第7話 カオリはお年頃?
「それじゃぁ本日からよろしくお願いします。」
代表代行のカオリ嬢の挨拶の後、それぞれの持ち場である馬車に乗り込む。
荷物は特殊な魔法が掛けられており開けたり盗む事は出来ないようになっているとのことで安心して任せられるそうだ。
「便利な魔法もあったもんだね。」
真希の呟きに、商会の一人モブ男が答えた。
「信頼はしてますが万が一という問題もありますし、盗賊や山賊なんかに強奪されそうになった時……最終手段として爆発もします。」
「そりゃそうだ、冒険者や商人は安全第一、信用第一で第一ばっかりだからなぁ。場合によっては盗賊より雇った護衛が敵という事もあるし。」
夏希の言葉に別の商会のモブ男が答える。
「一応我々もそこそこの武は心得てますが、本職の方には及びませんし、そこはやはり護衛の方頼みなんですよ。」
爆発もと言ったり本職と言ったり現在はっきりしない点はあるものの、商人の移動というものはこういうものである。
隊列は、紅蓮の3人が商品の馬車1と一緒に先頭に、スワップの4人と商品の馬車2が2列目に、商人の馬車が3番目で4番目に貧乳乙女隊と商品3の馬車が連なる。
正確には自らの馬車を用意した姫親衛隊のメルヘンチックな馬車が最後尾に着いている。
そして何故か代表代行のカオリは貧乳乙女隊の馬車に乗り込んでいた。
「なぜあなたが?」
「そりゃ私が貴女達に興味があったからよ。私が商いで街についた時には貴女達の噂は出回った後だったし。」
なるほど、噂の内容の真意やらを聞きたいというのか。
それぞれのパーティに斥候の出来る者がいるため、表面上は周囲への警戒は問題ない。
何もなければ世間話でもしながら進むのは間違いではないかもしれない。
順調に進めば3日で到着するのだ。
長椅子の隣同士に真希と夏希、テーブルを挟んで真希の正面にカオリが座っている。
「何を聞きたいんだ?答えられるモノと答えられないモノがあるぞ。」
夏希のいう事はごもっともだ。商人は信用第一というように、守秘義務やらも存在する。
まっとうな商人であれば、商売に繋がる情報以外は本人の胸にしまっておくものだ。
「そうね、貴女達が恐れられている理由の真意と、貴女達の関係と、目指すところかしらね。」
カオリからの質問を聞いてどうするか考える真希と夏希。
「まず、恐れているのは私達じゃないから想像でしか言えないけど?そんなんでいいの?」
「いいよ。そういえば結構砕いた感じで喋っちゃってるけど、このままで良いよ。多分歳そんな変わらないだろうし。」
今更であるが、クライアントが良いというのであれば特に変える必要もないだろうと判断した。
「3ヶ月くらい前にあの街にやってきた。女性二人組だから地元冒険者に舐められたのか、カモだと思われたのかちょっかいを掛けてくる男性冒険者がわんさか寄ってきた。」
「それを撃退したら、姐御扱いされるようになりみんなが一歩引くようになった。それだけだよ。」
「そこを詳しく知りたいんだけど。」
身を乗り出してテーブル越に前のめりとなり、真希の顔の前に自分の顔を持っていくカオリ。
「回想するの?」
少々めんどくさそうな表情をする真希に対して、カオリは目を輝かして初めてのおもちゃを前にした少年のようだった。
「回想お願いします。何なら別途お金払う、情報料として。」
流石商人、情報のためならお金に糸目は付けないご様子だった。
「じゃぁ、3分銀貨5枚で。」
「払うっ」
コインの詰まった袋がドンと二人の間にあるテーブルを叩いた。
真希は荷物から3分用の砂時計を出してテーブルに置き、砂が落ち始めると語り始めた。
「あれはぁ、
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