第2話 エルドマだぁ!!

 転送装置から出たら異世界でした!何て、すでに異世界に御呼ばれしているのでこのネタは意味ないな。気を取り直して、



 転送装置の置かれた建物はかなり豪華だった。なので、もしかしたら俺の気のせいで国は潤っているのかも!?と期待を胸に、建物を出た感想は…



「ラピ○タは本当にあったんだ!!」



 と、ついネタをぶっこんでしまいました。何のことか分からない異世界の皆さんは?マークを浮かべ、一緒に異世界に来た仲間たちからは白い目で見られました。



 いや、唯一風香だけは乗ってくれた!「バルス!」って全力で叫んでくれたから、目がぁ!!とお約束をしました。お前は誰だって?俺は、俺です!!まあ、それはともかくとして?



 思っていた以上に広かった!まあ、一国なんだから当たり前と言えば当たり前なんだけどな?ほら、勇者に投資した額が他と桁が違うんだよ?何か小さい小国なんじゃないか?とか思っても仕方ないですよね?



 そんなわけで、見渡せないくらいには広かったエルドマ王国。しかし、町並みは豪勢とは言えなかった。中世の城下町と言われればそんな感じだけど、ところどころが崩れていたり修復中だったりしてますね。魔物の襲撃でも受けたのか?受けてたらこんなものじゃすまないか?



 そんな疑問など吹き飛ぶような内容の詳しい話を王族の皆さんとお城でしました!あ、俺たちは国賓として城に住めるらしいぜ!もちろん、外泊も可!遠征費は全額負担してくれるそうですよ!?え?それよりも驚愕の話し合いの内容を教えろ?もう!せっかちさんね♪いたっ!?気持ち悪いからって物を投げるのは止めて下さい!?ぐれますよ!?



 それで、話の内容ですがね?まず、人員が足りなくていつ国中に魔物が溢れかえっても可笑しくない現状だと告げられました。理由は、いくつもあるけど、お金が無くて兵士の練度が低い。そして、追い打ちをかけるように魔物が活発化していて襲撃が多くて、対処がしきれていないそうだ。



 そこで、この国に唯一あるハンター組合に協力して国の安全を確保して欲しいとの事です。ハンターとは?まあ、簡単に魔物倒してお金を稼ぐ荒くれ者たちですね!そこまで粗暴じゃないと王族は言ってたけど、こんな状況ですよ?期待は薄いと思いますな!



 視える!俺が、良い女連れてるじゃねぇか!って絡まれる未来が視える!!そして、テンプレ通り俺が荒くれ者たちを倒し、一気にハーレム完成です!やったね♪夢を見過ぎ?いや、想像するだけなら勝手じゃないですか!?俺の夢を奪わないで!?



 因みに、他国への協力要請はしないのか?と尋ねてみたところ、他国も余裕があるわけではない上に、交渉材料がこの国にはないそうだ。世知辛いな!ただ、転送装置が設置されたのは最近なので、それを使った支援などのやりとりは未知数という事らしい。つまり、もしかすると?と言う可能性だけはあるそうだよ、良かったね!



 え?結局何が衝撃的だったかって?あれだよ…これから息つく暇もなく、ハンター組合に行く事になったんだよ!今日は休んで明日からになるのが普通じゃないですかね!?こちとら、真面目な話を聞き過ぎて疲れているんだよ!主に、脳がな!普段使ってないから?やかましい!そんな事は俺が一番分かってますよ!!








 そして現在、ハンター組合に向けて強行軍中。しかし、俺はもう怒ってはいない。何せ、俺は心が広い男だからな!!…何故そんな疑いの眼差しを向けるんですか!?物凄く心外ですぞ!?え?早く理由を話せ?くっ…ある意味信用されてて嬉しいよ!!



 分かった話そう!!お姫様が一緒に来てくれたんだよ!不機嫌に何てなれるわけないだろ!?しかも、何故か俺の隣を歩いているんですよ!俺と並んで先頭です!!姫の顔は知れ渡っているし、現状で悪さをする輩はいないだろうって事でこうなってます!あれだね?俺がいざとなったら守るから大丈夫とは思ってくれないのかね?信用なさ過ぎて泣きそうです!!



