第4話 魔物だぁ!!

 前回までのあらすじ!!俺、嬬恋和登は異世界にクラスメイトと共に召喚された。数々の困難(真面目な会話)を切り抜け、仲間たちとの親睦を深め(美少女との楽しい会話と悪ふざけ)やっとここまで辿り着いた!!


 そう、ついに魔の者たちとまみえるこの瞬間が!!



「和登…さっきから、何を一人でブツブツ言ってるの?」



「おっと、俺の溢れる闘志が声としてもれてしまっていたか…全く、とうしたものか?闘志だけに!!」



「あはははっ♪和登って本当に面白いよね!合格!!」



「何と言う事だ!?ついに、風香の彼氏に合格してしまったのか!?流石は俺!!」



「え?彼氏かぁ…う~ん、次点!!」



「くぁ!次点かぁ!!惜しかったな!!」



「うんうん、惜しかったね!もう一息だよ♪」



「そっか!これからも頑張るぜ!!」



 軽口叩いてるけど、本気で残念だったりする俺!流石にすぐに彼氏彼女にはなれませんよね!!



 え?いきなり今どこで何をやっているのかって?説明したじゃん!!ついに、魔物とのご対面何ですよ!!え?緊張感なさすぎだろって?当たり前だろ?俺だぜ?俺ががちがちになって魔物こわ~い!!とか言ったら引くだろ?こら!そこまで距離を取ることはないんじゃないですかね!?



 まあ、現状の確認を込めて説明すると、あちらに見えますベテランハンター3名による引率の元、低級の魔物が出やすい草原に来ているわけです。



 何でも、この草原はここからは確認出来ないけど、近くの魔物がたくさん住んでいる森から、追い出された魔物が結構いるらしい。しかし、所詮は追い出された魔物ばかりだから、弱いのが多いってわけ。



 なので、低級ハンター御用達の訓練場みたいなものらしいぜ?だから、ここなら俺たちでも安心なのだとさ!まあ、俺的には何かあるんじゃないかと思ってる。だって、俺だぜ?…待て!何で納得したんだそこ!!意味分からんって思う所だろ!?普通は!!



 でだ、ベテランハンターなのは良いだけどさ…さっきから俺の女たちに言い寄って来るんだよ!叩きのめして良い?え?俺の女たちとか言ってるお前が叩きのめされろ?酷い!私の何処が悪いって言うの!?いたっ!?物を用意して待たなくて良いから!すぐに投げるの止めてってば!!



「なあ、訓練何て良いだろ?俺たちがパパっとやっつけてやるからさ!だから、俺たちと飲みに行こうぜ!」



「そうだぜ!良い店知ってんだよ!なあ?一緒に行こうぜ!奢るからさ!!」



「しつこいな、君たちは。酔わせて何かしようって魂胆が見え見えだよ。いい加減にしないと、ハンター組合長に相談する事になるよ?」



 あ~・・・流れで月姫さんに任せちゃったけど、俺が出て行って良いかな?いい加減に我慢の限度超えそうだぜ?さっきから、やめろってはっきり言われているのにしつこく絡んでいるし…良いよね?え?やっちゃえ?うし!任せろ!!



 俺が意気込んでベテランハンターモドキ共を成敗しようとしていた時だった。珍しく、彩夢が声を上げた。



「な、何かたくさん来るよ!魔物じゃないかな!?」



 何?魔物がたくさん来るって!?ハンターモドキも含め、全員が彩夢の指し示す方を見た。確かに、まだ遠いがたくさんの生き物がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。魔物か…果たして、俺を満足させる実力はあるのかな?ちょ!?コテンパンにされてしまえとか酷くないか!?



 しかし、思ったより数が多くないか?ふぃふぅみぃ…軽く見えただけで20体以上いるぞ?平気なのか?そう思って、ハンターモドキの方を見てみた。



「お、おい…あの数はやばくないか?」



「やばいと言うか、まずくないか?」



「に、逃げた方が良くないか?」



「こ、ここは勇者たちに任せよう!何せ勇者だからな?きっと、俺たちより強いさ!!」



 何なのこの3人組は?さっきは、俺たちがパパっと倒すとか言ってなかったか?もしかして、雑魚たちなんじゃね?



 そう言えば、こいつら紹介された時、本来なら戻ってきているはずの上級ハンターがまだ戻っていないとかで、中級ハンターのこいつらが代行として紹介されたんだったな。まあ、それにしても人選を誤ったとしか思えない程酷いが…



 だって、こいつら王都の門をくぐった途端に俺の女…こほん、古都さん達を口説き始めたんだぜ?まあ、範囲外なのか風香だけは除外されていたから俺の隣にいたんだけどな…その流れで、俺が風香を守って、月姫さんが自分含めて3人を守る感じなったんだよ。え?数が可笑しい?俺もそう思う!!



