16.休日がどうしても暇なのだが
その週の土曜日、家の中でボーとしていた。ちなみに玲亜は部活である。
いつもはこういう時はランニングをしているのだが、今日はなんか気分じゃない。珍しくハードな一週間だったせいで疲れているんだろう。
という事で、ボーとしているのだが、一つ問題がある。
物凄く暇だ、と言う事だ。
「当然だろ」と言われそうだが。
さっきも言ったが、玲亜は部活。隣に住んでいる唐橋姉妹、楓も茜も部活で家を空けているそうだ。
LONEで聞いてみたところ、梶も政宗さんも部活があるらしい。
他のクラスメイトは誘うほど仲良くないんだよな。まあ、相手から誘われたら行くかもだけど。言うまでもないが、誘われてない。
仕方がないので、俺は10分ぐらい悩んでから、市立図書館に勉強をしに行く事にした。高校の最寄駅に近くにあるそこそこ大きな図書館である。
予約していた小説も届いているみたいだし、一石二鳥。我ながら、天才かもしれない(キリッ)。
俺は知り合いと偶然に遭遇すると凄く気まずい気分になる人間だ。しかし、図書館はウチの高校から近いし、図書館勢はまあまあいると思われる。ので、今日は別人に見えるよう、あえてオシャレをする事にした。
普通の人はサングラスをかけて帽子を被って黒い服を着て……みたいな発想をするだろうけど、アレって逆に目立つんだよね。
ザ・不審者ってイメージがあるけど、本当の不審者自体そんな格好しないらしいし。
ところで。俺は自分で言うのも恥ずかしいのだが、……女子みたいな顔をしているらしい。割とトラウマだったんだけど。
ついでに言うと声も男子の中では高め。いわゆる高音系男子ってヤツだ。ただ、玲亜や楓が言うには女子が男子っぽく出した声らしいのだが。
話がちょっと逸れたな……。
という事で、いつぞやに妹が「お揃いがいいです」と駄々をこねて俺に買わせたユニセックスなモノ(玲亜のモノではなく、俺用のモノだ。俺は妹と違って躊躇なく異性の服を着れるほどの心臓は持っていない)でまとめてみた。
うん、完全に別人だ。これで口調を変えたら完璧だね!
……
………
…………
はい、変わったよ。
僕は片倉弥代。どこにでもいる高校生だ。
というわけで変装(?)も完了したので、僕は図書館に出発しようとした。
だけど、ひょっとしたら玲亜の方が早く帰ってくるかもしれないな、と思ったし、置き手紙を用意しておいた。
『玲亜へ
図書館に行ってくる。たぶんすぐに帰るけど、お昼は冷蔵庫にある米と刺身を食べておいて』
僕は戸を閉め、歩き始めた。
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