13.妹とゲームをするのだが


 俺がおばさんに言われて、居間に行った時、対照的な二人の少女が大乱闘していた。


 俺の妹の玲亜と、楓の妹のあかねだ。

 背後から見える肩の上で切り揃えられた銀髪と、肩甲骨の辺りまで伸ばした赤髪。

 氷のような静かな雰囲気を醸し出す玲亜と、炎のように明るい印象を与える茜。


 正直な事を言うと、ここまで対照的な二人がなぜこうも仲良くできているのか疑問に思ってさえいる。


 どうやら、二人ともテレビの画面に集中しているようで、俺が入ってきた事には気づいていないようだ。


 俺もテレビ画面を見る。なるほど、共同作業で100人出現する敵を片っ端から薙ぎ払うヤツをやっているようだな。


 せっかくなので、俺も観戦しようかな。

 と、思っていたら終わっちゃった。


「「やったね」」


 二人の少女が、片方は満面の笑顔で、片方はわずかに口角を上げて、ハイタッチする。見ていると本当に微笑ましいよね、これ。


「あ、弥代さん! 来てたなら、言ってくださいよ」


 俺に気付いたらしい茜が頬を膨らませながら、言った。玲亜も同じような表情をしていたので、同じ気持ちだったんだろうな。


「いや、お前ら、物凄く集中してただろ……。ところで、楓は?」

「楓さんなら今、ト––––––、お花を摘みに行っているはずです」


 お花摘み……、ああ、トイレか。

 正直、そこは言い直さなくていいと思うのだが。

 レディの扱いってめんどくせーな。


 正直、アイツの事をレディって呼んだ事ないんだけど。


「お兄ちゃん、玲亜と乱闘しヤリましょう?」

「それなら、共闘にしてくれ、頼むから」


 1vs1だと、ボコボコにされるもん、俺が。

 それだと、兄の威厳が完全に崩れ去る。


 まあ、ゲームに関しては今更だけどな。


「それなら、乱闘でレベル9を2体と2vs2にしましょう」


 玲亜がそう言ったので、俺は了承した。


「キャラ、どうしようかな……」


 1分ほど悩み、俺は銀髪で黒いコートを着た魔法使い、玲亜はマスクをつけた怪盗を選んだ。


「課金キャラかよ」

「はい、ジョ◯カーでボコボコにしてやります」


 玲亜の無表情かつ無慈悲な宣言。

 さあ、勝負はどうなるのか


 ……

 ………

 …………


 結論、もう本当に玲亜のキャラが切り札ジョ◯カーだった。


 始めは相手にコツコツダメージを与えたが、俺も玲亜も少しずつ食らっていた。「これはどっちに転ぶかわからない」と誰も思ったであろう。途中までは。


 この人れいあ、暴走した。


 俺が炎系魔法で足止めしている間にもう片方に即死コンハメワザが炸裂する。


 いや、ちょっと待て。お前、いつの間に覚えたんだよ、そんな凶悪なヤツ。


 と思ったけど、よくよく考えれば、俺も2、3連ぐらいの攻撃でボコされたりしてたな……。なるほど、エンジョイ勢では勝てないわけである。


「やっぱり玲亜、強いな」

「えへへ」


 俺が自慢の妹を褒めると、彼女は照れ臭そうに、彼女にしては珍しく感情の籠もった笑みを浮かべた。




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 気にする程の事ではないと思われますが、題名を変えました。

 理由はキャッチコピーにするほどの波乱は起こっていないような気がしたからです。

 とりあえず、次回もよろしくです。



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