第二話ブライトとの出会い
スペード国ナンバリング部隊『10』をまとめる
クーパー少将。
この国に存在するナンバリング10人の中の1人。
それは打ちのめされて、街を目的なく徘徊する
ロイド。町までの交通費で残金は底がついた。
(あぁ、どうしよう...腹減ったなあ。)
(あの面接官め。復讐のためにカレーでも食べたいんだが)
途方に暮れていたロイドの背後から
「ねえ。君、さっき軍の面接に来てた子?」
振り返ると、金髪のハンサムボーイがたっていた。
「俺も、君の後に面接受けたんだ」
「どうだった?俺はバッチリ面接官の心は掴めたと思う。多分・・合格だわ、へへ」
(聞いてもないのに、ペラペラと)
「あっ、わりい。自己紹介遅れたね。
俺の名前はブライト」
「どう、ご飯でも。『喋れない』君がなんで
軍人を目指してるのか聞きたいなー」
興味本位か?ムカつくけど、まあ飯は食べたい。サッとノートを取り出すロイド。
(奢ってくれるなら)
「勿論さ」
◇◇◇
街はずれのPUB
「ロイド。お前の無知は死ぬと一緒だぞ」
(何こいつ。初対面で失礼なやつだな)
ここのカレーは中々。肉少なめだが、
大きなジャガイモが入っている。
柔らかさも丁度よく、スプーンを入れると
すっと崩れる。最高。
「この国はいいぞ。自由だ。夢がある、
隣国と違って」
「一般市民からナンバリング部隊にも入隊することができるんだ。国王にだって成り上がれる『可能性』もある」
Kキング、この国の王様。その言葉に反応して、左腕を押さえるロイド。
(僕の腕にはJジョーカーの印。Kキングを刺せる)
「俺はクーパー軍に入り、いずれは『10』のナンバリングを腕に刻みたいんだ。そして成り上がって家族を養ってあげたい。それが夢だ」
(案外熱い男だな、こいつ)
ブライトとの話は以外に楽しかった。
「俺達は自由だ!!!」
うるさいのが傷だが。
親から何も『教えてもらえなかった』この世界についてブライトは教えてくれた。
・国の支配者は腕に印が刻まれたナンバリングメンバーによって統治されてる
・そのメンバーは1~10の印を持ったメンバー・能力は1に近づくほど強い
・1はAとも言われ、軍を目指すものは憧れの存在である
・そのナンバリングメンバーを束ねるのはスペード国の最高権力者Kキング
「『Jジョーカーの印』でも持たない限り、このスペード国ではどこまでも成り上がれるんだ」
僕の腕が痛む。
(Jジョーカーって何者?)
メモに書いて聞いてみる。
「お前ほんとに何もしらないんだな。世界には1人だか、2人だかジョーカーの印が刻まれた奴がいる。こいつは、とんでもなく悪い奴だから、いつの世も排除される存在なんだぜ。そんなもの常識、学校でも習ってるだろ?」
学校にすら行ってない僕は知る由はないんだが。
(具体的にジョーカーは何をしたの?)
「・・・そりゃお前。なんかとんでもない悪い魔法かでも持ってんだろう・・・・・・・・知らんけど」
なんじゃそりゃ。そんな曖昧な理由でずっと命を狙われてるんだよ、僕は。
この国が憎い。母親もそんな迷信を信じた結果、僕を軍に引き渡そうとした。
あの時逃げて無ければ僕は殺されていたことだろう。
この世界が憎い家族を捨てた父親が憎い僕を捨てた母親憎い
あの場所で、あの老人に会ってなければ僕は殺されていた。抗ってこの国の王と会い、
腕の『Jジョーカー』の印、忌み嫌われている存在、そのもののルールを変えてやる。
それが僕の生きる唯一の目標となった。
(僕を捨てた父親を捜したい)
これが僕が入隊したい表向きの理由にしている。
半分本音で半分嘘だ。妹が生まれてすぐ父親は家を捨てた。
スペード軍に従事している。それだけが母親から教えてもらえたことだ。
「・・父親。。・・・・あーぞっが。ロイド。おばえ、そこまでして軍に入りたいんだな。」グス
号泣を繰り出すブライト。
わかりやすい男だな。。
ブライトとは夜までPUBで過ごし、別れた。それがブライトとの出会いだった。
スペード国のジョーカー 多摩川一人 @tamagawa2020
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