10.妹に対する煩悩なのだが
俺は定期で改札を出て、家への途中にあるスーパーに寄った。
スーパー内で知り合いに会う、といった事もなく、普通に買い物をして、エコバッグに食材を詰める。
こうやって、大量の食材を抱えて家に帰ると主婦みたいだな、と思った。(自称)主夫兼高校生の俺は似たようなものか。
まだ誰もいないのだが、ただいま、と呟いて家に入った。
居間に高校の荷物を置き、冷蔵庫に食材を入れる。
冷蔵庫の中がだいたい埋まったのを見て、俺は満足げにうなずいた。
さて、着替えるとするか。
……
………
…………
俺が私服に着替えてすぐに妹の玲亜も帰ってきた。
「お兄ちゃん、ただいまです」と言って、リュックと手提げを床に下ろすなり、俺のもとへ駆け寄り、ハグをしてくる。身長差があるため、俺の胸に顔を埋めているような形だ。
「お帰り、玲亜」
俺は微笑み、玲亜の肩の上の辺りで切り揃えられたサラサラの銀髪を優しく撫でた。
玲亜が蒼い瞳で俺を見上げる。無表情に見える玲亜。しかし、兄妹の絆と言うか、なんと言うか、俺は彼女の感情がなんとなくではなあるが、読めるようになった。
とりあえず、今の彼女はとても機嫌が良いようだ。
「じゃあ、玲亜。今日は茜の家に遊びに行くから、シャワーを浴びて、着替えておいで」
「了解です」
玲亜は中学指定のセーラー服を脱ぎながら、風呂場へ向かった。
ギスギスしていた関係が直ってきた頃に玲亜は突然コレを始めた。初めの頃は見てギョッとしたものだ。慣れ、って怖いなぁ。
俺は微笑んだまま、玲亜を見送った。
……一応言っておくが、妹のカラダに興奮しているとかソウイウわけではないからな?
血が繋がっていようとも、義理であろうとも、家族は家族だ。超えられない一線はあるし、正直超えたくない。
それに––––––
※風呂場から流れる玲亜の鼻歌を聞きながらお待ち下さい。
––––––ってわけだ。俺の言い訳は分かってくれたかな?
「––––––お待たせしました、お兄ちゃん」
お、終わったか。
タオルを身体に巻いた玲亜が風呂場から出てきた。当然ながら、隠れているのは胴体部分だけ。彼女の華奢で滑らかな手足は外からも見える。
それと、水に濡れた髪の毛が玲亜に中学生らしからぬ魅力を与える。
今では慣れたが、引っ越したばかりの頃はドギマギしまくりの毎日だった。ちなみにだが、その頃の玲亜は小学生だった。思春期に入りたてホヤホヤだった俺には
話が逸れるが、幼馴染みと言えば、一緒のお風呂に入るのが定番、だと言うイメージがある。しかし、楓とは入った事はない。
重ねて言う事だが、思春期入りたてホヤホヤだったあの頃の俺には
という事で全力でお断りさせていただいたわけである。残念な事に、俺が引っ越したのは、思春期入りたてホヤホヤな頃だった。
そのせいで色々と苦労していたわけだ。
引っ越し前は別に気にしてなかったんだけどなぁ……。
ちなみに今ではそこ関係のウブさはもう死んだ、と思う。
はあ、完全に黒歴史だわ、これ。頼むから、この話は聞かなかった事にしてほしい。
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