「本当に、申し訳ございません。疲れておいででしょうが、明日から早速動いて頂くためには、今日中に顔合わせだけでも済ませておかなければならなくて…」



「いえ!ステーシィ姫もお疲れでしょうし!俺って、体力だけが取り柄な男だから、全く問題ないですよ!!」



 もちろん、体力に自信なんかないが、調子の良い事を言ってしまうのは男のさがってやつだよ!分かるだろ?



「ステーシィで結構ですよ?公の場では、なるべくは体裁を整えて欲しい所ではありますけど、歳も近い事ですし,気軽に話しかけて頂ければと思います」



 そう言ってほほ笑むステーシィ。うん、惚れても仕方ないよね?え?浮気?恋多き男子高校生なんですよ!俺は!!仕方ないんだよぉ!わかってくれよぉ!!いたっ!?鬱陶しいからって物を投げないでってば!?



「分かったよ、ステーシィ。そっちも気楽に話してくれて良いからな?でも、俺って頭悪いから行き過ぎた失礼な態度取ったらごめんな?」



「気にしないで下さい。私たちは、とても非人道的な行動で皆さんを強制的に拉致したようなものですから、避難されても仕方がない立場なんですから…」



「それについては思う所があるけど、今は止めておこうか?こんな場所でついでで話せることじゃないし、それに…いや、俺たちのクラスって結構忍耐強い奴ばっかりだったんだなぁと、感心するくらい何もなかった気がするな?」



「恐らくですが、まだ実感が薄いのも大きいのかもしれませんね。今後、何かあれば一気に不満が溢れ出るかもしれません。和登様、私で良ければ何でも致しますので、遠慮なく申し付けて下さいね?」



「な、何でも…だと!?」



 ・・・はっ!?いけない妄想をしてしまった!?どんな妄想かって?聞くなよ!恥ずかしい!!



「和登ばっかりずるい!私も、お姫様と仲良くなる!!」



「うわっと!?ええと、ステーシィは、俺たちと仲良くなりたいって言ってるからなれると思うよ?」



 何でもの妄想に憑りつかれそうになっていた俺は、若干風香に後ろめたい気持ちを抱きつつも、誤魔化す様にそう伝えた。



「ほんと!?」



 キラキラした目でステーシィを見る風香。相変わらずの可愛さです!!これはもう、姫と言えども邪険には出来ないだろう!しかし、俺とは違ってこの純粋さよ…俺が失ってしまった輝きは大きいのかもしれないな…



「はい、風香様。出来れば仲良くして頂ければと」



 最後まで言葉を続けることが出来なかったステーシィ。仕方ないだろうな?だって…



「やったぁ!お姫様のお友達♪よろしくね、ステーシィ!」



 と言うよりも早く、ステーシィに抱き着いた風香。いや、さすがに言葉を遮ってまで抱き着くのはどうなのだ?まあ、ステーシィはそんな事を気にしないようには見えるけどさ…と言うか、羨ましい!どっちか変わって!いや、間に俺を入れて下さい!!!



 そんな二人のキャッキャウフフを魅入っていたら肩に手を置かれ、振り向くと月姫さんがいた。そして、俺に向かって無言で首を振ってみせた。え?俺ってそんなに物欲しそうに二人を見てました?飛びかかりそうでした?そ、そんなバカな!?



 多少は、月姫さんの色付けもあるだろうけど、そんな風に俺が食いついていたこと自体に反省し、大人しくなる俺です。そして、それからは大したこともないままに大きな建物の前に案内された。



「着きました、こちらがハンター組合になります」



 そう言って、促され仰ぎ見た建物はとても大きかったけど…うん、石造りなせいか何かこう…イメージと違う!



 ほら、ハンターとか言っているけどさ。小説とかだと冒険者ギルドとかで、木造建築…ログハウス?みたいな建物の中で、ワイワイ冒険者がお酒とか飲んじゃってるイメージじゃん?



 しかしだよ?目の前にあるのは、石造建築の建物なわけだよ。しかも、何か神殿っぽい柱があるんですけど!?え?もしかして、神聖な場所なんですか!?



 俺は戦々恐々とそんな事を考え出したが、ステーシィはそんな俺の気持ちを汲んでくれるはずもなくさっさと歩き出す。そうすると、俺もついて行くしか選択肢がないわけで…



 立派なドアを潜ると異世界でした!!え?しつこい?やりたくなるじゃん!!さすがに、ラピ○タ件はやらなかったぜ?ハンター組合に睨まれたくないもんな!!