 なのでまあ、期待し過ぎてはダメだと思ってはいたけど…ちらっと3人組に目をやると完全に腰が引けて俺たちの後ろに行こうとしている。・・・これは酷い!はっきり言おう!こいつらはただのクズだと!!



 勇者だろうとなんだろうと、女性の後ろに隠れたら終わりだろ!この戦いが終わったら思いっきりぶん殴ってやる!!もうね、全力で勢いつけて殴ってやるからな!!覚悟しろ!!



 しかし、事態は思ったより酷かったようだ。



「お、おい!後ろにいるのってまさか…」



「な、何の冗談だよ!?何で、ニーガがいるんだ!?」



「お、おい…勇者なら勝てるのか?」



「いや、いくらなんでもあの数とニーガじゃ…」



 最後の方はこそこそ話し合っているような風だったが…なんだ?と思った時には遅かった。



「お、俺たちは組合に救援を呼びに行って来る!!」



「お、おう!こっちは任せておけ!!」



 そんな事を言い残して、あいつら全力で逃げ出しやがった!!一人何て、無言の全力疾走だぞ!?はぁ…組合には後で文句言ってやらんといかんな…間に合わせにしても、あれは酷すぎだったと。



「ね、ねぇ?五月蠅いのがいなくなったのは清々したけど、この状況ってまずいんじゃないかしら?」



「そうだね…一応、それなりに経験があるであろうハンターが逃げ出すほどの事態って事か…」



「え?魔物退治しないの?」



「えっと…多分だけど、私たちピンチかもなんだよ?」



「そんな曖昧な感じじゃなく、ピンチっぽいな…」



 今すぐ逃げだしたとして、あれがもし王都に入り込んでしまったら…何て、考えている余裕があるとか俺も成長したもんだね!え?勇者気取りの雑魚は直ぐに死ぬことになるぞ?って?分かってる!俺は、勇者気取りじゃない!勇者なんだ!!ある意味ではと付くけどな!!



 どの道、彼女たちを逃がす時間が必要だろ?だったら、俺が行くしかない!大丈夫だ!硬そうな職業貰ったし…この剣がある!!


 そう思って、おもむろに剣を抜き放つ俺!!それを見て、他のメンバーは察したらしい。



「まさか…あの群れの中に突っ込む気なのかい?」



「や、止めた方が良いよ!さすがに、あれは多すぎるよ…」



「そ、そうよ!確かに、逃げるにしても時間稼ぎが必要だろうけど、和登君がただじゃ済まないよ!下手したら…」



「痛いよ!危ないよ!!死んじゃうかもよ!!和登が死んじゃう!!」



 みんな、思い思いではあるけど俺を心配して止めようとしてくれているのは分かる。風香に至っては、俺にしがみ付いてまで止めようとしている。だけど、ここで俺が行かないとみんなが不味い事になる!俺は、悪いと思いつつも風香の腕を優しく離し、叫びながら魔物に突撃した!!



「みんな!ここは俺に任せて先に言っててくれ!!」



 やばい!今の俺輝いている!!俺は死なない!俺は、ここで伝説になってやる!!



 悲鳴のような制止の声が、俺に向けられているが構わずに雄たけびと共に俺は、目の前の敵に斬りかかった!!



 見た目は、緑の気持ち悪い人型の魔物。名前は知らん!!それに、俺は上段に振り上げた剣を思い切り振り下ろす!!そして、魔物は両断され…あれ!?かわされちゃいましたぞ!?



 驚いたことに、魔物はさっと上段から振り下ろされた剣をステップでかわしやがった!?しかも、手に持った古びた刃物で俺に斬りかかって…



「痛ってぇ!!?」



 ナンテコッタ!?俺は、魔物に斬られてしまった!?まさか、俺の伝説がこんなところで…ほれ、みたことか?そんなん言ってる場合か!?死ぬほど痛かったんだぞ!?これは、俺は出血多量で…



「…あれ?」



 俺は、斬りかかって来た魔物と共に首を傾げる。いや、めちゃくちゃ痛かったんだよ!!なのに・・・怪我が見当たらない!?もしかして、剣が古いから刺さらなかった?しかし、めちゃくちゃ痛かったぞ!?



と、とにかく!!



「おおおおおおっ!?」



 俺は、雄たけびと共に再び魔物に斬りかかる!今度は、薙ぎ払うように横から斬りかかった!!今度こそ、魔物は両断され…てねぇ!?また、軽いバックステップにてかわしやがった!?そして…



「痛ってぇぇぇ!!!?」



 今度は、その隙に3匹の緑の魔物から斬られてしまった!?死ぬほど痛い!!今度こそ、俺の人生は・・・



「あれれ??」



 今度は、4人で首を傾げる。いや、今度はさびてない剣を持った奴もいたんだぞ?すっっっっごく痛かったんだぞ!?それなのに、血はおろか、服すら切れてないんだぜ?可笑しくない?ハッ!?まさか!?



