可愛い娘の盾でいたい!!

かなめうた

第1話 異世界だぁ!!

 俺は今、異世界召喚と言う小説では当たり前のような体験をしているのだが…正直、戸惑っております!



 覚悟は出来ていた。もし異世界召喚されたら堂々と勇者をやってやるぜ!とか、息まいておりました。しかし、実際にされると…いや、現状の斜め上現象のせいだと思いたい!そう言う事にしよう!



 え?何が斜め上かって?それはですね・・・・



『ようこそおいで下さいました!勇者様方!!』



 そんな風に俺たちを持ち上げてくれる王族の方々の存在です!!普通?本当にそう思うかい?王族っぽい人たちに囲まれているんだぜ?少なくとも100人はいると思われます!!



 兵士?少しいるね…騎士っぽい人がちょこっとね?いやいや、どう見ても一国の王族だけじゃないなこれ…とりあえず、そんなイレギュラーな光景を前に、俺の高校のクラスメイト総勢45名は異世界に召喚されましたとさ!!続く!!








 そんなこんなで、現在話し合いっぽい一方的な説明が一段落しました。王族の長たらしい話を聞きたいかい?聞きたくないだろ?時間の無駄だろ!?安心してくれ!俺が、端折って説明しよう!!



 その壱、異世界転移の黒幕は、九か国の王族たちでした!つまり、俺たちは九か国の王たちから呼び出されたエリートなわけだよ!・・・強制じゃなかったら拒否ってますけどね!拒否権が欲しかった!!



 その弐、呼び出された理由はやっぱり国を守って欲しいと言う事でした!まあ、戦争じゃないのは正直ホッとしたけど、魔物さんと戦って欲しいらしいよ?俺、帰宅部のエースだぜ?頼りにされてもな?ハッハッハッ!!やっぱり帰りたい!!



 その参、俺たちは5人ずつオークション形式で九か国に分けられるらしい。ただし、最初はそれぞれ一人ずつ指名出来るらしい。ドラフトだね!!しかし、分かるかい?人に値段付けようって言うんですよ!信じられないだろ!!



 もちろん、これには抗議したね!山田が!!え?山田って誰だって?クラス委員長の山田君に決まってるだろ!有名人なのに知らないの!?・・・はい、知るわけないですよね?そんなわけで、山田君が可笑しいだろ!!って抗議したわけだよ。



 しかし、これは国としての勇者に対する投資に過ぎず、各国に平等に配置するための措置だとか何とか言い出してですね?最終的には、山田君が負けてしまったのだよ!?山田…お前の死は忘れない!!死んでないけどな?



 そんなわけで、投資したお金は勇者たちのために使うお金という事でプールされるそうだよ。建前でしかないと思うのは俺だけか?



 いや、どちらにしろ問題しかないと思うのは俺だけだったのか?まあ、みんなの顔を見ればしぶしぶだと分かってて言ってますけどね!俺も、変な事言ってみんなの立場を悪くしたらまずいと思って何も言わなかったしな?俺、空気読めるえらい子!!



 その肆、この世界には職業があって、それによって各国バランスよく戦力を配分出来るようにするらしい。勇者は勿論、一般よりも格段に良い職業が出るらしいぜ!やったね♪俺の時代キター!!・・・やっぱり帰って良いですかね?嫌な予感しかしないんだよ…



 と言うわけで、一応説明終わり。細かい事は必要になったら考えれば良いさ。ただまあ、現状の問題は…現在行われている職業判定の儀とやらですかね?何かね、怪しい水晶が置いてある机に座っている、これまた怪しいお婆さんの所に行って、水晶に手をかざして判別するらしいよ?



 もうね…インチキ占い師にしか見えん!!と言うわけで、インチキ占い師(仮名)の怪しい職業判定が行われているわけですよ。何!?山田が勇者じゃないだと!?あ、勇者は一人だけらしいよ?つまり、45人の中に犯人がいる!!!俺だな!!山田じゃなきゃ俺しかいないじゃん!



 と言ってみたものの、余りなりたくはないな…誰か、他の人がなってくれないだろうかね?



 と言う祈りが天に通じたかは定かではないが、加藤君が勇者を引いてくれた!やったね♪



 どうやら、加藤君も勇者になりたかったわけではないようで、マジかよ…って顔して戸惑っていますな。めっちゃわかる!だって、勇者ってこの召喚における重要ポストじゃん?どう考えても、注目されまくるって事ですよ?



