06.このヒト、変なのだが


 ポツポツとクラスメイトが増える。

 そんな中、一人の少女が俺に話しかけた。


「おはよう、小十郎」


 あー、俺をこう呼ぶヤツは一人しかいない。


「政宗さんか」


 本名、伊達 美春だて みはる

 東北の戦国大名の伊達 政宗と同じ苗字だからと尊大な態度を取る変なヒト。俺が見ている限りでは、ずっと片目を閉じている。『独眼竜』を意識しているんだろうな。


 今の時点で察してくれると嬉しいのだが、このヒト、凄まじくイタイ。


 あと、理由は判明しているんだけど、めちゃくちゃ俺にからんでくる。


 ところで、歴史について、特に戦国時代について詳しい人なら知ってるかな、片倉 小十郎って武将。伊達家の軍師をしてた人物なんだけど。


 俺の苗字は紹介した通り、片倉。


 もうお気付きだろう。


 伊達の苗字に凄く強いこだわりを持つこのヒトは片倉、って苗字をしている、というだけの理由で俺を部下にしようとした。まさか、そのために人目につかないところでとは言え、土下座までしていたんだから、凄まじい。


 一度、ネタで『美春』って呼んでみた事があるんだけど、顔を真っ赤にしながら怒ってたなぁ。

 どれだけこだわり強いんだ、と思わず口にしてしまったよ。


「小十郎、主人に対して失礼な事を考えていなかったかしら?」

「そんなわけないだろ、政宗さん」

「そうよ、現在形で青春を始めた弥代は貴女に構っていられなくなったのよ」


 余計な事を言いやがって……、と楓をジト目で睨むと、彼女は誤魔化すように視線を逸らした。


「詳しく聞こうじゃない!」


 食いつくの早っ!


 こいつが魚だったら、どれだけ釣るのが楽なんだろうか。ただ、餌からしたら恐怖でしかない。


 しかし、誰も知らない事だが、俺は政宗さんに対しては有利に出られる。


 ティロリン♪


 政宗さんのスマホが通知音を鳴らした。

 そのありふれた音は彼女の死刑宣告となり得る。

 画面にはたぶん『やしろが写真を送信しました』って感じの文字が出ているんだろうな、と予想する。


 政宗さん、顔が物凄く青い。人はこんな表情もできるのか。


「こ、小十郎が違う、って言うなら、そうなんでしょうね。べ、別に嫉妬とかしてないんだから」


 政宗さんは青かった顔をイチゴのように赤く染めて言った。

 その変化は外から見ていると、なんと言うか、面白い。


 政宗さん、性格は残念だけど、外見は整ってるから、ツンデレも様になるんだよなぁ。


 だけど、嫉妬するぐらい部下を大切にしているつもりなのか。部下側こっちからしたら、このヒト、凄く扱いが乱暴なんだけど。いや、結局命令される事はほとんどないし、乱暴なのは態度か。


 釈然としない気分ながらも、俺は政宗さんに送った写真を消した。




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 こんにちは。先日はポッ◯ーの日でしたね。

 はい、せっかくポッ◯ーの日なんだし、それ関係の幕間を入れようかな、とも思いましたが、生憎、ポッ◯ーゲームをやるにはメンツが足りないため、断念しました。

 あと、自身に経験がなく、書き辛いってのもあります。

 ああ、ポッ◯ーゲームって楽しいのかなぁ……?



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