一章第3話 他人の領地を改革しようと思います!


昨日は結局気を飛ばしてしまった俺です。


起きると身ぎれいにされていて、侍女さんが待っていた。


ユウリには『花嫁』相手以外にもやらないことがちゃんとあるのだという。


まだ幼く見えて第一王女なのでそれ相応の仕事を任されているらしい。


用意されていた服に着替えて彼女の執務室に向かう。




「おい、あれ……人間じゃん」


「あぁ知ってる。姫様の『花嫁』だろ?」




ちらほらと魔族が噂をしているのが聞こえた。


俺はユウリの評判に関わるだろうからそいつらの言葉を無視して胸を張って歩く。


こう見えて領主の次女だからその程度の礼節は習っている。


暫くすると一つの部屋の前で立ち止まった。


コンコンと控えめなノック音。


「姫様、『花嫁』様を案内してまいりました」


「通して!」


バン!と音を立ててドアが開けられた。


そこにいたのは今日も可愛らしいユウリで、私の顔を見てパァっと顔を輝かせる。


「お姉さまぁ!」


ぎゅっと腰に抱き付いて来たのでそれを受け止めた。


「おはようございます!ご飯は食べられましたか?」


「んーん、まだだよ」


「じゃあ一緒に食べましょう!!」


そう言って私を案内してきた侍女に朝ごはんを二人分持ってくるように指示する。


こういったところがもう上に立つ者の自覚があるんだなぁと思った。


こじんまりとした執務室の机の上にはユウリくらいであれば処理できるであろう量の書類が積まれている。


ソファに座るとその隣にユウリが座った。


腕に抱き付くようにしている。


「ちょ、くっつきすぎじゃない?」


「『花嫁』だからいいんです~」


うふふーとほっぺを腕に擦り付けていた。


「もう……あと『花嫁』じゃなくてちゃんとジンジャーって呼んで?」


「うん。ジンジャーお姉さま!」


あぁもう可愛過ぎる。


「ユウリ、ユウリは私のこと好きなの?」


「大好きですよ~」


私の素朴な疑問にも答えてくれる。


「い、いつから?」


「あのお花畑で出会った時からです。ビビッときました!あぁ私の『花嫁』さんだって!」


「ええええ号泣してたじゃん」


しかも三十分近く泣かれた思い出しかない。


「お布団も温かかったですしーご飯も美味しかったのです~」


ご飯を運んできた侍女さんが配膳を終えて壁際待機にうつったのでこの話題はここまでだ。


あまり聞きすぎても不審に思われるかもしれない。


「いただきまーす」


「いただきます」


魔族も人間と食べるものにたいして違いはなかったので暮らして行く分には大丈夫そうだ。


問題は俺が『花嫁』の役割だけで置いてもらっていることだ。


ただのヒモに成り下がるわけにはいかない。


「ユウリ、私にも昼間の仕事をさせてほしいの」


「?なんでですか」


「ただ『花嫁』としてそこにいるだけなのは違うと思う。できればユウリと一緒に支え合って行きたいんだ」


「ジンジャーお姉さま……!そこまで私の事を考えてくれて……!」


ご飯を食べ終わるとユウリは仕事の内容を見せてくれた。


比較的山の中にあるこの街は地熱を使って発電や作業をしている。


その地熱発電施設に何かが住み着いてしまったのでどうにかしてほしいとの陳情だった。


これはヴェインって奴に行かせようそうしよう。


「地熱で発電って……もしかし温泉とかもあったりするの?」


「おんせん?ってなんです?」


「地熱で温められた熱い水のこと」


「あ!あります!熱すぎて何にも使えないので水車を回すくらいしかできてませんが……」


「あるの?!」


しかもその効果に気付いていない、だと……


俺は温泉にまつわる効能と温度の下げ方などを紙に書きながら説明をする。


するとようやくユウリにもとても優秀なものだとわかってきたのか真剣に話し合いをすることになった。


「でもその温泉が出ているのがここと、ここ、あとここの三か所なんです」


地図を広げてその三か所にピンをさす。


「じゃあそこからこう配管を伸ばして、こう経由すればいきわたるんじゃないかな?」


