三章3話 魔女の仕事



朝、最初にしたのは土下座でした。


いくら薬の効果でも中出しはやりすぎだ。


これでもし妊娠なんてしてしまったらと思うと申し訳なさで泣きそうになる。


今朝も彼女の指示でシリルハーブの実を収穫して薬を精製した。


やってしまったことに関しても、中出ししたことに関しても何も言われないのが逆に怖い。


「あ、あの……」


「昨日はまた研究に巻き込んでごめんなさいですの」


「え?」


「あんな、恥ずかしい事までさせてしまって……」


昨日の出来事を思い出したのかすこし顔が赤くなる。


「ちょちょちょ、ちょっと待って!昨日のは私がしたくてしたわけで!ヒナは被害者だ!」


「そんなことありません!全部私の薬のせいですの!じゃなきゃあんなこと……」


できるわけない、とヒナは言って俯いた。


私は彼女の両手を握る。


「できるよ。だってヒナ超可愛いし、正直気持ちよかったから加減もできなかったし!もし子供ができちゃったらごめんね!!」


「か、かわっ?!子供?!」


私の言葉に驚いてヒナは跳び上がった。


両手を捕まえているので距離を離すことはできない。


「に、人間のくせに何を言っているの?!私は魔女、ハーフエルフなのよ!」


泣きそうな表情でそう告げた。


ハーフエルフ、その名の通りエルフと人間のハーフである。


よく両方の種族から弾かれている描写があるけれど、この世界のハーフエルフもそうなんだろうか?


というか長耳族エルフではなかったんだな。


「もし子供ができたらクォーターだね?」


「女の子同士でできるわけないでしょ!!」


にっこり笑って言ったら蹴りつきで怒られた。


蹴りで距離を離した彼女は何かを恐れるように俯いている。


その姿に悪戯心が疼いた。


「じゃあ、昨日の薬を使ったら?」


「?!」


「ねぇ、あの薬……作ってよ」


じりじりと距離を詰めて耳元で言う。


するとビクリと体を揺らす。


「でででででも、私はハーフで……忌まれる存在で……なんでそんながっついてくるんですかぁ!!」


ぽろぽろと泣きながら言い放つ。


その涙を指で拭ってあげながら


「君が可愛いからだよ」


と言ってあげる。


「可愛くなんてないぃいい惚れ薬の効果まだ残ってるんですかぁあああ?!」


首を何度も横に振る姿がすでに可愛らしい。


「私にとっては可愛いんだ。ハーフエルフとか関係ないよ」


そう言ってぎゅっと抱きしめて泣き止むよう何度も何度も頭を撫でてあげた。




もちろん薬については却下されるのだった。






◆◆◆






泣き晴らした状態だけどお昼ご飯はしっかり食べた彼女はまた研究書とにらめっこを始めてしまった。


どうやら長く複雑な工程の何かを作っている。


私は邪魔にならないように部屋の掃除をし始めた。


埃がたまっている場所がまだまだ一杯あるのだ。


家政婦雇用二日目でもあるししっかりやらないとね!