 何が言いたいのかと言うと、折角異世界に召喚されたのに、自由が無くなるとかあり得ない!!ってことだよ。勇者になってしまったら、戦闘はおろか、普段から監視されている気分になるだろうからな。つまり、自由な時間など無くなりそうだという事だ…俺の中ではありえないな。



 そんな感じで、加藤君、君の事は3日は忘れない…安らかに眠れ。死んでないけどな?



 何て事を考えていたら自分の番が来た。まず思う事は一つ!どうせならお婆さんじゃなくて、綺麗なお姉さんが良かった!!まあ、このクラスの男子全員同じ意見だと俺は思っているよ!



 そんな事を想いながら、俺は無言で水晶に手をかざす。出でよ!魔人!!あ、何か出そうな気がしたけどやっぱり出なかったわ、残念だ。



 で・・・結果は、盾?盾って職業何ですかね?どうなの?何か、インチキ占い師さんが固まってるけど…え?これまずいの?



 どうやら、俺の職業?は今までなかったものらしい。レアだよ?レア!!しかし、名前からして何となく察したのか、ざわついて集まった王族の方々もすぐに興味を失い、勇者に熱い視線を送っている。おい!俺の時代が短すぎないか!?



 まあ良い、大事なのは職業じゃない!ハートだ!俺の、この煮えたぎる様なバーニングハートをもってすれば!あ、邪魔だからどいてください?チッ、良い所で遮らないで欲しいね…



 その後も、一般の間ではまず出ないであろうレアな職業がどんどん出てインチキ占いの館は終了となりました。俺が一番レア度高かったみたいだぜ!やったね♪まあ、すぐに興味は失われましたけどね!



 何にせよ、結果オーライ!だって、注目集めたら勇者と変わらないからな…別に、羨ましく何て無いんだからね!!



 何て一人でバカな思考をしている内に、現実の場面は動いていた。ついに…ついに、ドラフト会議(仮)が始まるのだ!!デデデデデデデーン!!!続く








 終わると思ったかね?俺たちの闘いはこれからだぜ!!と言うわけで、始まりました、勇者争奪(金銭的)限界チャレンジオークション!!司会は、私、嬬恋つまごい和登わとです!え?今初めて俺の名前を知ったって?キノセイダヨ?



 ではでは、まずは一人目の無料配布に選ばれた9人の紹介です!!・・・無料配布とか言うと安っぽく聞こえるな?いや、最初に選ばれるのは一番欲しいって事だから優秀な奴らって事だろう?うんうん。



 さて…誰が選ばれるかな?そして、被った時が見ものだね!追い詰められた時こそ、人の真価が試されるのだよ?ふふふ…え?お前、絶対に他人の不幸が好きだろうって?そんなのもちろん…大好物に決まっているだろう!!



 あ、でもな?笑えるくらいの範囲でだからな?本当に命に係わる不幸とか笑ったりしないぞ?だけどまあ、今回のこれは精々国同士でぶつかってくれって感じだ!だって、どの国に行ったとしても扱い如何では再度国を変えられるみたいだし?まあ、だからこそ下手な事はしないとは思うんだけどな?



 とにかく、勇者を巡ってぶつかり合えばその国のトップである国王の本心の一端を知る事が出来るかもしれない!これは、またとないチャンスです!!さあ、存分に戦うが良い!!



 と、盛り上がったのは俺だけだったようで、あっさりと決まりやがった。どうやら、国同士のパワーバランス的なもののせいで、あっという間に決まりやがりましたんですよ。つまらんな!!



 で、結果発表。ダダダダダダダダダン!!!



俺的国の順位     獲得者(職業)

1位 テンバルド  加藤かとうたける(勇者)

2位 アメジル   山田やまだ幸次郎こうじろう(賢者)

3位 バハルーガ  籠井かごい健翔けんと(魔導騎士)

4位 マドガラント 伊藤いとう貴幸たかゆき(魔導剣術士)

5位 サザドナ   伊達いだちとおる(極拳術士)

6位 ウックミ   高東たかとう真登まさと(極戦闘狂バーサーカー

7位 キマーキス  小林こばやし虎徹こてつ(極剣術士)

8位 ラザヴィエ  真崎まさき彷徨かなた(極棒術士)

9位 エルドマ   嬬恋つまごい和登わと(盾)



 とこんな感じとなりました!!え?俺が入ってる?当たり前だろ?俺だぜ?帰宅部のエースだぜ!!選ばれて当然さ♪・・・まあ、俺が一番選ばれて驚いているけどな!!何となくだが、経緯を説明すれば納得するんじゃないかね?つまりこうだよ。