うまくいけばこの街を魔族の街じゃなく温泉街に変化させられるかもしれない。


その期待に胸が膨らむ(比喩)。


「ジンジャーお姉さますごいです!よくこんな方法を思いつきましたね!」


「それはほら、思い付きだから。形にしてくれたのはユウリだよ」


唯一の不安点は温泉によって匂いが違うことだがそれはまぁ慣れてもらおう。


具体的な案を文書に纏めて魔王さんに提出する。


予算関係の問題もあるのであとは全部丸投げだ。






◆◆◆






そんなこんなで一日を過ごし(ヴェインには泣かれ)た私達は共同浴場へ来ていた。


さすがに王族、ユウリのふわっふわの髪は侍女さんたちが一生懸命ケアしている。


俺に関してはやっぱり心の準備ができていないので見えない位置で体を洗わせてもらった。


1人ちゃぽんと湯船に浸かっていると背後から衝撃来る。


「お姉さま~」


ユウリの柔らかい体が背中に押し当てられた。


まだ発達しきっていないその柔らかさに驚いて後ろを向けば全裸のユウリがいて、受け止めきれずに湯船に落ちる。


ばしゃんと音がして耳がごぼごぼと音を拾う。


慌てて起き上がればユウリの髪に浴槽に浮かべられていた花がいっぱいついていた。


あぁ、侍女さんの仕事が増える。


そう思えば侍女の姿が見えないことに気がついた。


ユウリの目が翡翠色ではなく金色の光を帯びていることにも。


「え、まさか、ここで……?!お風呂だよ?!」


「んふふ……ジンジャーお姉さま♡」


湯船から逃げようと四つん這いになったところで金縛りにあう。


やっぱり金縛りはこいつの仕業かー!!


背後からするりと抱き付いてくる。


ふわふわの髪が私を覆いつくして隠してくれるけれど恥ずかしいものは恥ずかしい。


「ジンジャーお姉さまぁ……いい香り……」


ぺろりと首筋を舐められる。


「ひゃ、ん……!」


「おいし……じゃあこっちも」


そう言ってユウリの手が下へと伸びていく。


今は昨日のようにショーツもなにも防具がない。


あれ以上の衝撃が来る。


そう思うと体が強張った。


すりすりと指が秘裂を上下する。


「ぁ……ん、あぁ……!」


「はぁ……おいしそ……」


「え?」


ぺちゃりぴちゃりとユウリの小さな舌が秘裂を舐めた。


途端に訪れた衝撃波昨日の比じゃなかった。


まるで体が自分のものじゃないように跳ねる。


「あぁ!ん、ふぅ……ひぃぁあ!」


どこでそんな技術を覚えてくるのかわからないけれどユウリの指が陰核を擦った。


二か所同時に責められて頭がおかしくなりそうだ。


「あは、おいしぃよぉ……ここ、こんなに甘い蜜がとろりとしてる……」


じゅるる、ぴちゃ、と音がして腰がくだけそうになる。


ユウリに翻弄されて俺が俺じゃなくなってしまいそうだ。


「やぁあ、そんなとこ……なめちゃ、だめぇ!!」


「だーめ♡」


さらりと体に触れるユウリの髪の感触ですら気持ちよく感じ初めてしまって困惑する。


逃がさないとユウリの舌はさらに激しく俺の中を犯す。


じゅるりちゅぱちゅぱ


時折吸われて体に走る快感が酷くなってきたときだった。


ガクリと腕の力が抜けて枠に縋りつくような、おしりを突き出すような体勢になってしまう。


「あぁあん、やめぇ……!らめぇ、だよぉ……!」


体を捻ってようやくユウリの顔が見えた。


ユウリは私の体液に塗れながら何度も何度も愛撫を繰り返している。


その姿にドキリと胸が高鳴った。


「あ、だめ、それ以上はぁ……!いく、いっ、ちゃああ」


「いいよぉ、イっちゃって!」


「んああああああ!!」




視界が真っ白になると同時にくたりと体が湯船に沈む。


はぁはぁと息を荒くしているとユウリの手が私の体を撫でる。


「ん、も、だめぇ……」


「んふふ……大好きよ、ジンジャーお姉さま」


するりと唇に細い指が触れた。




その言葉を聞いて私は意識を失ったのだった。




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