 で、中は結構木造品で溢れてたよ。聞いたところだと、魔物がいる関係で外装はなるべく石にして頑丈にしているんだとさ。まあ、そんなわけで中は結構普通っぽかったです!神聖な雰囲気何てなかったよ!俺のこの何とも言えない気持ちをどう表現したら良いのか!!



「どうかされましたか?」



 不思議そうに俺を見てくるステーシィは、可愛い!美しい!俺の複雑な気持ちは一気に晴れやかな気持ちになった。単純?いえ、俺です!!



「何でもないです、ステーシィは今日も俺の気持ちを腫れ渡される程綺麗だね!」



 はっ!?思わず気持ちを吐露してしまった!?テンション上がると気持ちを口にしたくなるときあるじゃん?それを実行してしまったのだよ!?これは…まずいのか!?



「まあ、和登様はお上手ですね。ありがとうございます、褒められるとやはり嬉しいものですね♪」



「いえ、つい本心を言ってしまっただけですから!不快にさせないで良かった!」



 あっぶなぁ!!これからは気を付けねば…俺は、あんな気障なセリフを言う安い男ではないのだ!!異世界に染まったいかん!!でも、ステーシィ何か嬉しそうだよな?たまには言った方が良いのか??しかし、俺が素直に女性に可愛いとか綺麗とか言い出すと…それだけで一日が終わる自信があるんだぜ?



 俺が、今後における重要案件に頭を悩ませていると、ハンター組合のお偉いさんとの面談が始まった。綺麗な女性じゃなかったからパス!え?ダメ?



 いつも通り要約するぜ!明日から、このハンター組合の依頼をこなしていく事になったわけだ!え?訳し過ぎ?まあ、つまり何人か先輩ハンターに協力してもらって、簡単な依頼をしながら、どれくらい戦えるか見極める期間に突入って感じです。ギリギリ及第点?ありがとうございます!!



 で、帰り道、やっと小難しい話から解放された俺はスキップで王城へと向かっていた。隣には、俺と同じ気持ちなのか、風香が同じようにスキップしている。傍から見たら…考えたら負けだ!!



「小難しい話から解放された!晴れやかな気分だな、風香!もう、夕刻だけど!!」



「そうだね!良く分からなかったけど、明日から頑張ろうね、和登!!」



 やばいね!俺たち仲良しだね!!若干、他のメンバーから白い眼を向けられている気がするけど気にしない!俺だけに向けられている気がするけど、き、気にしない!!



 わっはっは!!とご機嫌スキップで進む俺たちだったが、不意に少しの段差に躓いたのか、風香が少しバランスを崩しながらこちらにケンケンで突っ込んで来た!?



「わっとっと!?」



 俺が咄嗟に受け止め、事なきを得たけど気を付けねば!可愛い娘が転んで怪我するとかダメだからね!怪我するのは俺たち芸人の仕事だから!!誰が芸人か!!え?俺ですか?このイケメンが目に入らぬか!え?ないものは入らない?そ、そうっすよね…



「咄嗟に俺の名前とかけるとは…やるね、風香!」



「う、うん!分かっちゃった?それに気が付くとは、そっちこそやるね、和登!」



 俺たちは、にやりと笑い合う。え?そんな場面だったかって?ばかやろう!!躓いてこけそうになるって何気に恥ずかしいんだぞ!そんな雰囲気にしたらダメだろ!察しなさい!!え?お前に言われると心外だって?くっ!?これが日頃の行いのつけって奴か!?



「本当に和登って面白いし、良いよね!もう、私たち親友って言うくらい仲良しだね♪」



 おお!?嬉しい事言ってくれるな!!けど、俺はそこから先へ進みたいんだぜ?と言うわけで、ふざけて見たくなった俺は



「何なら親友すら飛び越えちゃうかい?今日は、俺の腕枕で眠ると言うのはどうだ?」



 まあ、こんなセリフは俺には合わないし、めちゃくちゃ気障っぽく言ったので、流石の風香も察してくれるだろう。



「・・・男の人の腕枕ってちょっと興味あるかも」



「なん…だと!?」



 その返しは予想の中に含まれていませんでした!?どうしたら良いんだ!?あれか?本当にやっちゃうか!?何をだって?腕枕に決まってるだろう!?さすがに、いきなりアレな事なんて出来るわけないだろ!!俺の何だと思っているんだ!!え?ただの助平だって?正解だよ!!