 俺は、思いついた事を証明するために、目の前にいる緑の魔物を挑発するために、クイクイと手招きで挑発した。すると、所詮は魔物、すぐに怒ったように刃物を振り上げ攻撃して来た!



「痛ってぇ!?しかし、俺にダメージはない!!」



 やはりそうだった!俺は、無敵超人になったようだ!!だって、めっちゃ痛いけど全然怪我してないんだぜ?今も、刃物が当たった感触はあったんだけど、実際見てみると怪我はおろか、服すら切れてない!!まずい!俺、最強かも!!



「ふははは!俺は無敵になったようだ!!こうなればこちらのもの!!防御を捨ててお前らを蹴散らしてくれるわ!!まとめてかかって来い!!」



 そして、調子に乗った俺は、剣をブンブンと振り回しながら魔物を追いかける!しかし、全てかわされ反撃される!!



「痛ってぇ!!?」



 その度に叫ぶ俺だが、ひるまずにひたすらに剣を振り回す!!いつか当たる!数撃てば当たる!!オラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!








 それから、どれくらいが経っただろうか?未だに当たらないんですけど!!身体能力が上がっているのだろうか?疲れはてはいないのだが、精神的に来るな!いい加減に当たれ!!



 その時、願いが通じたのかガン!!と言う音と共に、俺剣が止まった!?つまり、当たった!!けど…何か音と手ごたえが可笑しくない??



 そう思い、前を見たら見上げる事になりました…



「あ、もしかして痛かったですか?その…ちょっとした手違いと言いますか…爪切り失敗?テヘ♪」



 お分かりだろうか?俺が、いきなり媚を撃っている相手は、恐らくさっき逃げたハンターが言っていたニーガだと思われる!!てか、思いっきり赤鬼じゃん!!巨大じゃん!!緑のやつらは俺たちと同じくらいの大きさなのに、こいつ軽く3倍の5メートルはあるぞ!?首が疲れるわ!!!



「ワ、ワタシタチトモダチネ!!」



 俺は咄嗟に怪しい外国人の様な口調で言い訳をしてみた。しかし、当たり前のことながら目の前のニーガと思われる魔物は大きな棍棒を振り上げ…



「さすがにそれは死んじゃいますよ!?」



 俺、最大のピンチ!!どうすれば!?ハッ!?俺の職業は盾!きっと、盾を召喚とか格好良く出来るはず!!なれば!!!



「来い!我が盾よ!!その力を持って、全てを拒絶せよ!!」



 決まった!目の間に巨大な盾が現れ…てねぇ!?ぎゃあああ!?



 振り下ろされた棍棒の直撃を受け、俺はぺちゃんこに…



「痛ってぇええええ!!!?」



 なったような衝撃を受けたが、何故かまだ五体満足!!しかし、余りの痛みにゴロゴロと頭を押さえてのたうち回る事になった。



 暫く経ち、起き上がった俺はニヒルに笑う。



「中々やるじゃないか…しかし!俺のまでは全てむりょ痛ったぁ!!!?」



 ぐあああ!?またも転げまわる俺!!しかし、こいつ許さん!!俺のセリフ途中で横殴りに棍棒を振るってきやがった!!俺、めちゃめちゃカッコ悪いじゃん!!どうしてくれるんだ!!え?手遅れ?まじですか!?



「くっ!?こうなれば!!俺の全身全霊の一撃で、お前の命を絶つ!!!おおおおおおおおおおおおお!!!?」



 もちろん、はったりです!!全力で走って剣ごと体当たり!!これしかない!!!



 流石の巨体では、避けられなかったようで俺の作戦通り決死の突きが決まった!!でも・・・手ごたえがない!!てか…え!?ちょっ!?



「ちょっ!?おさわり厳禁…ぎゃああぁ!!?」



 さすがにやばい!?断続的痛みには多少は慣れたが、巨大な手に掴まれて潰されそうになってます!!いや、全然潰れてないけど、潰れてしまいそうなほど痛い!!しかも、持続した痛み!!やばい!!気を失いたいのに失えない!!



 これ、俺が正気を失うんじゃないか!!?やばい!!誰かお助けぇ!!!何て、冗談に聞こえるかもしれないが、俺の口からは悲鳴に近い声が漏れだしている。本気でまずい…このままじゃ・・・



 遠くから、誰かの悲鳴のような声が聞こえて来るが、意味として取らえられないほど追い詰められている。本当に、俺はここで終わるかもしれない・・・みんな、後は頼んだ…

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