42.デート当日なのだが
人生初のデートである。
ドキドキしていないと言ったら、嘘である。
平常な顔をしているけれど、ドキドキしているのである。
昨日の夜ご飯も普通に喉を通ったけれど、ドキドキしているのである。
昨日の夜もいつも通り8時間寝れたけれど、それでも、ドキドキしているのである。
……
………
…………
そんなこんなで気付いたら、土曜日になっていた。
幸いにも今日の剣道部は一日練らしいから、玲亜が邪魔をする可能性は限りなく低い。
九条さんが今週を選んだのは偶然だと思うけど、不思議な事もあるモンだね。
今日はせっかくのデートだから、服にもそれなりに気合いを入れている。
色々と候補は浮かんできたけど、悩んだ末、無地を組み合わせてオトナっぽい落ち着いた服装にしてみた。鏡で見たら、それっぽくなっていたし、まあ、大丈夫かな。
今までは服装は割とその場のノリで選んできたから、真剣に考えるのは大変だった。
やっぱり、九条さんには釣り合わないにしろ、できる限り自分を上げておかないといけない。
じゃないと「あの娘、平凡な男子と付き合ってるー」ってなる。きっとなる。
そんな事が起こってしまったら、もうその後はデートを楽しめなくなってしまうだろう。九条もかわいそうだ。
あれ? ……楽しむ?
……まさか僕はこのデートを楽しみたいのか?
そう自問した時、記憶が流れてきた。
––––––何とは言えないまでも、彼女に対して何か感じるモノがあった––––––
僕がいつぞやおばさんに対して言ったセリフだ。
感じるモノ、ねぇ。僕は何を感じたんだろうか。
おばさんの返しが頭の中に浮かぶ。
––––––つまりは貴方、自分のその娘への想いを認められないんでしょ––––––
もしかして僕は九条さんの事が好きになってしまったのか?
絶対にありえない。
そう即答するのは、今の僕にはできなかった。
今日のデートで何か掴めたらいいな。
僕はふとそんな事を思った。
ちなみにデート場所は高校から二駅ぐらい離れたところにあるショッピングモール。
ショッピングモールでのデートってなると、頭に浮かぶのは、映画かショッピングぐらいだ。
ゲーセンも候補には浮かんだけど、九条さんはゲーセンっぽくない顔しているから、流した。
現在、ホールって言うのかな、一番大きな入り口を入って少し進んだところにある広い空間のベンチの一つに座って文庫本を読みながら、九条さんを待っております。
この本、まだ全然読めてないけど、なかなか面白いな。せっかくモールに来たんだし、ついでに本屋に寄って続きでも買おうかな。
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