「寝られるか分からないけど、試してみても良い?」



 え?マジで一緒に寝て…



「「ダメに決まっているでしょ!!」」



 おおっと!?俺が何か言う前に、古都さんと、月姫さんの声が見事にはもりましたな!?いや、二人とも俺を信用してないよね?



 何か、古都さんは風香を抱き締めてこっちを睨んで来てるし、月姫さんに至っては風香に近付いたら殺す!くらいな勢いで睨みつけて来てますよ?二人からの信頼に、涙が溢れそうです!!



 暫くにらみ合い?が続くと思われたが、意外にも風香本人の「和登をのけ者にしたらダメだよ?」と言う発言により、二人の厳戒態勢は解かれたのだった。風香ちゃん、マジ天使!!



 しかし、こそっと月姫さんが「君を信用しているからね?」と言う裏腹であからさまな圧力をしっかりとかけて来ました。だ、大丈夫だ!信頼はこれから築いて行けば良いのさ!だから、今は泣いて良いですかね?え?男の涙は見っともないだと?くっ!?表現の自由がこんな形で奪われるなんて!?



 仕方ないので、ステーシィと楽しく会話しながら残りの道のりを歩きました。他愛もない会話だったよ。…すまない!俺には彼女のスリーサイズを聞く勇気はなかった!!男性諸君!申し訳ない!!







 そして、現在王城に帰還した俺たちは、食事の用意が出来るまで個別の部屋で休んでいるわけですが…



「やばいな、俺。今日だけで、一生分の美少女エナジーを貰った気がするぞ!!」



 何て独り言を言ってしまうくらい、今日の俺は充実していた。だって、考えてみなさいな?いきなりの異世界召喚がマイナス要因だったとしてもだ!



 ほとんど接点がなく、話す事もなかった我が校トップクラスの美少女4人とこれから一緒にミッションをこなす事になったのを皮切りに、いきなり風香と仲良くなっただろ?そして、みんなとも名前で呼び合うようになり、さらに!あの美人なお姫様のステーシィとも名前で呼び合うほどの仲に!!



 やばいね、間違いなく俺の人生の中で最良の日だね!!明日から、魔物と戦うのは大変だろうけど、もう気力が充実しまくってて負ける気しないね!!片手で捻りつぶしちゃうね!!調子に乗り過ぎだって?仕方ないだろ?テンションが上がり過ぎてて制御出来ないんですよ!!!やっふー♪



 そんな、アホなテンションで待っていた俺は、抑えきれずに何故かラジオ体操を始めてしまい、それを食事の用意が出来たと呼びに来た使用人(メイド?)に思いきり見られました!!



 「元気が有り余っているんですね」と笑顔でメイドさんに指摘された俺は、さすがに心の中ではOTLとなったよ!!しかし、表面上はそんな事をおくびにも出さずに、



「明日からの俺を見ててください!!」



 と、テンションMAXで叫んだね!やけくそだったね!!さすがだって?そ、そんな持ち上げ方されても嬉しくなんかないんだからね!!!








 ふう、御馳走様でした♪え?食事風景?だだっ広い所でする食事風景何て楽しくないよ?何か緊張して、食欲が増したね!!美味しかった!!まあ、見たことない料理だったけど、俺的には美味しければオッケーなのさ!!



 しかし、部屋が違うからラッキースケベイベントが何も起こらないね!!期待した人は残念でした!主に、俺が残念でした…。



 気を取り直して!!お風呂があるらしいよ!!やったね♪あれだね…もしかすると、ステーシィがお背中流します…何て事に!ことにぃぃ!!?やだ!エッチ!!そんな期待を胸に、俺はお風呂場へ向かった!








 聞いてくれよ?当たり前だけど、そんなイベント何てなかった!!好感度が足りなかったらしいよ?あといくつ上げれば良いんですかね!?え?上げてもお前じゃ無理?イケメン限定イベント?バカな!?俺専用って事じゃないか♪いたっ!?すぐにもの投げるの止めてって言ってますよね!!本当にぐれちゃうぞ!?



 その後、何もなく異世界一日目は終了したのだった。夜這いは!?夜這いは無いんかぁ!!!!


※あるわけがありません

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