い。
ヒナはシャリシャリと口の中で感触を楽しんでいるらしい。
紅茶を飲みながらその様子を見ていると疲れが癒されていくのを感じた。
やっぱりヒナは可愛い。
「これ、おいしいです!」
「気に入って貰えてよかった」
「レイもたべるのですよ!」
「はいはい」
わざとあーんと口を開けたら少し驚きつつも一つ口に入れてくれる。
口の中に入ってきた塊に歯を立てるとシャリっと爽やかなレモン味が口の中に広がった。
やはり高いお菓子は美味しい。だからカロリーは考えないようにしよう。
ヒナは一つ口に入れては違う味に驚いて幸せそうな笑顔になる。
合間に紅茶を飲んで口の中の甘みをリセットさせて、もう一つと食べた。
「ヒナ」
「なん?!」
こちらを向いたヒナの唇を奪う。
角度を変えて何度もキスをした。
薄く開いた唇から舌を口内に入れると応じるようにヒナが舌を絡めてくれる。
拙い動きで私の求めに応じてくれることが嬉しくて舌で口内を蹂躙した。
互いの唾液が混ざり合って口の端から零れ落ちていく。
「はぁっ……レぃ……」
「甘い、ね」
息苦しくなったのか弱く胸を叩かれたので唇を離した。
つぅ、と互いの間を唾液の糸が繋いでぷつりと切れる。
可愛らしい顔が集まった熱で赤く染まって、涙で潤んだ瞳が私を見上げていた。
「あぁ……もう、本当に可愛いなぁ、食べてしまいたいくらい……」
「……です」
唾液に濡れたエロイ唇から囁くような声が漏れる。
「え?」
思わず聞き返すと少し冷静になったのかプイ、と顔を背けてしまった。
「……だから、食べても、いいのですよ!」
それを聞いてぶわっと顔に熱が集まるのを感じる。
あのヒナが、私に食べていいって言った。
私を求めてくれている。
嬉しさの余り両手で頬を包みこちらを向かせて再度フレンチキスをした。
フレンチキスってディープなキスの事だ。
「んん!……ふぁ……」
舌を使って歯列をなぞったり舌を絡めとったりする。
また息が苦しくなってきたのか胸を弱く叩かれて唇を離した。
息も絶え絶えなヒナを抱き上げると優しくベッドへ運ぶと横たえさせる。
自分の服を肌蹴させてその横に行く。
「じゃあ、いただいちゃうね……」
またキスをして舌を絡めあいながら私はヒナの服のボタンを一つずつ外して行く。
ピクンピクンと服が脱げていくたびに外気に触れて反応を示す。
半分だけボタンを残して上半身だけ露出させる。
そこに現れたヒナの控えめな胸を下から持ち上げるように優しく揉んだ。
「ん、はぁ……ぁんん!」
ちゅぱ、じゅるると音をさせて唾液を吸い取った。
「じゅる……はぁ、ヒナ……」
空いているほうの胸の頂きを舌でクリクリといじるとビクンと体を跳ねさせる。
「はぁ、あん、あっ……はぅ、んぁ!やぁん……!」
優しく舐めたりピンと弾いたりするたび体が跳ねた。
赤く上気し、涙で潤んだ顔で私を見降ろす視線にゾクゾクする。
唾液を塗りたくる様にして固くなってきた乳首を舐め上げてぢゅう、と吸い付いた。
「んん?!んやぁ!それ、やぁ……!!」
嫌だと言いながらもビクビクと体は反応しているし、小さな手は離れることを拒むように私の頭に添えられている。
可愛らしいその動作に体の熱が高まるのを感じた。
「あ、あ、やぁん!い、ちゃ……イっちゃうぅ!」
反応が強くなった所で胸をいじる行為を止める。
「ふぁ……な、んでぇ……?」
あと少しでイけそうだったのに寸止めされて涙目で私のほうを見た。
悪戯心が芽生えた私は乳首を吸っては止めるのを繰り返す。
「あぁ!んん!や、ぁ……イ、けないぃ!」
何度も寸止めをすると強請る様に頭を抱えられた。
「はぁ……まだ胸しかいじってないよ?」
そう言って私はヒナのスカートの中に手を入れる。
ショーツに触れるとそこがすでに濡れているのが分かった。
どうやら随分と感じてくれたらしい。
私との行為に慣れてくれていることが分かり嬉しくなる。
ショーツを剥ぎ取り直接そこに触れるとヒナが体をビクリと震わせた。
濡れた秘裂を指で上下するだけでくちゅくちゅと水音がする。
「こんなに濡れちゃって……胸だけでそんなに感じちゃったんだ?」
「だ、だって……そんな、いわ、ないでぇ……」
恥ずかしそうに自分の顔を手で隠した。
そんな仕草すら可愛らしいと思ってしまう自分はもう末期だなと感じる。
私はヒナの手を掴んで無理矢理頭上に上げさせた。
すると涙目で耳の先まで顔を真っ赤にした表情でヒナはこちらを見る。
その表情にゾクリと自分の中の何かが反応するのが分かった。
今更だけど前世も今世も女として生まれてから今まで百合趣味だったことはない。
なのに今はヒナにだけこうして反応してしまう自分がいる。
可愛い。
もっと色んな表情を見せて欲しい、乱れて欲しいと。
ぐじゅりと熱い膣の中に指を一気に二本入れるとビクンと大きく背を逸らせてヒナが達したのが分かった。
「あ、ああああああ、ひぃん!」
「ほら、まだ指を入れただけだよ?」
そう言って私は指を三本に増やしてバラバラに動かした。
たびたびヒナのイイ所に掠ると大きく身体を揺らして反応する。
「ふぁあ、あ、っ、まだ、イッた、ばかりっ!んぁあ!!」
「ほら、もっとイっていいんだよ?」
ヒナは快感を逃がそうとしているのか頭を左右に振った。
それを遮る様に噛み付くようなキスをする。
「んんん!!」
「ふぁ……ん……」
深く舌を絡めあうとゾクゾクとした快感が体を巡った。
ヒナの嬌声を飲み込んで、指の動きを激しくする。
するとヒナの頬を涙が伝う。
ビクビクと何度も絶頂を迎えているのが分かる。
それでも私は指を動かすのをやめなかった。
私の中の熱が行為をやめるのを拒絶しているからだ。
それは何回目かわからない絶頂を迎えたヒナが強制的に意識を飛ばすまで続いたのだった。
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