 何故か、最初の一人を選ぶ前に話し合いが行われたわけだ。で、最初に俺が選んだ一位のテンバルドが勇者と言ったらもう決まったような雰囲気になったわけだ。で、俺は悟ったね、この国が一番権力があると!!え?誰でも分かる?そんなことはないはずだ!多分…



 で、他はそれぞれ欲しい奴の名前を出して行ったのだけどもな?何故か、俺を選んだ国は、最後に回され、しかも、分かってるよね?硬い子を選べよ?的な事を言われて、しぶしぶな感じで俺の名前を出したわけよ…察したかな?



 つまりだ…嫌々俺を選びやがったんだよ!あり得ないだろ!?帰宅部のエースを甘く見やがって!今に見てろよ!?・・・とか思っているけど、もちろん空気を読んで何も言わないぜ?だって、俺の他に選ばれた奴の待遇にも影響したらまずいからな…何度も言うが、俺は空気を読める男だからな!



 そして、メインイベント?のオークションが始まったわけだ。だけども、他の八か国が盛り上がる中、何故か俺を選んだ将来有望な国が全く参加していない。もしかするとだけど…金がないとかじゃないよね?ちゃんと、俺の生活費くらいは出して貰えますよね?頼みますよ!マジで!!



 そんな俺の願いも空しく?残りの4名になるまで全く参加しなかった我が国エルドマ。そして、残りの4名に他のセリとは桁が違う金額で参加したのだ。因みに、分かっているとは思うけど、桁が違うと言うのは小さい意味でな?大きい方だったら俺も盛り上がれたんだが…恐らく、最後に回された4名は職業があれだったメンバーなんだろうさ…それでも、強制され無理やり選ばされた俺よりは良いよね!?チキショー!



 何て言うと思ったか?今の俺は上機嫌なのさ!何故か?もちろん、俺が紳士で気の良い男だからさ!!・・・うわ!?一斉に奇妙な物を見た!?みたいな顔で見るのを止めて貰えませんかね?流石に傷つくじゃないですか!!



 白状しよう!あれですよ、その後ろに回されたと思われる4名はね?全員女の子!しかも、クラスでどころか学校中で噂になるほどの美少女たちなんだぜ!全く、職業ごときで人を選びやがって!人間は、顔だろうが!!・・・痛い!物を投げるの止めて下さい!痛いですから!!



 まあ、冗談ですよ?でも、俺以外美少女だぜ?テンションが上がるのは仕方ないだろ?いやもうね…俺、人生勝ち組決定じゃね!?参っちゃいますな♪



 え?その4人と交流があるのかって?皆さんは、僕を舐めてるね?クラスメイトだよ?いくら美少女だからって、全く交流がないわけが…あるんだよね!話した事すらないよ!名前を知ってるだけです!!



 いや、さりげない会話位ならあった…かな?それくらいだな。そんなんで良く勝ち組を名乗れたなって?いやいや、未来は誰にも分からないだろ?4人もいるんだし、一人くらいは俺に興味を持ってくれるに違いない!きっとそうだ!そうに決まった!!俺の長所は、意味のないポジティブシンキングなんだぜ!素晴らしいだろ!



 あの…ちょっと冷めた目でこいつ正気か?と見下すの止めて貰えませんかね?そのせいで少し正気になり、不安になってしまったじゃないか!?どうしてくれるんだ!?



 くそう…こうなったら!俺と一緒に最底辺の国?に行く事になった美少女4人の情報を公開してやる!!え?脈絡がありそうでないだろって?安心しなさい、それが俺です!慣れるんだ!!



 さて、俺が知り得た彼女たちの情報はこんなところだ!感謝してみろよ!!



1.沢田さわだ古都こと(魔術士)

ロングヘアの和風美少女。見た目通りのお淑やか系で、時折見せる口を抑えて笑う仕草に恋をする男が多い。俺も思わず見惚れてしまいました!!


2.金本かなもと風香ふうか(弓術士)

ショートヘアのボーイッシュ美少女。これまた見た目通りの元気娘で、気さくな態度で接するせいか、勘違いする男が多い。俺も背中を叩かれた時は勘違いしそうになりました!!


3.飯田いいだ月姫つき(砲術士)

ボブヘアの中性美少女。謎のイケメンスマイル?で、男どころか女もメロメロにする恐ろしい娘。俺も、耐性を得るまでは月姫様!って呼びそうになったね!!


