階段で他クラスの美少女を庇ったのだが

04.俺はシスコンではないのだが

「––––––ところで、弥代ってなんで毎日毎日こんなに登校早いのよ」

　俺は言われて時計を見上げた。

　8:00

　STまでまだ30分ある。クラスメイトもまだ楓しかいない。

「と毎日のように言いながら、健気について来る楓に対して俺は疑問を覚える。つーか、毎日答えてるだろ。勉強するんだよ」

「ああ、家だと玲亜（れいあ）ちゃんがいるもんね」

　俺は肯定した。

　玲亜は俺の義妹だ。言い間違いではなく、義理の妹である。

　正確な関係を話すと時間がかかりすぎてしまうだろうから、それはまたいつか。

　義妹。そう言うとシスコンどもが騒ぎ出しそうだが、いささか懐きすぎだとは言えども、普通の妹とはそこまで変わらないと思う、たぶん。

　そういえば、あいつも始めは凄く反抗的だったんだよなぁ。

　しかし、今では可愛い妹である。

　そんな玲亜だが、家にいる間は構ってあげないと、大層不機嫌になる。

　流石に家の中にいる時ずっと、というわけではないけど。

　俺は学校は玲亜より遠いのだが、電車登校という事もあり、登校時間は玲亜より短い。

　基本的には毎日同時に出発するので、玲亜が程よい時間に、俺は早めな時間に学校に到着する。

　つまり、そこを貴重な勉強時間に当てている、ってわけ。授業について行けない、って事ではないんだが、ウチの高校はそこそこ宿題が出るから、どうしても時間がいる。

「弥代ってシスコンよね。どう？ あの娘に対しての気持ち、ちょっと薄まったりした？」

「玲亜がこうなってしまったのは、俺のせいみたいなものだから。あいつが結婚するか、大人になるまでは俺が保護者みたいなものだし、いてやらないといけない」

　過保護だと思われるかもしれないが、ウチはシングルファザーなので、玲亜には基本的に俺しかいない。

　アイツはもともと家族を失う、という辛い経験をしている。俺としてはこれ以上傷つけないであげたい。

　と言っても、俺だってずっと暇なわけではないので、玲亜には早く彼氏を作ってもらいたいものだ。

　頼むから、俺にくっつく時間があるなら、彼氏にくっついていてほしい。

「彼氏？ 弥代がなってあげればいいんじゃ––––––」

「––––––頼むから、冗談でもやめてくれ。だって、俺は正直玲亜をそういう対象として見ていないし、俺たちはまず兄妹だし」

「あら？ 義理の兄妹って結婚できるでしょ？」

　義理ねぇ、と俺は呟く。

　まあ、義理なんだけどさ。

「楓はさ、俺と玲亜ってどう見える？」

　楓が唸る。

「……私は始め、義理と聞いて耳を疑った」

「そういう事だ」

「どういう事？」

　俺は楓の問いに答えず、ただ意味深な笑顔を浮かべた。

「––––––さて、勉強するかな」

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　……申し訳ございません。予定日より早く更新しちゃいました。

　次の月曜日は……９日だよね？

　今度はきっちり９日月曜日に投稿します。