第6話ずっと君と一緒だよ

今の家族を捨てる勇気はない

今の生活も手放せない


でもこの気持ちも捨てられない


捨てられない物ばかり


この歳になって自分がこんなにも優柔不断だったなんて知りもしなかった


「いつになったら一緒になれる?」

自分も俺も傷つける言葉…なんでそんな事を言うのか…

答えられないでいると君は困ったような悲しい顔をする


「好きなんだよ」

俺に答えられるのはその一言だけ

聡い君ならわかるだろ…この一言の意味が…


なのに君は俺を試すかのように「マッチングアプリいれてみた」なんてことを言う

「ろくな奴…居ないだろ?」

「そうだね」

そんな会話に何の意味があるのか


「私も…ずっと一緒に居られる人が欲しい…」

一緒に居るじゃないか、君のこと好きだって言ってるじゃないか


君だけの俺じゃないからか…


何もかも悟ったような顔で最後の嘘をついた。

それは悪あがきな嘘。

「ずっと君と一緒だよ」

こんなことしか言えないなんて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る