調合をしながら彼女は何をしているのか話しかけてくる。




「魔除けの森の魔女には、必ずしないといけないことがあ、あります……」




そう言って彼女は魔女であることの意味を教えてくれた。


初めはこの森も魔除けの効果なんてなくて魔物蔓延る禍々しい土地だったらしい。


ある時、ここを訪れた女性が聖なる属性魔法を使用して土地を浄化する。


それから、聖属性魔法の残滓が残っているのが嫌なのか魔物が近寄らなくなった。


女性は定期的に聖属性魔法を使って森全体を浄化する。


そしていつの間にかその森は魔除けの森と呼ばれるようになった。


しかしいつまでも人間である女性が魔法を使い続けるわけにもいかず、老婆となった女性に偶然拾われたヒナが跡を継いで魔除けの魔法を施し続けている。


国王や領主はこの事実を知っているはずで、彼女のように何らかの役割を持った魔女は世界に何人もいるらしい。




「私はあまり聖属性が得意じゃない……だから薬で魔力を補っているんですの」




つまり最近作っている薬は魔除けのための薬ということだ。


惚れ薬とかふたなり化とかすごい薬が途中で作成されてるけど何を使ったらこうなるんだろう。


しかしこの事実を領主が知れば貴族の馬鹿の行動を諫めることができるんじゃないだろうかと思いついた。


次に街に降りた時にギルド長に相談してみよう。


そんなこんなで話をしながら時間を過ごしていたら気が付いたらお昼ご飯の時間になっていた。


慌ててキッチンに行って複数種類のサンドイッチボックスを作る。


パンの間に色んな具材が挟んであるので退屈はしないだろう。




「ヒナ、簡単にサンドイッチを作ったよ。一緒に食べよう」


「わ、わかったですの」




そうヒナは言って、ぴょんと座っていた椅子から飛び降りてテーブルのほうのソファに座った。


「飲み物は何がいいかな?」


「レモラスのジュースがいい」


「了解」


レモラスとは甘い柑橘系の果物でオレンジジュースと似ているがすっきり感が強い飲み物だ。


私もどっちかっていうとレモラスのほうが好きだ。


炭酸が入っていたらもっと好きなのだがこの世界に炭酸ジュースは普及していない。残念。


レモラスの入った容器をテーブルに置いて準備は完了した。


「はい、召し上がれ」


「いいいいただきます!」


サンドイッチが色んな種類があって迷っている。


暫く悩んだ末にまずは野菜系にすることにしたのか野菜サンドを手に取った。


はむ、と効果音が聞こえそうな食べ方をする。


なんだこの可愛い生物。


「おいしいですぅ」


もうそれはそれは美味しそうに食べてくれると私も嬉しく思った。


「それはよかった」


そう言って私もサンドイッチを食べ始める。


フッ、今日のはヒナへの愛を込めたからかいつもより美味しく感じた。


「今日はこの後、街に用事ができたから出かけてくるけど何か必要なものはあるか?」


「そう……じゃあもしあるようであれば虹色鉱石を欠片でもいいから買ってきてくれますか?」


「了解だよ」






◆◆◆






森から街に戻るとやはり先に足を運んだのは冒険者ギルドだった。


言伝をしてもらい、ギルド長室へ通してもらう。


「どうした、昨日の件ならもう奴の親父のほうへ話を通しておいたぞ?」


「今日は魔除けの森に関して話があってきたんだ」


「ほぅ?で、どんな話だ」




私はヒナに聞いた魔除けの森と言われる理由をギルド長に話して聞かせる。


そのうえで今回の依頼に関して領主に話を通して欲しい旨も伝えた。


ギルド長はその話を聞いてお願いも快諾してくれる。


これでヒナにちょっかいをかけられることはないはずだ。




冒険者ギルドを後にした私は買い物を少しして魔法道具屋に寄った。


色んな素材らしいものが置いてあるが私にはどれが何かは全然わからない。


仕方ないので店員に聞くことにする。


「すみません、虹色鉱石かそれのカケラとかってないですか?」


「虹色鉱石ぃ?なんちゅー珍しいモノを欲しがるんだ」


店員らしいドワーフのオジサンが言った。


どうやら私みたいな人間が欲しがるようなものじゃないらしい。


「いえ、僕ではなく師匠が必要としてまして……」


「なるほど、お使いか」


思わず師匠の使いってことにしたけど、この年でお使いって言われるとなんとなく恥ずかしくなる。


「悪いが鉱石自体が珍しいもんでな、置いてねぇんだ……カケラって言ったってこんな粗悪品しか残ってねぇ」


そう言ってカウンターの上にジャラリと並べられた鉱石は確かに虹色の虹彩を持っていたが小さすぎたり、色が悪かったりととてもなにかに使えそうなものには見えなかった。


だがヒナはカケラでもいいと言っていたのでおそらくこれでも大丈夫だ。


「いえ、この欠片でいいので売ってください。いくらですか?」


「マジか、何に使うんだこんなもん……それに売りもんじゃねぇからなぁ」


「どうしてもダメですか?」


「ダメってわけじゃねぇよ。よし、タダでいいから持って行きな」


