第2話


屋内で休み始めて30分経ったと思う、ギンという金属音に驚いて飛び起きた。寝ることはできなかった。

僕は内心この世界にいるのは僕だけだと思っていた。人が、何かが起こす音に違いない。

恐る恐る建物から出る、音はこっちだ。段々と大きくなる、風が変わる。


3メートルはある巨人同士の戦い、戦場だ。

モリを持ったなめし革の表皮の大きなロボットとくじらの顔を持ったトライポッドが戦っている。

人形がトライポッドに向けてモリを突き出す、トライポッドの腕は金属の輝きを持っている、突き出した腕にモリは弾かれる。

弾かれた槍を人形が一気に巻き上げ――もう一突き、くじらの頭に向けて。くじらが口を開く、ヒゲクジラのような立派なひげが震える。

――とした音。

人形が身を捻って頭上に回避、射線上の建物に亀裂が走る。

人形が回避したそれは強烈な、指向性を持った音だ!

トライポッドが止まる、くじらが上を、見た。

眉間にモリを一突きする人形の姿!

頭からトライポッド部分まで貫通するモリ。崩れ落ちるくじら、赤い血が流れて脱力する。勝ったのは人形だ。


僕の鼓膜はまだ信じられないような音を受けて沈黙している。

僕はどうしたらいいのか、判断つかないが人形に助けを求めたらいいのか、このまま隠れてやり過ごすか、まだ助かる方に賭けるしかない。

ロボットには、多分人が乗っているような気がする、いや乗っているはずだ。

僕は知っている、この兵器のことを。

砂を払い除けて僕は人形の方へのたのたと進み出る。

僕がロボットに声を上げようと思った先に、頭にノイズが走る。

死んだはずのトライポッドが再びヒゲを震わせる。ロボットから降りたパイロットにそれを防ぐことはできない。

轟音……音波ビーム!!

ロボットの半身が消し飛ぶ、パイロットは足首を残すのみとなった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る