第2譚 裏切りへのプロローグ

俺は、この世界に召喚された。あの後、俺はイグジス王国国王アヴァゼルと言葉を交わした。「そなたが召喚された勇者だな、名はなんというのだ。」淡々と話を進める国王に苛立ちを感じながらも俺は詳しい説明を求めた。「俺の名前は、佐々木 凍夜だ、俺は自分を勇者だとは思わない、それに戦う義理も理由もない。」言い放つ俺に怪訝そうな顔をしながら国王が肘をついて話し始める。「そなたが腹を立てる気持ちも分かる。だが、異世界の勇者に頼らなければいけないこの状況も分かって欲しいのだ。村人は蹂躙され、食糧不足で暴動は起きる。犯罪も増える一方なのだ。金のない女は犯され、男は奴隷になる。そんな様子を見るのはもう耐えられないのだ。人々が希望を失っている中で、彼らに光をともせるのはおぬしだけなのだ。」俺はこの王が言っていることに妙に納得してしまった。もう少し相手の言い分も聞くべきだった。「事情は分かった。だが、俺にそんな力があるとは思えない。それに俺にはこの世界の状況がよくわかっていない。」国王は俺に力強く言った。「間違えなくそなたは魔王と渡り合える力を所持しておる。それにこの世界に関しては、この王宮の書庫で学ぶがよい。時間はあまりないが、そなたが十分に用意するほどの時間はあるだろう。」俺は受け入れたくないのと、帰りたいの葛藤の中で「魔王を倒せば、帰る手段が見つかる可能性があるんだな?」返事は分かっていた、だが再確認せざるを得なかった。「可能性はある。だが、絶対にとは言い切れない。申し訳ない。」その時は自分の気持ちを押し殺すしかなかった。やりきれない気持ちを殺し、俺は自分が勇者であることを受け入れた。 それから時は流れ、天成期2015年、俺は魔王を倒した。たくさんの出会いと別れを繰り返して、遂に俺は成し遂げた。だが俺が元の世界に帰れることはなかった...

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