そう言ってドワーフのオジサンはカケラを袋に詰めて渡してくれる。


「えぇ?!いいんですか?」


「どうせ廃材だ。持って行け」


「ありがとうございます!」


ありがたく袋を受け取った。


「また何か必要になったら来てくれればいいさ」


そう言ってドワーフのオジサンはカウンターの奥に戻ってしまった。


一礼してから私は店をでる。






◆◆◆






「ただいま戻りましたよ」


「ひゃ、ひゃい?!」


がしゃんと何かを落とした音がした。


「だ、大丈夫か?!」


慌てて工房の中へ入ると何かの液体を被ったヒナがいる。


「ごめん、驚かせちゃったね」


「だ、大丈夫なのです……」


頭の上に残っている細かいガラスを払って、他に危なそうな欠片が無いか確認した。


大丈夫そうだ。


「とにかく、片付けは私がやっておくからシャワー浴びておいで」


「は、はいぃ……」


ヒナがシャワーに向かったのを見送ってから私は掃除用具を取り出して割れた器具を片付け始める。


今度もコーヒー色の液体がぶちまけられているが何を作っていたんだろう。


「ひにゃあああ?!」


「今度はなに?!」


突然ヒナが悲鳴を上げたので驚いてシャワー室の方へ向かう。


がちゃりとドアを開ければ泣き顔のヒナがシャワー室でうずくまっていた。


その反応で理解する。


どうやらあのコーヒー色の薬は私が被ったのと同じく男性器が生える薬だったようだ。


可愛らしいヒナに男性器……正直萌える。


変な思考をしているとヒナが慌てて自分の体をタオルで覆ってしまったのでそのまま抱きあげてベッドへ連行した。


優しくベッドへ下ろしてあげる。


「れ、レイ……?」


ヒナが初めて名前を呼んでくれたことを喜ぶよりもヒナの男性器の大きさに驚いた。


「大丈夫。抜けば収まるから」


そう言って私はヒナの男性器に舌を這わせる。


ビクンと体を震わせる様子のヒナに気をよくしてパクリと先端を口に含む。


舌を使いながら喉の奥まで咥えこんだ。


じゅぽじゅぽと唾液の音をさせて上下する。


「あ、ひ、ひぁあん!」


ヒナは気持ちいいのかビクビクと体を震わせて手がシーツを掴んでいた。


足を閉じられないように間に体を入れてさらに口の動きを早くする。


「あ、だめ、それだめですぅうう」


我慢できなかったのかビュルルと口の中にヒナの何かが放たれた。


吐くつもりもないのでそれを飲み込んだ。


「にゃ、なに、し、のん?!」


ヒナはおそらく精液である液体を飲み込んだことに驚いている。


「このまま終わらせるつもりはないよ?」


そう言って私はヒナの上にまたがった。


慣らしていないけれど大丈夫だろうとヒナの男性器の先を膣口へと当てた。


「ひゃ?!れれれれレイ?!」


ゆっくりと腰を下ろして行けば大きな質量が入ってくる圧迫感と痛みに涙が出てくる。


「ん、く……」


「あぁ、いっ、レイの中、せま、い……」


「いわ、ないでくれよっ……!」


前戯無しなんだからしょうがない。


「ごめ……なさい、でも温かくて、気持ちいいです」


ヒナはまだ全部入ってもいないのにゆるゆると上下させてくる。


「や、めっ、あっ、あぁ!」


じゅぷんと音を立てて最奥を叩かれた。


「あぁん、くぅ……レ、イ……」


「まって、まだ、いたっ……」


初めてがこんなに痛いなんて、私はヒナに対して酷いことをしたと反省する。


しかしヒナは私の待ったを聞かず腰を動かし始めた。


ぐちゅぐちゅと水音がし始める。


「あ、ああん!」


最奥を叩かれるたびに快感が体を走って嬌声を上げてしまう。


止まらない律動に視界もチカチカと白くなり始めた。


「やめ、イ、く、いっちゃう!」


「ダメです。とま、らないですぅうう!」


「あ、あっ、あ、ああああああん!」


「く、う、あぁっ!!」


二人同時にイってしまった。


私はヒナの上に馬乗りになったままはぁはぁと息を整える。


「レ、レイ……?」


声を掛けてくるヒナの男性器はいまだ大きさと熱を保ったままだ。


私の時のように何度も射精させる必要なんだろう。


痛みもなくなったので私自身で腰を振る。


「あ、あん?!レイ、さん?!」


「んあ、ん……一回二回じゃ収まらないでしょ?」


「そん、なぁ、あっ」


ヒナの嬌声が可愛過ぎて何度も腰を振ってしまう。


「ねぇ……もっと私の中に出して……?」


「で、でも!赤ちゃんができちゃったら……あぁん!」


「も、うすでに、一回中出し、してるんだから、いいじゃない」


「でもでもぉ」


「でもじゃ、ないよ!」


ぐちゅん!と音が鳴るほど強く奥でヒナを受け入れる。


同時に受ける快感が強く私自身も何度かイってしまった。




何度目かの射精で薬の効果が切れる。


それを確認した私とヒナはお互い会話する元気も無い中一緒にシャワーを浴びて倒れるようにベッドで寝たのだった。




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