4.十津川とつかわ彩夢あやめ(器術士)

ロブヘアのおっとり美少女。よくポーっとしている。その時、話し掛けられた直後に見せる、ミステリアスな視線に大抵の男はやられてしまう。俺もやられました!!



 まあ、こんな感じだ。何?情報が少なすぎる?俺がそんなに多くの美少女情報を持っていうわけがなかろう!見くびるなよ!!・・・日本語可笑しいな、これ。



 とにかく、そんな美少女たちと一緒なのだ!期待しないわけにはいくまい!!俺は、内心スキップしそうなほどウキウキとしながら、一緒の国に行く事になった美少女たちに挨拶をするために近付いた。



「4人とも、これからよろしくな!」



 我ながら完璧だったと思う。はやる気持ちを抑え、自分なりの爽やかな笑顔でよろしくと伝えられたからな!しかし、現実と言うのは残酷らしい。



「唯一の男子が君とは…絶望的だね」



 おや?いつものイケメンスマイルはどうしたのかな?飯田さん?



「本当に、頼りにならなそう」



 あれ?裏表ないのは良い事だと思うけど、言って良い事と悪い事があるよ?金本さん?



「盾って硬いだけなのかな?」



 ぐふっ!?いきなり俺が不安になっている職業を突くのをやめてくれないかな?十津川さん!?



「みんな言い過ぎよ?これから一緒に頑張る仲間になるみたいだし」



 沢田さんは、一見フォローしているように聞こえるだろ?口元の笑いを隠して言ってるんだぜ?チキショー!それでも、可愛いとか思っちゃう俺ってダメな奴だな!仕返しに、脳内フィルターに焼き付けてくれるわ!!あと、お淑やかに見えたのは俺の気のせいだったみたいだな…



「仕方ないね、僕が他の娘を守るから、君は自分の身は自分で守るんだよ?職業が盾らしいし、それくらいは出来るよね?」



「倒れても立ち上がれるよね?何て言ったって、たて何だし♪」



 俺が答える前に金本さんの発言がこの場を凍らせた。…いや、この場を和まそうと頑張ってそんな事を言ったんだ!俺の中では、美少女の頑張りは何にも勝る!フォローしなければ!



「あ、あははは!う、上手い事をいうなぁ!金本さんは!!」



 俺のフォローを受けて、金本さんは無言で沢田さんに抱き着いた…あれ?



「よしよし、貴女の良い所はめげない事でしょう?この位の事を気にしたらダメよ?」



 沢田さんが頭を撫でながら慰めている。あれ、俺もやりたい!!いや、して欲しい!!



「嬬恋くん?追い打ちをかけちゃダメだよ?メッ!だからね?」



 十津川さんが俺の事を呼んでくれた!尊い!!って、違う!メッ!とか可愛い♪って、それも違う!あれ?俺のフォローって追い打ちになったんですか!?そんな気がしなくもなかったけど…そう思って、全員を見渡してみると…



 うん、沢田さんに抱き着いている金本さん以外が俺を責めた目で見てた!ゾクゾクします!!って、違う!こ、ここは何とかせねば!じゃないと、俺が嫌な奴になってしまう!?



「とにかく、4人とも守ってやるから安心しろ!何せ、俺は男気溢れる男だからな!」



「・・・それはもしかして、盾男と伊達男をかけたつもりかな?」



「ザッツライト!!」



 その事にすぐに気が付くとはさすがは飯田さん!さあ!俺の寒さで、さっきのはなかったことになるだろ!捨て身のこの作戦でチャラにして下さい!!



「分かり難くて反応し辛いね」



 正当な評価ありがとうございます!十津川さん!!



「単純ね、上書きして誤魔化そうとしたのがバレバレなのだけれど?」



 沢田さんが、辛辣な事をいってらっしゃる!ゾク…いえ、何でもないです!!とりあえず、みんなが冷めた目で見ているから作戦成功か!?まあ、大事な何かを失ったような気がしなくもないが…



「プッ!盾男と、伊達男…」



 ん?金本さんに何か変化が?



 何か小さく震えていたと思ったら、急にこちらに金本さんが駆けて来た!?まさか、噂の詰まんないだろ!のドロップキックか!?小柄でもそれをやられると痛そうだぞ!?まあ、全身全霊で受けて見せるが!!



 と、思ったけど…何やら手を握られた!?柔らかい!良い匂いがする!!



「面白いよ!嬬恋君!君、センスあるよ!!」



 お、おや?まさかの高評価を貰ってしまった!?いや…ここはどうするのが正解なんだ?と、とりあえず受けるしかないな!!あと、手が柔らくてやばいです!!



「だ、だろ?金本さんのたてをかけたやつも良かったぜ!衝撃受けすぎて、少し固まってしまって悪かったな!!」



 一応、フォローしてみた。バレバレだろうけどな…あと、手が幸せです。美少女が近いです!何で女の子って良い匂いがするんですかね!?同じ人間なんですかね!?まずい、恋をしそうだ♪



「ありがとう!そっか、あれは同情しただけだと思ったけど、本当にうまいとおもってくれてたんだね!嬬恋君とは気が合いそうだね♪」



 ブンブンとつないだ手を上下させて喜ぶ金本さん。うん、可愛すぎて辛い…マジで惚れて良い?止まらなくて良いよね!?



「そうだね!俺と金本さんは気が合いそうだね!!」



 美少女の笑顔は宝です!俺が、彼女の全てに魅了されて肯定しか選択肢がないとか関係なく、これが世界の真理なのです!分かったな?



「金本さん何て何か他人行儀だよ?私の事は、風香で良いよ!私も、和登って呼ぶから♪」



 ご機嫌な金本さんがとんでもない提案をして来た!名前で呼び合う…だと!?しかも、何故俺の名前を知っているんですか!?俺が美少女の名前を知っているのとはわけが違うんですよ!?惚れて良いんですね!?



 嬉しさの余り、即断しそうになったが、これに乗ったら他の3人が良く思わないのではないだろうか?と、2秒だけ迷った。だが、このチャンスを逃してはダメだと俺の中の何かが叫んでいたので全力で乗ることにした!!



「分かった!よろしくな?風香!」



「うん!よろしくね?和登!」



 俺たちは、手をブンブン上下させて喜び合う!やばすぎ!テンション上がって来たぜ!!!



「そこまでだ!!」



 その声と同時に、俺たちの手を離れさせるように身体を入れて来た飯田さん。・・・うん、柔らかいっす!それに、良い匂いが…って、お、俺は風香一筋になったのだ!浮気はだめだろ!!



 妄想乙?バカ野郎!!手を取り合って名前で呼び合った仲だぞ!もう、恋人みたいなものだね♪


※本人に都合が良い様に脚色されております。



「純粋な娘を誑かそうとするとは油断ならないね、嬬恋君」



 そう言って、ゴミでも見るようなさげすんだ目を向けてくる飯田さん。変な趣味に目覚めたら責任取って貰うわよ!!って、違う!あ、危なく浮気するところだった!



「え?何の話?」



 本当に何のことだか分かっていない様子の風香。うん、そのままの純粋な君でいてくれ!何かあっても俺が守ってやるぜ!!



「風香、気軽に男の人とくっついてはダメだと言ったでしょう?男の方は、邪な考えを持ってしまう人ばかりなんだからね?」



 そう言って、俺に厳しい視線を向けてくる沢田さん。うん、風香を守っているのは彼女で間違いないのだろう。それにしても、風香って思考が幼すぎないか?演技だったら…俺は騙されても良い!!あれ?何か逸れたな…?



「でも、これから一緒に頑張るんでしょ?和登は、良い人っぽいし…新しいお友達…」



 そう言って、俺の方をチラチラ見てくる風香。うん、すっごく可愛い!抱きしめても良いですか!?え?犯罪?ちゃうわい!すぐに邪な思考と繋げるのやめてもらえませんかね!?



「風香がそう言うなら…はぁ、仕方ないわね」



 どうやら、沢田さんは風香には勝てないようだ。分かる!あんなに可愛い態度取られたら、勝てるわけないですよね!!俺なら秒で即落ちします!!



「嬬恋君、誠に遺憾ではあるけれど、風香の言う事も一理あると思うの。だから…私たちも、お互いに名前で呼び合いましょう?嫌だと言うのなら」



「嫌だなんてとんでもない!!」



 俺は、反射的に割り込んでいた!仕方ないよね?美少女と名前で呼び合うとか言うイベントが目の前に転がっていたんだよ?食いつくしかあるまい!!



「そ、そう…じゃあ、そうしましょうか?和登君」



「よ、よろしく…古都さん」



 迷ってさん付けしたけど、正解だったみたいだな。うんって感じで古都さんは頷いている。本当は呼び捨てに憧れましたが、向こうが君付けだったから空気を読みました!だから、俺は空気を読める男なんだよ?それよりも気になるのは、俺が食い気味だったせいか多少引いていた事かな?いや、でも仕方ないよね?分かってくれるよね?



「じゃあ、私も和登君と名前で呼び合いたいかも?」



「いいよ。よろしくね、彩夢さん」



 いきなり名前に変わってるよ?とか、ツッコミ無用だ!美少女の願いは率先して叶えるべし!!これ、俺の教訓ね?



「うん!これから頑張ろうね?和登君♪」



 やばいな…俺、今日死ぬかも?3人の美少女と仲良くなってしまったぜ!もてる男はつらいな!!え?名前で呼び合っただけで何を言ってるんだって?ふっ、僻むな僻むな!!いたっ!物を投げてはいけませんよ!?



「風香の願いじゃ仕方ないかな?確かに、これから一緒に頑張らないといけないようだし、空気が悪くなるよりは良いかな?和登、特別に僕の事も名前で呼んで良いよ」



「分かった。よろしくな、月姫さん」



「ふふっ、分かってるじゃないか」



 え?何で呼び捨てにされたのにさんを付けたかって?最初に風香を気安く呼び捨てにして目の敵にされたからね…俺って、そこらへんちゃんと考える男だぜ?猪突猛進のバカとは違うのだよ、バカとは!!



「お話は纏まったようですね?」



 ふと気が付くと、とても綺麗な少女が近くに来ていた。何を隠そう、この人こそ俺たちが行くことになったエルドマの姫である。まあ、詳しくは本人から聞いてください。そうです、何も知りませんよ!!



「ええと、確かステーシィ姫だったかな?とりあえず、僕たちは協力して魔物と戦う事になったよ。よろしく」



「はい、ステーシィであっております。本当に勝手な話だとは思っておりますが、よろしくお願い致します」



 そう言って、二人は握手をした。絵にはなるけど…俺の立場が!?ほら、最初に選ばれたし?唯一の男だし?そう言う、代表的なのって俺じゃないの!?いや、俺だと場違い感が凄い絵になるのは分かってるんだけどさ…



「分かっているとは思うけど、こっちの和登が職業から考えて要になると思うから、彼ともよろしくしてあげて欲しいな」



 そう言って俺に場所を譲って来る月姫さん。え?い、いきなりそんな事言われても!?こ、心の準備が!?



「そうですね。大変だとは思いますが、よろしくお願い致します」



 そう言って、手を差し出してくるステーシィ姫。俺は、反射的に手を取って返事をする。



「よ、よろしくお願いします!!」



 噛んだ?仕方ないだろ!綺麗な人なんだよ!!ふわっとウェーブロングヘアの上品で柔らかい感じの美人さんなんだよ!!緊張しないわけないだろ!!あと、手が柔らかい!手袋してないのはこちらへの配慮ですか?最高ですね!!



「和登、表情が緩みまくっているよ?」



 こそっと近付いて来た月姫さんにそう指摘され、キリッとした表情に直した。まあ、俺なりにだけどな?



「ふふっ、頑張って下さいね」



 そう言って、柔らかく素晴らしい手が離れていった。言葉は嬉しいけど、言葉より一秒でも長く繋いでいたかったと思うのは仕方ない事だよな?仕方ないですよね!?相手の思うつぼ?新商品ですか?



 その後の、王様や重鎮たちとの挨拶などは端折る。え?だって、他に美人さんいなかったし…基準がそこってどうなのだって?良いんだよ!見目麗しい女性以外に興味がないのが思春期の男ってものだろ!分かるだろ!?



 で、国に向かうのは馬車とかかな?と思うだろ?転送装置があるんだってさ!!何でも、異世界から俺たちを呼び出した儀式の応用で作られているらしいんだけどさ。これが安定して使用出来るようになった事が、今回の召喚へ踏み切った最大の理由らしい。成功皆無の事へ投資する余裕なんてないみたいだからな。



 そして、転送装置の乗り心地だけどな?何て良いって良いか分からんかった。何も感じなかった気がするけど、いきなり見る景色が変わったせいか、少し眩暈がしたな。違和感による錯覚が原因かもしれんけど、そこら辺は俺には分かりません!



 さて、ここから俺の第二の人生が始まるのか!俺の…ハーレいたっ!?もの投げないで!せめて最後まで言わせてください!くそぅ!怒ったぞ!マジで次回に続きます!!乞うご期待!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る